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数字のセンスを磨く~PEファンドで使われる投資リターン概算術

先日Twitterで以下の投稿をしたところ、非常にたくさんの方に見ていただくことができた。

非常に何気ないつぶやきだったが、少し拝見するとどうやらやり方が分からない、実務でどのように活用するかがわからない、といった声を聴くことができた。

確かにとっかかりづらいテーマではあるが、投資会社に限らず数字のセンスをもつことは、コンサルやIBD、経理や財務の人間にとっては非常に重要な点であると考えている。
特に私が常日頃お世話になっているIBDの方々がこれらの方法を知らない、ということは結構衝撃だった。

確かにIBDやコンサルの方々は案件が成立すればそれでフィーが入るため(コンサルは人工で案件が成立しなくてもフィーをお支払いするが)我々のリターンは究極どうでもいいかもしれないが、やはりディール中に一緒に激務を経験する中で、同じ目線を共有いただけ、同じ土俵で議論できることは大きな信頼につながってくる。

数字のセンスを得るという意味で、今回は投資会社としての数字のセンスである、ざっくりリターン計算(いわゆるBack of Envelope)の方法をご紹介させていただく。

なお投資会社として一番重要な指標はIRR、つまり年平均の複利利回りになるが、それ以外の指標は投資するお金の性質によって異なる。安定的なCFが重要な投資家にとっては、Cash on Cashと呼ばれる投資額に対する単年のCFの平均値が重要になってくるだろう。しかし議論を単純化するため、今回はIRRに絞って議論を進めたい。



1. IRRをざっくりつかむ

さてIRRはすでに説明したように年平均の複利利回りになるが、計算方法は少し複雑である。以下の用語集から説明を少し抜粋する。
(ちなみにみずほ証券と一橋大学の金融用語集はかなり質が高く詳細のため、おすすめのHPの一つである。)

要は高次元方程式の解であるということだろう

まずは投資案件の基礎からおさらいしていこう。投資案件のリターンを構成するのはいわゆるIncome Gain(期中の運営収益)とCapital Gain(資産の売却益)である。それぞれIRRを構成するが、IRRへの影響はそれぞれ少しずつ異なる。それらのIRRへの影響を暗記し、理解することがまずは第一歩である。

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