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(コラム)私の小説執筆環境について

 需要があるかどうかわかりませんが、私の執筆環境とかを公開しようと思います(2020年12月現在)。
 私自身は、他の作家さんの小説作法とか仕事への信念とか信条みたいなものにはあまり興味が湧かないんですが(すみません)、どんな机、どんな環境で、どんなソフトウェアや道具を使って書いているかは、すごく気になるので。

1)仕事場

 私は、自宅からチャリで20分ほどの場所に仕事場を借りています。
 いわゆる「シェアオフィス」という形態のワークスペースで、オフィスフロアにパーテーションで区切られた1.5畳くらいの広さのスペースが並んでおり、複合プリンターやシュレッダーなどのOA機器や、Wi-Fi環境などは共有しています。

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(コックピット感漂う私のブース)

 居心地がいいので、もうここを借りて4年くらい経ちます。
 デビュー当時は、もちろん自宅で仕事をしており、その後、数年の間はファミレスやカフェを点々とするノマドワーカーをしていましたが、連載が3本くらい重なって忙しくなった頃に、仕事とプライベートを切り替える必要性を強く感じ、思い切って借りることにしました。
 月々の家賃は3万5000円くらいです。
 ちょっとお高いと感じる人もいるかもしれませんが、この料金には、電気代や冷暖房費などの光熱費や、Wi-Fiの使用料も含まれているので、実は割安だと思っています。
 ゴミ出しは、きちんと分類しておけばオフィスの管理人がやってくれますし、トイレ清掃も業者がやってくれているので自分でする必要なし。
 あと、私は使ったことありませんが打ち合わせ用の会議室もあり、ブースに固定電話を引いたりシェアオフィスの住所で会社登記することもできます。もちろん郵便物や宅配便の受け取りも可能。365日24時間いつでも使える。
 他のブースを借りている人とは顔を合わせたら挨拶するくらいですが、税理士さんが個人事務所として使っていたり、プログラム開発のサテライトオフィスとして使われていたりするみたいです。
 一、二年で出て行く人が多いので、詳しくは知りませんが、たぶん文筆業は私一人だと思います。

2)執筆に使用しているソフトウェア

■WZ writing Editor 2(WZ software)
 いわゆるテキストエディタです。名前の通り、小説などの執筆用に特化されたエディタですが、シェアウェアソフトなので使用にはお金を払って購入する必要があります(WZ software のホームページはこちら)。
 でも本来は私、『QXエディタ』の愛用者だったんですよ。
 今でも使いやすさでQXを凌ぐエディタはないと思っているんですが、ご存じの通りQXは個人開発のフリーソフトで、一時期、何年もソフトの更新がなく仕様がどんどん古くなってしまい、UFT-8未対応という、時代小説も書く立場としては致命的な欠点もあり(変換・表示できない漢字がたくさんある)、それで使用を続けるのを断念しました。
 確か『鷹野鍼灸院の事件簿』を書いている時に、変換・表示できないツボの名前があまりに多く、とりあえず近めの当用漢字を当てておいてゲラの時に手作業で全部直すという面倒な作業をするはめになり、それで使うのやめたのかな。
 その後、UTF-8対応の『New QX』アルファ版のリリースが発表された時は小躍りしたんですが、今、久しぶりに公式ページを見てみたら、New QXの方も、2017年にアルファ版のまま更新が止まってますね……。
『WZ writing Editor 2』は、QXに代わるようなエディタがないか必死に探して辿り着いたものです。1の時から使っています。
 これもすごくいいエディタなんだけど、QXにあったような、左側のウィンドウにフォルダの内容を表示しっぱなしにして、簡単にテキストファイルを画面上に呼び出したり切り替えできるような機能があれば完璧なのになあ……といつも思います。

■ATOK(ジャストシステム)
 日本語入力変換ソフト(IME)。これは定番すぎて特に書くことない。
 無料IMEの『Google日本語入力』も興味は持っているんですが、執筆環境に直接影響があるからなあ……。

■Word 2013(マイクロソフト)
 書き上がった原稿を編集者に送信する時のみ使っています。
 その都度、テキストエディタで執筆した原稿を、コピペでWord の新規文書に貼り付けて保存し、マクロを使ってルビ変換して渡すという面倒な作業をしています。
 私の小説、わりとルビが多いので、それがなければテキストファイルのままで渡せるんですけどね(ショートショートやエッセイなどの短めの原稿でルビや傍点がない時はテキストファイルのまま渡すこともあります)。
 一度、それだったら最初からWordで書けばいいじゃんと思い、チャレンジしたことがありますが、あまりの使いにくさと重さと余計な機能の多さに断念しました。
 やっぱりWordに限らずワープロソフトっていうのは、グラフとか画像を織り交ぜたビジネス書類などを作る道具であって、テキストばかり何百枚分もひたすら入力する小説の執筆には向かないのかなと思います。
 でも最近は、Wordで書いているという作家さんも、以前に較べると多くなったような気もするので、慣れの問題なのかな?
 ちなみに2013という古いバージョンを未だに使っているのは、Wordファイルに変換できさえすれば、それでいいからです。

3)執筆に使用しているPCなど

■INSPIRON 2310(DELL)
 仕事場用PC。
 10年前、デビューが決まった時に、「これからはバリバリ小説書くぞ!」という気合いとともに賞金で購入したもの。未だに現役。
 小説の執筆なんて、テキストエディタが動いてネットに接続さえできれば十分なので、別に高スペックのPCとかいらないんですよね。
 ちなみに最初は750GBのHDDを搭載していたんですが、起動が遅いので今は256GBのSSDに換装しています。容量少なく感じるでしょうけど、小説のテキストファイルなんて、単行本一冊分でも1MBにも満たないので、こんなんで十分。
 ちなみに自宅にあるPCは、仕事専用というわけではないので、自作してそこそこのスペックを積んでいます。

■REALFORCE 91U(東プレ)
 実売2万円近くする高級キーボード。
 知り合いの作家さんが使っているのに影響されて購入。私が買った時は1万8000円くらいだったかな(今はモデルチェンジしてもっと高くなっているみたい)。
 最初のうちは「2万円近くも出してこの程度かー。3000円くらいので良かったな」とか思っていたんですが、スルメのように噛めば噛むほど良さがわかる。
 今はこれ以外のキーボードを使うと、打ちにくさを感じるほどに。
 壊れたらまた高い金出してもリアルフォース買いそうな予感がする。

■トラックボール M570t(ロジテック)
 何でマウスではなくトラックボールを使用しているのかというと、机が狭いからというのと、仕事場でうっかりゲームとかしてしまわないようにという理由で。
 まあ、どっちみちSSDの容量が少ないから、ゲームなんてインストールできないんですけどね。おまじない的に。
 執筆する上では、慣れてしまえば非常に使いやすいです。

■A3対応複合プリンター MFC-J6770CDW(ブラザー)
 複合プリンター。
 仕事場には共有の複合プリンターがあるので、これは自宅に設置しています。
 何でこんなでかい複合機を使っているのかというと、四六版の単行本や雑誌などのゲラはB4サイズで来ることが多く、控えを取るのにA4までしか対応していない複合機だと、一枚一枚、台の上に置いてスキャンしなきゃならないのであまりにも効率が悪く、時間を取られるので嫌だったからです。
 B4以上に対応していて、かつ原稿をまとめて自動的に読み込んでくれるドキュメントスキャナを搭載している複合機は種類が少なく、以前は別メーカーのものを使っていたのですが、そちらは紙詰まりがあまりにも多くて(取り替えのきかない校正エンピツ入りのゲラが何度もぐしゃぐしゃに)、2年ほど使っていたらスキャンした画像に線が何本も入るようになったので廃棄しました。
 ブラザー製にしてからは、そういうトラブルは皆無です。もう6年くらい使っているけど、紙詰まりも過去一度もありません。

 というわけで、思っていたよりも長くなっちゃったな。
 

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