🔰投資で世界一の大富豪になる方法＝財務諸表を読め！

ナオ｜米国投資をはじめよう

2024年2月19日 21:01

〜この記事でわかること〜

株式投資において財務諸表がどれだけ重要な情報か、わかる
世界一の大富豪で投資家ウォーレンバフェットがどうやって財務諸表を読んでいるか、わかる
実際にどのサイトでどうやって見ればいいのか、わかる

〜初っ端から結論〜

大成功した投資家の多くは、財務諸表を超読み込んでいる！
財務諸表を読むのは全然難しくない！たったの3ステップ
「ネットで検索→数字をコピペ→エクセルで割り算」コレだけ
伸びる会社はここが違う！財務諸表で見る5ポイント
- 売上高利益率（GrossProfit を Revenue で割った割合）が40％以上
- 純利益率（NetIncome を Revenue で割った割合）が20％以上
- 内部留保 (Retained Earning)が安定成長している
- 自己資本利益率 (Net IncomeをShareholder's Equityで割った割合)が20％以上
- 純利益に対する設備投資(Capital Expenditure)の費用が25%以下

✴︎本編✴︎

① 投資を始めた→財務諸表を読もう

総資産20兆円弱(1320億ドル)を誇る稀代の投資家で、世界長者番付１位に何度も選ばれたウォーレン・バフェットを知らない人は少ないでしょう。

そんなバフェットは、どのようにしてそこまでの資産を一代で築いたのでしょうか？それはズバリ「財務諸表を読むこと」

ウォーレンは、投資を始めた11歳のころから間もなく94歳という現在まで、常に財務諸表の重要性を説いてきました。

I believe all investors should make the effort to read and comprehend financial statements themselves.
私は、すべての投資家が財務諸表を自分自身で読み込み理解する労力を払うべきだと信じています。

1996年バークシャー・ハサウェイ（ウォーレンが代表を務める投資会社）株主総会

You have to read a zillion of corporate annual reports and financial statements.
あなたは、数え切れないほどの決算書と財務諸表を読まなければならない。

書籍『ウォーレン・バフェットと財務諸表の理解』より

青年時代のウォーレンは、友達がプレイボーイを買う中、ムーディーズ格付け便覧（企業の財務と信用度が書かれた百科事典のようなもの）を買い、読みあさっていたと言います。

過去のインタビューでは、1日に500ページ分の財務諸表を読むことがルーティーンだと語っていました。そして成長可能性がある株式を見つけると長期投資を行い、年間20％を超える利回りを50年以上維持。莫大な資産を一代にして築き上げたのです。

そんな財務諸表激オシのウォーレンにならって、私たちも財務諸表を読んでいこうじゃありませんか！

② そもそも財務諸表ってなに？

財務諸表とはその名の通り、企業の財務（お金）の状況を記した報告書です。「どれだけ売上があるか？」「どれだけ利益があるか？」「どれだけ現金を持ってるか？」などですね。

今はもっぱらネットですが、昔は新聞にも財務諸表をのせてたみたい。
それくらい一般的な読み物ってことですね。
1963年、ノバ・スコティア銀行の財務諸表。

財務諸表には3種類あります。
企業の今の健康状態を表す、Balance Sheet
企業の今期の成績を表す、Income Statement
財布の中の現金の状態を表す、Cashflow Statement
です。（が、ぶっちゃけこの辺はいま覚えなくて良いです。読んでいるうちに慣れます）

考えれば当たり前かもしれませんが、
儲かってない赤字ばかりの企業にはもちろん投資したくないし、一時的に儲かってるんだけど借金だらけの企業も微妙ですよね。
逆にめちゃくちゃ儲かってて、無借金、どんどん成長しそう、そんな会社は投資対象として魅力的です。

そう考えると、財務を記した報告書を見るのは投資家にとって当たり前な感じがしますね。逆に読まないで投資なんてクレイジー、そんな気にもなってしまいます。

〜ちょっとマニアックな話（読み飛ばし推奨）〜
世の中には財務諸表を一切読まない投資家もいます。俗に言うテクニカル派という人々です。テクニカル派というのは、財務ではなく株価のチャートを読んで、統計学的に次にどんな動きをするか予測しポジションを取る（買いか売りか決める）投資家のことです。テクニカル派でも成功した人は多くいます。
代表的なのは18世紀の日本で米の相場で大儲け（現在にして1兆円ほど）した本間宗久や、19世紀にウォール街で活躍したチャールズ・ダウ（ウォール・ストリートジャーナルの創設者）、現存の方ではメリルリンチで技術部長を務めたジョン・マーフィーなども代表的です。

一方、財務を見る投資家はファンダメンタルズ派と呼ばれています。ファンダメンタルズは日本語で「基礎・基盤」という意味。財務＝企業の基盤だからでしょうね。

テクニカル派とファンダメンタルズ派は「どっちが儲かるか」で長年論争をしてきました。ですが歴史的な記録と自己調べの範囲では、長期目線でいうと圧倒的にファンダメンタルズ派に軍配が上がると感じます。世界長者番付に名を連ねる投資家は財務をしっかり見る人ばかりですし、代表的なテクニカル派（先ほどのジョン・マーフィーやスティーブ・ニルソン）でも、総資産は数億円程度とファンダメンタルズの足元にも及ばないのが現状です。

『テクニカル分析なんて絶対に機能しない』と言ってるウォーレンが観たい方はこちら⇩

③ 財務が良いと、株価は上がるの？

財務を読め読めと説いてきましたが、本当に私たちが興味あるのは
「株価が上がるかどうか？」ですね。
ここで少しだけ財務と株価の関係性を見ていきましょう。

財務状況が良い会社と悪い会社を比較してみます。今回は、2017年頃のジェネラルエレクトロニック社（通称GE）を事例で挙げています。
米国を代表する総合電機メーカーであるGEは、2016年には純利益8,024百万ドルを記録していました。
しかしその翌年2017年には赤字に転落しマイナス5,753百万ドル(多分当時で6000億円くらい)。さらに翌年2018年にはマイナス22,355百万ドル、日本円で2兆超えの天文学的な赤字を記録。株価はピーク時から70％以上下落する大暴落となりました。
(この時、財務を見ていなくて持株をそのまま放置していたとしたら恐ろしいです…)

yahoo financeより。赤字の理由は子会社である保険会社への投資の失敗
韓国やドイツの競合企業にシェアを奪われたことなど

一方財務が健全な会社は多少の上下はありながらも、長期的にはジリジリ上がっていきます。

お馴染みのApple社やウォーレンが代表を務める機関投資会社である
バークシャー・ハサウェイなどが代表的です。
過去10年で見てみると、Appleの純利益は
2013年:37億$
2014年:39億$
2015年:53億$
2016年:46億$
2017年:48億$
2018年:59億$
2019年:55億$
2020年:57億$
2021年:94億$
2022年:99億$
と、毎年の増収増益を維持しています。バークシャー・ハサウェイも同様です。これらの会社は数十年以上にわたって安定的に売上も利益も伸ばし続けており、それがしっかりと株価に反映されています。

表題の「財務が良いと、株価は上がるの？」コレには賛否両論あると思います。もちろん売上や利益だけが株価上下の原因になるわけではありません。経営陣のスキャンダルや政治的圧力で暴落したり、財務状況は悪いのに噂話で株価が上がることもあります。ですがそれは一時的なこと。
長期的には、財務状況の良い会社＝株価は上がる、と言えるのです。

④ さて一緒に見ていこう！

お待たせしました。ここからが本題です！一緒に財務諸表を見ていきましょう。この章は『ウォーレンバフェットと財務諸表の理解』という書籍を元に5つのポイントだけピックアップして、まとめています。本読めば分かるのでご参考に！

その5つのポイントとはズバリ、冒頭にも記載した
1. 売上高利益率（GrossProfit を Revenue で割った割合）が40％以上
2. 純利益率（NetIncome を Revenue で割った割合）が20％以上
3. 内部留保 (Retained Earning)が安定成長している
4. 自己資本利益率 (Net IncomeをShareholder's Equityで割った割合)が20％以上
5. 純利益に対する設備投資(Capital Expenditure)の費用が25%以下
です。

1つひとつ、デモンストレーションしながら見ていきましょう。

この記事をお手元に、Yahoo Financeと表計算ソフト（エクセルやスプシなど）を開いてください。今回は例としてお馴染みのApple社にしてみましょう。

yahoo financeが一番見やすいと思っているけど、他のツールでも良いです。

検索窓に「Apple」と入れて、一番上のAAPLをクリック。このAAPLは「ティッカー」と呼ばれる株式を判別するコードのようなものです。社名に「Apple」とつく会社はいくつもあるので、混同を避けるためにこのティッカーがあります。

ここで、上のバーから「Financials」をクリック。

おめでとうございます、財務の世界へようこそ。興奮しますね。

さてコレで準備は整いました。ポイントに沿って一つ一つ見ていきましょう。

　I. 売上高利益率（GrossProfit / Revenue）が40％以上

まず、Financialsを開くと最初に出てくる「Income Statement」を見ていきましょう。Income Statementは日本語で収支報告書、1年間や四半期などの一定期間でどれだけ売り上げ、どれだけ利益が出たか、成績を報告するものです。

売上高利益率は、Gross ProfitをRevenueで割ることで算出できます。

TTMは直近の12ヶ月のこと。例えば10月のある日にこの表を見た場合は、去年の9月から今年の9月までの合計値になります。つまり最新情報ということ。

Revenueは日本語で「売上」という意味で、その名の通り、企業が提供するサービスや商品が売れることで生まれる総収入のことです。1000ドルのiPhoneを1万台売ったら、Revenueは1000万ドルです。

Gross Profitは日本語で「粗利益」。Revenueから、商品やサービスの生産コストを引いた総額です。iPhoneの原価が800ドルだとして、1000ドルの値札をつけて1万台販売したら、Gross Profitは200ドル×1万＝200万ドルです。

この場合、売上高利益率はどうなるでしょう？Gross Profit 200万$をRevenue 1000万$で割って、200万÷1000万＝20%となりますね。
つまり1つ商品を売るごとに、20％が利益となるということです。

第一のポイントは、この売上高利益率が40％以上の銘柄を選びましょうということです。
言い換えれば「薄利多売な商売には投資しない」と取ることもできます。

では、Apple社はどうでしょうか？一緒に見てみましょう。

先ほどのIncome Statementから、Gross Profit を Total Revenueで割っていきます。

この売上高利益率、扱う商品や業界によってもかなり変わってきます。
原価が高くて利益率が低そうな業界といえば？
色々ありますが、その一つが建設業です。建材も高いし毎回同じ建物をたてるわけじゃないので、効率化も難しそうですよね。

6カ国に50以上のオフィスを構えるアメリカ最大手の建設会社Fluor Corporation(FLR)は、例年3%前後が当たり前。凄いカツカツの商売！
中堅のNorthern American Construction(NOA)でも基本10％台です。

逆に原価が低そうな業界といえば？今回はFacebookやInstagramなどのSNS, さらにAI開発なども行なっているMeta Platforms社(META)を見てみましょ。

なんと驚異の80%超え！しかも例年こんな感じです。売上に対して原価が20%以下なんて、、、もはやズルいですね(投資家にとっては良いニュースなんですが)。

このように売上高利益率は、その会社がカツカツなのか、ジャブジャブなのか、が分かります。是非ご自分が興味ある会社(あるいは業界)の売上高利益率を算出して、ジャブジャブの会社に投資していきましょう！

　II. 純利益率（NetIncome / Revenue ）が20％以上

ジャブジャブな会社が見つかったのでそこに投資すれば良いのでは？となりそうですが、気をつけたい点はまだまだあります。

先ほどのGross Profit(粗利益)は、あくまで売上から商品の原価を引いただけのもの。ですが、商品を売るには従業員の給料、新商品の開発費、広告費や税金など、その他に色んなお金がかかります。

ここで見ていくNet Incomeとは「純利益」のこと。
先ほどのGross Profitからさらに、商品コスト以外のいろーんな費用を全部引いて「最終的に手元に残る利益」です。
GrossProfitはあるんだけど人件費や研究費に金がかかりすぎてて結局カツカツなんて会社はよくあります。そのためNet Incomeも大事というわけ。

純利益率は、Net Incomeを先程のRevenueで割ることで算出されます。
Appleの財務で見てみましょう。

Net Incomeはけっこう下の方にあります。トグルを開いてNet Incomeを見つけたらRevenueで割ってあげましょ。

一方、売上高利益率は高いのに、純利益率が低い会社の例を挙げます。
半導体メーカーのIntel Corporation(INTC)です。ちょっと前まで全てのMacパソコンに使われていましたね。

ご覧ください。売上高利益率は40％なのに純利益がやばい。「Intel はいって…ない😭」

このような会社は商品原価は安いのに、他のことに金を使いすぎて効率よく利益を出せていないこととなり、投資対象からは外れます。

〜もう少し詳しく〜
かつて業界の巨人だったIntel。なぜ売上高利益率は高いのに、純利益がこんなに低くなってしまったのでしょう？下に内訳を載せていますが、Gross Profitのあと、その他の費用の中で1つだけめちゃくちゃ金使ってる所がありますよね？そう、Operating Expence(運営費用)の中のReseach&Developmentです。つまり研究開発費にほとんどの利益を使い果たしてしまっています。

Intelは、ほぼ全てのWindows/Macパソコンに使われる半導体メーカーとして一時代を築きましたが、新興のAMD社などライバル企業に追われ、さらにAppleも自社で半導体を作るようになったため、競争力を失っていきました。何を隠そうこの私も、2020年にIntelからAMDのRyzenに乗り換えたPC
ビルダーの1人。それに、今この記事を書いているMacも「M1チップ」です。Intelの競争力の低下はガジェット好きの方ならなんとなく肌で感じることができると思います。

そんなライバル企業に負けじと、上がった利益のほとんどを半導体の研究開発に使っているという状態が続いているのです。

GrossProfitの8割近くを研究開発に使うのは、かなり厳しい…
ちなみにAppleの研究開発費は17％ほどです。

このCM懐かしいな…

　III. 内部留保(Retained Earnings)が安定成長している

さて、原価が低くジャブジャブの会社でかつ、手元に残る純利益もしっかり確保している会社が見つかりました。でもこれで十分ではありません。

考えられるのは「偶然今年だけ儲かった」というシチュエーションです。
「赤字を繰り返し多額の借金を抱えているが、今年だけ急に儲かった」
そんな会社は投資対象としては魅力的ではありません。
私たちは投資家ですので、長い目で安定して成長してくれる会社に投資するべきです。

ですので、企業が以前からしっかり稼いでいるか？
稼いだお金は溜め込まず、借金の返済や新たな投資に使っているか？
を見ていく必要があります。そのために見るのがBalance Sheetです。

Balance Sheetは、一言で言えば、企業の健康診断表です。

企業が今持っている
現金や在庫品などの「Asset (資産)」
返さなきゃいけないお金や建物のローンなど「Liability (負債)」
返さなくて良いお金「Equity (自己資本)」
この3つで構成されています。
構成比を見るだけで、借金まみれなのか自己資本が多いのか、が分かります。そして借金まみれの会社は避けましょう！
なぜなら資本金と違い借金には利息があるからです。

〜世界一稼げてるのに、利息の支払いに精一杯なサッカークラブの話〜
イギリスの名門サッカークラブ、マンチェスターユナイテッドをご存知でしょうか？世界中にファンがいるこのクラブてすが、実は借金まみれで利息の支払いに苦しめられているまさに典型例なのです。

2005年、アメリカの実業家であるグレイザ一家がレバレッジドバイアウトという手法でクラブを買収しました。この手法は買収にかかる500億円ものお金を銀行からの借金でまかない、さらにその借金をクラブ自体に背負わせるというもの。

しかも借金の利息は年間16%と、毎年約80億円の利息をクラブは抱えることになりました。世界中にファンのいるクラブなので毎年の増収増益を維持してきましたが、その利益は選手の給与と利息の支払いに消え続けました。

それから15年以上経った今も最初の500億円の借金はまるまる残っているそうです。グレイザー家は、クラブを衰弱させた最大の原因だとして、サポーターから常に批判の目にさらされてきました。今年から新たなオーナーにクラブの一部が買収されたそうで、財政状況が回復することを祈るばかりです。

話を戻しましょう。Balance Sheetの中でウォーレンが特に注目するのは、Equity (自己資本)に含まれるRetained Earnings（内部留保）という項目です。

1つ前に、Net Income（純利益）を見ましたね。
「最終的に手元に残る利益」がNet Incomeでした。

この利益、会社は全部貯金に回すのでしょうか？
もちろんそんなことはありません。
このお金で、株主に配当として還元したり、将来のために設備を買ったりします。こうやって純利益を色々なところに使い、それでも残ったお金は予備のために貯めておきます。この貯金額がRetained Earnings（内部留保）なのです。

ウォーレンは、このRetained Earningsが安定的に増加していることを良しとしています。増えたり減ったりもダメ、急に増えすぎるのもダメ、減り続けているのももちろんダメです。

左から、バークシャー・ハサウェイ / ズームヴィデオコミュニケーションズ / インテルの内部留保

増えたり減ったりするのがダメなのは、利益を上げられている年と、貯金を切り崩している年が交互にある、ということ。安定した収益を上げていないためリスクが高いと判断されてしまいます。

また、爆増がダメなのは、通称「金あまり」状態と言って、
増えた純利益の使い道が分かっていない状態と見られてしまいます。
利益が上がっても、次なる施策に投資できないと株価は上がりません。

特に、2019-21年のコロナ禍で一気に売上を伸ばしたZOOMは
[Retained Earnings]
2020年：337百万ドル
2021年：943百万ドル
2022年：2048百万ドル
と内部留保を毎年3倍に爆増させています。が、その期間の株価をご覧ください。

儲かるのは良い事ですが、儲けをうまく使えない会社は避けましょう。

　IV. 自己資本利益率 (Net Income / Shareholder's Equity)が20％以上

ここで投資家が最も気にする指標の1つを紹介します。それが自己資本利益率、英語でROE(Return on Equity)と呼ばれる指標です

この指標は、企業の稼ぐ力の効率性を見るもので、投資情報には必ず記載されるくらいよく使われます。

そもそも企業は、銀行からお金を借りたり投資家から資金を調達。そのお金をやりくりしてお金を稼ぎます。
例えば投資家から合計100億円の資本を提供してもらい年10億円の利益を出す企業と、投資家から50億円の資本を受けて年10億利益を出す企業では、同じ10億でも効率が全然違いますよね。

この効率性が、Net Income(純利益)をShareholder’s Equity(株主資本)で割った数値、「自己資本利益率(ROE)」で計測できます。

ウォーレンはこの指標が20%以上であるのが理想としています。つまり私たちが投資した100円で、毎年20円ぶんの利益を出す会社ということ。
ではApple社はどうでしょうか？

Appleは162％と大気圏を突破。一方METAは25％、それでも高い方です！
Appleが異常に高いのは2018年から大規模な自社株買いや配当を行っている影響もあります。

正直ROE20%ってむちゃくちゃハードル高めです。こんな企業ほぼ存在しないのが現実ですが、発見した時は是非投資を検討したいです！

またこの指標は競合他社や、マーケット全体と比べる際にも便利な指標です。ROEが10%でも、市場全体が3%ならめちゃ効率良いです！逆にROEが20%でも、マーケット全体が30%だったら効率の悪い会社ということです。

以下に2024年の業界ごとのROEをまとめましたので、ぜひご参考ください↓

「稼ぐ力」それ自体も大事ですが、投資家からの資本をいかに効率よく収益に繋げられているか、が非常に重要なのです。

　V. 純利益に対する設備投資費用(Capital Expenditure / Net Income)が25%以下

さて、最後は企業の現金の流れを見ていきましょう。「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか？会社は黒字（つまり利益が上がっている）なのに倒産する、というなんとも不思議な状態です。

これが起こる原因は例えば、
・売上は上がっているのに支払いの回収が遅れて現金がなくなる
・上がった売上を設備投資に使いすぎて現金がなくなる
・利益を借金の返済に全部使ってしまって現金がなくなる
などが考えられます。

つまり、会計上の利益だけ見ていたら知らぬまに現金が底をついていた、なんてこともあり得るのです。
Cash Flow Statememtだけでもたくさんの情報を得ることができますが、今回取り上げるのは1つだけ。Capital Expenditure (設備投資) に使っている現金です。設備投資とは、工場や店舗の新設 / 設備や機器 / ソフトウェアやシステム / 新製品の開発 / 新事業の買収、など様々な将来に向けての投資を含みます。

ウォーレンは、Net IncomeのうちCapital Expenditureに使う現金が25％以下であることを望みます。利益の多くを設備投資に使うことは、一見積極的に見えて良いことのように思えます。

しかしウォーレンに言わせると「設備投資に金を使わなきゃいけない＝あせっている（設備投資しないと競争優位性が保てない）」ことを裏付けているそう。ではAppleはどうでしょうか？

Capital ExpenditureをNet Incomeで割ると、Appleは10％以下。すばらしい

このように比べると、METAは利益の7割を設備投資に使い、インテルに至っては利益の15倍の額を使ってしまっています。
そんなインテルは、Income Statementではギリギリ利益を出していますが、Cash Flowを見ると会社から現金がどんどん減っていっている状況だと分かるのです。

このように、利益を設備に使い果たしてしまう会社は、長期的に魅力のある会社とは言えないかもしれません。

1. 売上高利益率（GrossProfit を Revenue で割った割合）が40％以上
2. 純利益率（NetIncome を Revenue で割った割合）が20％以上
3. 内部留保 (Retained Earning)が安定成長している
4. 自己資本利益率 (Net IncomeをShareholder's Equityで割った割合)が20％以上
5. 純利益に対する設備投資(Capital Expenditure)の費用が25%以下
です。

さて、『ウォーレンバフェットの財務諸表の読み方』
以上の5ポイントいかがだったでしょうか？

スプレッドシートにて一緒に計算してくれた方は、是非ご自分が気になるいろんな企業を分析・比較してみてください！比べてみることで初めて分かる事が沢山あります。今まで名前を聞いたこともない、でも素晴らしい業績を上げている会社がいくつもあることに気づくはず。

私もこの5ポイントは必ず数値化してランキングつけながら投資判断をしています。是非お試しを！

専門が半導体なので、上場している72社全て分析しています。会社によって全然違ってオモシロイ

ウォーレンからのメッセージ

あなたは会計を理解しなければならない。
会計のニュアンスというものを。
それはビジネスにとって「言語」のようなものだ。
完璧な言語ではないが、会計を理解しようと努力すること
（つまり、財務諸表を読み理解すること）を怠るのであれば、
自分で株式を選ぶ資格はない

〜あとがき〜

新NISA開始とともにこの度投資家デビューを飾った人も多いと思います。定年を迎えた私の母も年明けにNISA口座を開設しました。

しかし、どこに投資しようか？と思った矢先「何も分かんない🤷‍♀️」状態になってしまう母。新聞やネットには『これから上がる株10選！』とか『絶対損しないポートフォリオ』などの情報が溢れかえっていました。ですがどの媒体もみんな言ってることが結構違う。オススメ銘柄もバラバラ。結果、「もう分からないからお任せする」と言って息子の私に丸投げしてしまいました。今では私が代理で管理しております。

私はこういう時、どうしても「自分で勉強して自分で選びなよ」「財務を読めば簡単だよ」と思ってしまうんです。ですが、返ってくる反応は「だったらどうやって勉強すれば良いわけ？」「どれが信用できる情報なの？」です。考えてみれば当たり前ですね。

財務諸表を読んだことがない人は、あの数字の羅列を一目見ただけで一気に萎えてしまうと思います。ですが、ちょっとでも理解できると、見ているだけで色んなストーリーを語ってくれるのです。今回解説した分だけでも「この会社はカツカツだな」とか「効率よく稼ぎよるな」とか「現金の使い道迷ってるな」とか。

「会計は言語のようなもの」と言いますが、まさにそんな感じです。数字を通して、その会社の実態が物語になって溢れ出てきます。

投資家はそんな企業のストーリーに賭けているのだと思います。皆さんも財務を読んで、良いストーリーを語っている企業があれば是非応援の意味で投資してみましょう。

この記事を、財務諸表の物語を読み解くきっかけにしていただけると嬉しいです。

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