マガジンのカバー画像

発明論

12
発明とは何か。発明の意義を考察する。
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

【雑記】私と結合術:バベルの図書館と華厳経、あるいはアルス・コンビナトリア

淡い記憶に沈みゆく中で微かに煌めくイマージュというものは誰にでもある。大学の授業も同様にあれだけの時間を過ごしておいて印象的なものというのはごくわずかだ。だがそのごく一部の印象的なことが後々に大きな問いかけとなって現れることがある。 SFC入学したての秋に受けた「デザイン言語実践」という授業で私はそのような体験をした。デザイン言語というのはデザインを言語と同じように身体的に扱おうではないかという総合大学ではじめてデザインを扱ったSFCにおける学問的ムーブメントのひとつつであ

【雑記】科学と数学を未分化としての文化へと持ち出す

普通は数学や科学というものの誕生を語るときは、哲学が持ち出される。すなわち、近代科学以前というのは古代ギリシャ哲学のアルケーに代表される自然哲学であり、また数学における思索というのもピタゴラス学派や論理学と密接した哲学的営みであった。 だが私はこれだけではその本質が足りないと思う。真に科学と数学を見つめ直すには、それを風土-文化的次元にまで落とし込まないといけないと思う。すなわち、科学と数学は文化が産み落としたという主張だ。プロテスタンティズムに引っ掛けたマートンテーゼやピ

【雑記】大きな發明と小さな發明

我々は發明をし続ける。まだ見ぬ何かを見るために。 電球や蒸気機関、コンピュータなど何か個体的なものを發明することを「小さな發明」という。 そしてこの小さな發明は他の小さな發明と関係しあって、新しい發明を生み出す。ちょうど数が發明されて、数学ができ、物理が可能になり、工学が誕生したように、發明は異なる發明の非連続的な連続によって成立する。 これら小さな發明がまだ見ぬ何か大きなものを發明しようとしていることを「大きな發明」という。 發明とはこれまでにない新しいものである。小さ