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KDDIがローソンにTOB、5000億円 三菱商事と共同経営へ…小売りと通信の連携の狙いとは

こんにちは、投資の教科書です。今回は、2月6日に発表されたKDDIがローソンにTOBを実施し、三菱商事と共同経営に乗り出すという衝撃的なニュースについて、その背景や目的、意義、影響、展望などを分析していきたいと思います。この提携は、小売りと通信という異業種の融合という点で、業界再編や社会インフラの変革に大きな影響を与える可能性があります。また、ローソンの株価はこのニュースを受けて急騰し、年初来高値を更新しました 。

この記事に関しては、投資を行っている方だけでなく、ホットなニュース集めとして、商社就活、金融就活中の学生さんにもぜひ読んでいただきたいです!

KDDIとローソンの提携の経緯とスキーム

まず、KDDIとローソンの提携の経緯とスキームについて見ていきましょう。KDDIは、ローソンの株式の50%を取得することを目的としたTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表しました。TOBの価格は1株あたり7000円で、ローソンの時価総額の約5000億円に相当します。TOBの期間は、2月7日から3月8日までの20営業日間で、買い付け条件は、KDDIがローソンの株式の50%以上を取得できることです。

KDDIがローソンの株式の50%を取得した場合、ローソンは上場廃止となり、KDDIと三菱商事との共同経営に移行します。三菱商事は現在、ローソンの株式の50.1%を保有しており、KDDIと合わせて100%株式を取得することになります。KDDIと三菱商事は、ローソンの議決権を50%ずつ保有することで、事業方針や経営戦略について協議し、合意することになります。

一般的には、議決権比率が 50% : 50% だと双方の意見がすれ違った際に意思決定がうまく進まないという懸念点があります。そのため、大企業同士の合弁会社では 50.1% : 49.9% の比率をよくみかけるのですが、今回のケースではあくまで対等な立場を示すことが優先されたのだと思われます。別の事例としては、LINEヤフーの親会社のAホールディングスにおいて、ソフトバンクとNAVER(韓国)がそれぞれ50%ずつ株式を保有しており、これまでののところ問題無く運営している(ように見える)といった例もあります。

リリース後の株価反応

KDDIとローソンの提携のニュースは、両社の株価に大きな影響を与えました。特に、ローソンの株価は、TOB価格に近づく形で急騰し、年初来高値を更新しました。一方、KDDIの株価は、TOBによるシナジー効果に対する懐疑的な見方が先行して、軟調に推移しました。以下に、詳細な株価の動きです。

  • ローソンの株価:ローソンの株価は、2月6日にKDDIがTOBを実施すると発表したことで、ストップ高水準にあたる前日比1000円(16%)高の7261円で取引を終えました。1日での16%の上昇率は2000年の上場後で最大となりました。2月7日には、さらに上昇し、終値は前日比15.2%高の1万270円となりました。この日の高値は1万355円で、TOB価格(1万360円)にほぼ近づきました。2月9日の午後12時21分現在、ローソンの株価は10260円で、前日比50円(0.49%)高となっています3。年初来高値は10355円で、2月6日に更新されました。

  • KDDIの株価:KDDIの株価は、2月6日にローソンにTOBを実施すると発表したことで、市場ではシナジー効果に対する懐疑的な見方が聞かれました。株価は一時3.2%安の4540円に下落しました。2月7日には、自社株買いの発表があったものの、株価は2.0%安の4599円と明暗が分かれました。2月9日の午後12時21分現在、KDDIの株価は4630円で、前日比31円(0.67%)高となっています。

KDDIとローソンの提携の狙いとシナジー効果

次に、KDDIとローソンの提携の狙いとシナジー効果について考えてみましょう。KDDIとローソンは、この提携により、「未来のコンビニエンスストア」を実現するというビジョンを掲げています。具体的には、以下のようなことを目指しています。

  • KDDIは、ローソンのリアル拠点を活用して、通信やDX(デジタルトランスフォーメーション)のサービスを展開します。例えば、ローソンの店舗で5GやWi-Fiのサービスを提供したり、ローソンの商品やサービスをKDDIのau PAYやau WALLETなどの決済手段で購入できるようにしたり、ローソンの店舗でKDDIのスマートフォンやタブレットなどの端末やSIMカードを販売したり、ローソンの店舗でKDDIのコンテンツやアプリを体験できるようにしたりします。

  • ローソンは、KDDIのデジタル技術を活用して、顧客との持続的なつながりを強化します。例えば、ローソンの店舗でKDDIの顧客データやAIを使ってパーソナライズされた商品やサービスを提供したり、ローソンのオンラインチャネルでKDDIの顧客データやAIを使って最適な商品やサービスを提案したり、ローソンの店舗でKDDIのIoTやクラウドを使って効率的な在庫管理や物流を行ったり、ローソンの店舗でKDDIのARやVRを使って新しい体験を提供したりします。

このように、KDDIとローソンは、小売りと通信という異業種の連携により、お互いの強みを生かして、新たな価値やサービスを創出することを目指しています。この提携により、KDDIはローソンの約1万4000店舗というリアル拠点を通じて、通信やDXのサービスの普及や収益の拡大を図ることができます。また、ローソンはKDDIのデジタル技術を通じて、顧客のニーズや行動を把握し、より満足度の高い商品やサービスを提供することができます。

KDDIとローソンの提携の影響と展望

最後に、KDDIとローソンの提携の影響と展望について考察してみましょう。KDDIとローソンの提携は、小売りと通信という業界のパワーバランスや競争環境にも大きな影響を与える可能性があります。この提携により、KDDIとローソンは、それぞれの業界のリーダーとして、他の競合との差別化や競争力を高めることができます。例えば、KDDIは、ローソンとの提携により、NTTドコモやソフトバンクといった他の通信キャリアとは異なる、リアルとデジタルの融合したサービスを提供することができます。また、ローソンは、KDDIとの提携により、セブン-イレブンやファミリーマートといった他のコンビニエンスストアとは異なる、デジタルと人間の融合したサービスを提供することができます。このように、KDDIとローソンは、小売りと通信という業界の再編や競争に先んじて、優位な立場を築くことができるでしょう。

また、KDDIとローソンの提携は、社会インフラの変革にも大きな影響を与える可能性があります。この提携により、KDDIとローソンは、日本の社会や生活に必要不可欠なインフラとして、小売りと通信のサービスを一体化させることができます。例えば、KDDIとローソンは、災害時や非常時においても、ローソンの店舗を通じて、通信やDXのサービスを安定的に提供することができます。また、KDDIとローソンは、地方や離島などのインフラが不十分な地域においても、ローソンの店舗を通じて、通信やDXのサービスを普及させることができます。このように、KDDIとローソンは、社会インフラの変革に貢献することができるでしょう。

さらに、KDDIとローソンは、小売りと通信という業界の垣根を越えたイノベーションの可能性を探求していくでしょう。KDDIは、ローソンの店舗で5GやWi-Fiを使って、高速で高品質な動画や音楽を楽しんだり、ローソンのオンラインチャネルでKDDIのAIを使って、自分にぴったりの商品やサービスを提案したりすることができるかもしれません。ローソンは、ローソンの店舗でKDDIのARやVRを使って、バーチャルな世界を体験したりすることができるかもしれません。このように、KDDIとローソンは、小売りと通信という業界の垣根を越えたイノベーションの可能性を示すとともに、業界再編や社会インフラの変革に大きな影響を与える可能性があります。

まとめ

この提携は、小売りと通信という異業種の融合という点で、日本では初めての試みであり、業界再編や社会インフラの変革に大きな影響を与える可能性があります。KDDIとローソンは、この提携により、「未来のコンビニエンスストア」を実現するというビジョンを掲げており、お互いの強みを生かして、新たな価値やサービスを創出することを目指しています。この提携がどのように進展していくのか、今後の動向に注目していきたいと思います。

参考文献

  • 1 KDDIがローソンにTOB、5000億円 三菱商事と共同経営へ - 日本経済新聞

  • 2 「未来のコンビニをつくる」、KDDIと三菱商事がローソン共同経営で描くビジョン - ケータイ Watch

  • 3 KDDIがローソンにTOB、上場廃止で三菱商事と共同経営へ - 激流オンライン

  • 4 KDDIがローソンにTOB…三菱商事と共同経営に乗り出す 4900億円 - FNNプライムオンライン


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