よく言えばガーデニング　56

　任された細長庭に、ツレアイが笹を植えたいと。
　自営の飲食店の横の庭なのだけど、店で使う笹を植える場所が欲しいとのこと。

　どうぞどうぞ。
　あなたの土地、あなたのお店ですもの。
　かえって使わせていただきありがとうございます。

　申し上げませんでしたが、〈笹〉は、全くババアの求めているコンセプトとは違います。けれども反対する術はございません。

　植える場所確認、植える広さ確認。
　雨の合間の土曜日、愛犬がいなくなってから、何かとやる気が起きずメッキリ減った庭作業が祟って荒れていた部分に鍬ならぬスコップを入れて、整地しましたよ。
　笹用に。
　途中から業者さんが来て、花壇造りですか、と、お声掛け頂く。

　ツレアイが、このヒトいつもやり始めることはするんだけど、あとはこちらに任せっぱなしで、と、笑っている。

　いや、確かにそれも大概がそうなんですけど。ババアの指は花を枯らす指なので、お世話お頼み申しております。
　ただここは、アナタが、笹を植えたいとおっしゃったので、ご要望に応えようとしているだけなんですが。
　もっのすごく正直に言うと、笹、別に植えたくないんですけど。

　薔薇とか、カスミソウとか、レースフラワー好きなんですが。
　壊れてボロボロですが、ワゴンとか設置してるんですが。

　そこに、〈笹〉。
　さらに、お役に立てば、のつもりでお手伝いしている気でいるワタシを貶めますか。
　いいですけど。
　楽しんでいただければ。
　ババアは不愉快ですけどね。

　お店があって生活していけるのですもの。
　ツレアイも特に好きな植物ってわけではなく、ただ玄関開けたらすぐにあしらいの笹、が便利だから植えたいのはわかります。

　協力しますよ。してますよ。しなくちゃねえ、と思いましたもの。
　腐されながら。
　なんだかねえ、と、思いつつ、植えましたわよ、〈笹〉

　義母に笹、根付きの取ってきてもらいました。
　国の土地から。
　ありがとう、国。

　根のあるヤツを植えて、それが背が高すぎな気がして、切ったものも刺してみました。
　義母に話したら、笹は根がないと増えないのではないか、と、苦笑される。
　そうなのね。
　挿木みたいにはならないのね。残念。
　また、天候を見て、義母が取ってきてくれるそうです。
　国の土地から。
　国の土地って、どこだろう。

　お店横の細長庭は謎コンセプトの庭になります。

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