覚え書き 29 また会いましょう

 本当にすごく時間が経ってしまった。

 ようやく会えるね、って思ったら、病気で入院とか。

 お互いに残念でした。

 退院予定が長びいたとか。
 いよいよ会えないことがわかるまで、内緒で闘病、入院してたのね。

 もしかしたら、もし、会えてても、そのことを内緒にしたまま、あなたは私の暴飲暴食に付き合ってくれる覚悟だったのかな。
 ありがとね。

 しかも、会えないことにすごく責任を感じてもらったりして。
 そんな必要ないのに。

 仕方ないことは仕方ないじゃないですか。

 ワタクシもいい年になったので、穏やかに受け止められます。

 もちろん、会えないのは残念だけど、それはお互い様。

 気にしないで。
 気に病まないで。
 しっかり身体治して。

 昔話ですが、

 長女が生まれた年、長女の誕生から間も無く私の誕生日がやってきたのだけど、その日、おめでとう、ってメッセージ送ってくれたのは、あなただけだったんですよ。

 ツレアイにも言ってもらえなかった。

 子どもが誕生したのは、素晴らしいことだけど、何だか、私のことはどうでもいいみたい、と、寂しい気持ちでため息をつく誕生日。

 母が亡くなっていたから、もし、母が存命だったら母だけは言ってくれたかなあ、って、思ったり。
 どうでもいい存在なのよね、結局、自分て。
 母がいないから。
 母だけは大事に思っておてくれたけど、母がいなくなったのだもの、私はもう誰かの大切な存在ではないんだよね。誰にも気にかけてもらえないんだな。
 仕方ないですね。
 ないがしろです。
 なんて、荒んでいたら、あなたから、おめでとうのメッセージが届きました。

 あなたにとっては、毎年の恒例の気持ちだったのかもしれないけど、わたしはすごく嬉しかった。
 気にかけてくれるあなたがいてくれる。
 何かからはわからないけど、救われた気持ちになったんだよ。

 昔の話だけど、あなたには話していないことだけど、あの時のあなたからのお祝いは、それからもずっと私の心を支えてくれている。

 そのあなたが病気だなんて。
 大病ではなくて、本当に良かった。
 会えなかなったのを責める気なんて更々ないですよ。
 あとは回復を待つだけのご様子だから、そこまで心配しなくても良いとは思うけど、ただただ、元気になってほしい。

 そして、またいつか、会いましょう。

 わたしたちの懐かしい思い出の詰まった北の街かもしれないし、二人で初めて訪れるのかもしれないその場所で。

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