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発明論

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発明とは何か。発明の意義を考察する。
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#発明家

【雑記】世界一の発明家になるには。

発明家とは何かというのは既に上記に示している。しかし「なるには」という問題は非常に難しい。別に世界に発明家の機関があるわけではないから(厳密に言えば発明家殿堂というのがアメリカにある、しかしこれは欧米的な発明観に過ぎない)、結局言ったもん勝ちみたいなところはある。 象徴あるいは影響力、発明家という英雄譚世界一の発明家って聞けば基本的にエジソンを思い起こすだろう。私は近現代的発明家像というのは明らかにエジソンによるものだと思っている。これを実証的に研究するのは至難の業だが、日

【雑記】発明家とは何か。

発明家とは職業ではない。生き方である。 すでにある既存のものから脱し、自分が求めるものを創造する。これは既存ではないのだから発明と呼ばれる行為に該当する。 すなわち発明とはあらゆる既存の枠組みから脱した自由な存在に他ならないのだ。 そうなると発明家に必要な能力が見えてくる。 ひとつはあらゆるものを創り出す能力。これは神に該当する能力でもあった。古代では人間は自然の模倣しかできないと考えられてきた。それは近代において理論化され、現代では新結合と呼ばれるものへと至る。しか

発明論入門の基礎

※この記事は2022年7月3日に開催した「退屈な未来に君の空想を ー発明ワークショップー<中高生限定>」の付録教材の内容です。  ここで展開される発明というものが何を指すのか、またどのようなものなのかを簡単に解説します。ここで紹介されている理論を自分なりの言葉や行動でたくさんの人に伝えていただければ幸いです。 発明って何? 現在の発明の定義は主に特許制度などの知的財産の保護の対象を指しますが、発明という行為はそれに限らず様々なところで成されてきました。例えば現状の定義だと

【なぜ発明?】ただ「なぜ」を突き詰めたいだけだった。

 なぜ発明論を構築しようと考えたのか。それは既存のシステム(ルール)への自覚に由来する。 1. 昇華された時  2020年のパンデミックは私に「科学とは何か」を問わせてきた。失われる人間性、社会の不安定性。ただ「なぜなのか?」を問うには科学では狭過ぎた。その時になってようやく、根深く複雑な社会問題に気付かされた。  そんな中出会ったのがまず技術論と科学哲学であった。技術への問いかけは理性への過信を明らかにし、技術それ自体の凶暴性を露わにした。科学哲学は科学の枠組みを提示

願文 空想が現実になる世界の実現

天台宗を開いた伝教大師最澄は延暦六年(787)満20歳に『願文』を著した。これは比叡山に入り、独り修行生活をおこなった最澄が自己のありようを真摯に見つめ、深い考察のもとに純粋な理想をかかげた、格調高い文章である。 今20歳を終えようとしている私が、最澄ほどの誓願と文章を書けるとは思わない(それほど格調高い内容である)。しかし彼が『願文』を著したことで、その思想と修行の様子が桓武天皇にまで達し、宮中の役職に任命され、短期留学と共に空海と出会い、最先端の天台教学を学び、806年