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天才ヒットメーカー織田哲郎が語る「歌唱力ってなんだろう?」

今年の前半で最も面白いと感じた動画が織田哲郎の「歌唱力ってなんだろう?」だ。

『歌唱力ってなんだろう?』織田哲郎

私も、長年、いろんな歌を聴いてきていて、歌唱力とは何かを自分なりに定義していたりする。

歌唱力には、歌唱正確力と歌唱表現力の2つがあって、歌唱正確力を高いレベルで持ちながらも、そこをあえて崩して人々の心を動かすのが歌唱表現力だと。

しかし、最近のテレビではカラオケの得点を競って高得点なら歌唱力がある、と認定されがちだ。歌唱正確力が優れているから、分かりやすい。

だが、いくらカラオケの採点が高得点でも、どうも心に響かない。テレビに出ているカラオケ高得点者たちがその歌唱を音楽作品として発売しても売れないだろう。

それは、歌唱表現力という側面が抜け落ちているからである。

もし、歌唱正確力によって、音楽作品が売れるなら、音大で声楽を優秀な成績で卒業した人たちばかりが大ヒットを飛ばすことになる。それどころか、人間よりもむしろボーカロイドの方が正確だから、大ヒットはボーカロイドばかりになるにちがいない。

でも、そうならないのは、歌唱表現力が最も重要だからに他ならない。

織田哲郎の動画は、実際の歌手を例に挙げながら、歌唱力とは何なのかを分かりやすく解説してくれている。

一般的に歌唱力があると言われる4つの要素。
音程、リズム、声量、有効音域。

プロになれば、その4つはツールであって、そこを超越して「感情が動くこと」が大事だという。

例としてセリーヌ・ディオンとビリー・アイリッシュは、表現しようとしている世界が全く別だから歌唱力の比較にならない。
そもそも、競技が異なるのだ、と。

セリーヌ・ディオン「My Heart Will Go On」

ビリー・アイリッシュ「bad guy」

日本で言えば、MISIAと森田童子。

MISIA「逢いたくていま」

森田童子「ぼくたちの失敗」

織田の好きな音楽で言えばディマシュ・クダイベルゲンとマーク・ノップラー。

ディマシュ・クダイベルゲン「S.O.S」

マーク・ノップラー「What It Is」

これらを比較しながら聴いてみると、壮大な世界と繊細な世界がそれぞれ見えてくる。

つまり、歌としての世界が見事に成立していれば、それこそが歌唱力なのだ。

そんな総合的な歌唱力を織田が特に感じているのは、中森明菜、中島みゆき、ちあきなおみだという。

中森明菜「難破船」

中島みゆき「時代」

ちあきなおみ「黄昏のビギン」

聴いていると、主人公の心情が浸透するように伝わってくるし、情景が映像のように見えてくる。

織田が言うように「1曲1曲その世界を持てる力で表現しよう」と精魂込めて作り上げ、人々を歌の世界に引き込む歌手こそ「歌唱力がある」のだろう。


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