曽水に生きて 成瀬正成 中

14 傅役

江戸に着いた半左衛門は、その足で将軍秀忠公に目通りするため、江戸城に向かった。江戸城では、すんなり目通りが叶い、部屋に通された。初めて会う将軍秀忠公の印象は、温厚で優しい方だと感じた。秀忠公は半左衛門を見て「そなたがあの隼人正のせがれか?大御所様から聞いたところによると、あの隼人正をてこずらせたとか…そなたの風貌、私は気に入ったぞ」と言い、側にいた叔父の正武に「この者は小姓組に配属するので、そなたが親族のよしみで、面倒を見てやれ」と言われた。「はっ」と秀忠公に深々と頭を下げた人物が、初めて会う叔父の正武であった。

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