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発明論

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発明とは何か。発明の意義を考察する。
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#科学

【雑記】科学と数学を未分化としての文化へと持ち出す

普通は数学や科学というものの誕生を語るときは、哲学が持ち出される。すなわち、近代科学以前というのは古代ギリシャ哲学のアルケーに代表される自然哲学であり、また数学における思索というのもピタゴラス学派や論理学と密接した哲学的営みであった。 だが私はこれだけではその本質が足りないと思う。真に科学と数学を見つめ直すには、それを風土-文化的次元にまで落とし込まないといけないと思う。すなわち、科学と数学は文化が産み落としたという主張だ。プロテスタンティズムに引っ掛けたマートンテーゼやピ

【雑記】「空想が現実なる世界」と社会主義

「空想から現実へ ―マルクス,レーニン,スターリン,毛沢東, 鄧小平に見られる社会主義像の変遷―」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjce/55/2/55_2_85/_pdf いわゆる空想的社会主義から脈々と続く一連の議論である。詳細は資料に譲る。 多角的に議論される対象だとは思うが、私がはじめて知ったのはエンゲルスの『空想より科学へ』だった。 オーエン、フーリエ、サン=シモンがこのような系譜の上に議論できることを面白く思っ

【なぜ発明?】ただ「なぜ」を突き詰めたいだけだった。

 なぜ発明論を構築しようと考えたのか。それは既存のシステム(ルール)への自覚に由来する。 1. 昇華された時  2020年のパンデミックは私に「科学とは何か」を問わせてきた。失われる人間性、社会の不安定性。ただ「なぜなのか?」を問うには科学では狭過ぎた。その時になってようやく、根深く複雑な社会問題に気付かされた。  そんな中出会ったのがまず技術論と科学哲学であった。技術への問いかけは理性への過信を明らかにし、技術それ自体の凶暴性を露わにした。科学哲学は科学の枠組みを提示