ばばあの繰り言 62 天罰
咳がやたらに出て、今思うと今回の病はあの頃が咬耗にいるの頃だったかなと思う。そんな折。
自営の店舗で、ボンゴレロッソの注文が入った。
アサリは冷凍のむき身アサリ。
ツレアイ、冷凍庫から取り出すも、パックが劣化していたのか、取り出し方が悪かったのか、あさりが、バラバラとゆかに溢れた。
まーったく と、苛立ちながらしゃがみこんで床に散らばったアサリを両手で集めてゴミ箱に捨てるツレアイ。そのツレアイの姿を見て、あれ、なんか、これ、知ってる風景じゃないですか?
アサリを集めてゴミ箱に、いや、これがゴミ箱ではなくてバケツに入れる、なら、、、。
そう。
これ、潮干狩りだ。
季節の先取り。
海辺、砂浜ではなく、自営店の営業中に潮干狩りをやってみせるなんざあ、まったく、粋なお方じゃあありませんか。
いいよ、いい。
春っぽい。潮干狩り、それ、潮干狩りだね、
と、ばばあ喜ぶ喜ぶ。
ツレアイの不運に手を叩いて喜んでたら、ツボにハマって笑いが止まらなくなる。笑うと連動して咳が出て、苦しい。おかしい、ゲホゲホ、苦しい、おかしい、苦しい、誰か止めて、助けてえ、とおかし苦しんでおりました。
ツレアイによると、この苦しみは、ツレアイのしくじりを潮干狩りに見立てて喜んだばばあへの天罰だそうです。
春近し。
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