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ETF分配金売りが終わったら本当に需給が良くなるの?

 こんにちは、投資猪です。日経の猛烈な踏み上げ相場も一息ついて、欧州市場や中国市場を見るに景気後退への不安も募ってきた7月相場です。
 さて今日は皆さん大好きな需給テーマである「ETF分配金捻出売り」を扱います。

そもそも「ETF分配金捻出売り」って?

 日経平均やTOPIXをベンチマークにするETFの多くが、7月上旬に決算(分配金支払い基準日、多くは7月7-10日)を迎えます。ETFは現物株を売って分配金を準備するほかに、各構成銘柄の権利落ちのタイミングで日経平均やTOPIXの先物を買い建てて再投資をしておいて、分配金の支払いの際に反対売買をして帳尻を合わせます。

 その結果、ETF決算日には現物株売りと先物ポジション解消の売りが膨らみ、今年は合計1兆1600億円とも言われています。(10日に7,000億円とも)
東証全体で1日あたりおよそ3-4兆円の売買代金ですから、それなりの影響が出そうなことは分かりますね。そうなると賢明な投資家は当然こう思うでしょう。

じゃあ先回りして売っておいて、翌日に買えばいいじゃん

 巷ではこの分配金売りが終わると「お、なんとなく割安だな」と感じて買いたくなる投資家が多くなるとさまざまな記事では言われています。今回は「で、先回りすれば本当に儲かるんかいな?」という視点でメスを入れてみます。

気になる勝率は… 

まずはデータ収集

 ETFによって決算日は異なりますが、ここではおおよその分配金捻出売りが終了する10日を基準として(10日が休場の時はその前営業日)、2012年以降のデータを以下のように収集しました。

 分配金売り日終値…10日終値(10日が休場の年は前営業日)
 分配金売り翌日…分配金売り日+1営業日における始値と終値
 7月終値…7月最終営業日終値

2012年以降のETF分配金捻出売り前後の値動き

 本当に10年で株価は上がりましたねえ…アベノミクス万歳。
さて、ここから以下の計算をしてみました。

 ① 翌日始値ー売り日終値
  → 売り日の後場引けで成買いをして、翌日の前場寄りで成売り
 ② 翌日終値ー翌日始値
  → 翌日の前場寄りで成買いをして、その日の後場引けで成売り
 ③ 翌日終値ー売り日終値
  → 売り日の後場引けで成買いをして、翌日の後場引けで成売り
 ④ 7月終値ー売り日終値
  → 売り日の後場引けで成買いをして、7月いっぱいホールド

株保有期間としてはこんなイメージ

結果はというと…

各保有期間における騰落率

 結果を先に言うと、「短期的には需給は改善する傾向がある」というところでした。
 最も勝率として良かったのは ② のパターン、すなわち今年で言えば「11日の前場寄りで成買いして、その日の引けで売るというパターン」で、過去11年のデータでは9勝2敗、平均騰落率 +0.63% とまずまずの結果となりました。確かに短期勝負としてはありと言えそうです。
 しかし、7月いっぱいまで見ると必ずしも買われやすいという訳ではなく、いい年もあれば悪い年もあるという程度のものというやや残念な結果でした。所詮はETF分配金捻出売りなどは需給の問題であって、中長期投資ではファンダメンタルに勝るものは無いということです。

それぞれのホールド期間における騰落率分布

 分布図を書いてみると、確かに翌日前場寄りで成買い→その日の引けに成売りパターンが最も分散も小さく、再現性としては高そうです。
 (要はこの日は陽線を引きやすいということです)

需給を相手にするかは投資スタンス次第

 いかがでしたでしょうか?読んでくださった皆さんには少し残念な結果だったかもしれませんが、「そんなに気にしても仕方ない」ということです。よほど次の海外マネーが飛んでくるかの方が重要で、「捨てる神あれば拾う神あり」日本経済が良くて、良い銘柄であれば誰かがきっと買ってくれますので、心配し過ぎずに行きましょう!
 
もちろんこの記事を参考に翌日の短期トレードで少し稼ぐことを考える投資家が出てくれても嬉しいです!もちろん自分は実践します(笑)
 
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 ではこれからも宜しくお願いします。最後まで読んでいただきありがとうございました!

統計手法を用いて株式市場を分析しております! 参考になる記事を書いていこうと思うので、もし良ければサポートいただけると嬉しいです^^