へその緒 (朝の作文2017.10.27)

 その赤ん坊は、産まれた時にへその緒が首に三重に巻き付いていた。しかし、だれもその事に気づかなかった。
 特に問題なくその赤ん坊は大きくなった。少し呼吸しづらいが、産まれた時からそういういうものだと思っていた。
 ある日、事故で首の骨を折ってしまった。しかも送り込まれた病院の医師は全員バイトで、手術とかにものすごく時間がかかった。
 首の骨が折れたら呼吸できなくなるが、元々呼吸が少ないのでぎりぎり大丈夫だった。
 その赤ん坊も老人になり、癌になって入院した。そして、最初に診察をした医師が気づいた。首にへその緒が巻き付いていたのだ。それを取ってみると、なんと癌は治り12才まで若返って、末永く暮らした。しかし、首だけはいつまでも細かった。

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