生まれてすぐの時に、阪神淡路大震災が起きました。 地下鉄サリン事件も起きました。 何事かは分かりませんでした。 小学生の時に、同時多発テロが起きました。 何事かは分かりませんでした。 高校生の時に、東日本大震災が起きました。 とにかくやばいとは思いました。 社会人の時、新型コロナウイルスが世界中で流行しました。 まじつらたんと思いました。 そして、私は旅にでました。 もう出席番号も、社員番号もありません。 今の私は解釈次第では無価値です。 今後どうなるかはわかりませ
気づいたらトンネルの中だった 後ろを振り向く 入り口は見えない 自分を信じて前に進んでみる 出口は見えない もう一度、後ろを振り返る わからなくなる おれんじ色の薄明かりだけが呼吸を許す 目を閉じたまま、前に走り出してみた つまずいて転んだ 薄明かりが差すコンクリートに自分の影が落ちた とても安心した 反対側から足音が聞こえた 「こんにちは」 通りすがりに挨拶を交わす もう何も怖くなくなった
強い風 弱い風 体を揺らす風 心地よい風 逆風 追い風 どこに向かって風は わたしはどうやら風に 雲間をどんどんすりぬけていく 微動だにしない山を横目にして
お父さんに連れられて家に来た時はまだ赤ちゃんだったね 小さくてかわいいなと思った 一年が経ち、二年が経ち、私より大きくなったね 少し怖いと思った ある日、君は柵を乗り越えてどこかに行ってしまったね 涙が止まらなかった 寂しかった でも、数時間後には君は無事に戻ってきてくれたね 大切な存在だと思った もう君はいない 私は生きている 君との時間も生きている
パリンパリンと音を出して 割れていった 思ったより うすくて脆かったみたいだ 本当は掴むつもりはなかったんだけどな 何かおかしいな もう一度よく眺めてみる 美しい世界に入ったみたいだ
白い息が地球に取り込まれていく わたしの存在が曖昧になる わたしの輪郭が消えていく わたしの心は浮かび上がってくる でも、しばらくしたらなんだか怖くなった そっと手と手をあわせて薄い皮膚を感じる ようやく落ち着いた
あさが去っていく 赤が青に変わった どこか遠くに歩き出したくなった あさが去っていく 黒が白に変わった 家でのんびりしたくなった あさが去っていく 黒のまんまだ 何もしたくなくなった あさが去るのはどこかさびしい でもあさがずっと続くのもいやだ もっと楽しいことが待っている気がするから
