環世界

僕の好きな漫画家の五十嵐大介さんが「ディザインズ」という漫画を執筆されています。五十嵐さんの漫画は好みが別れるかもしれませんが、僕は彼の人間中心ではない、ある種突き放すような感じの価値観が大好きです。

その彼の「ディザインズ」では「環世界」(ウムヴェルト)という概念が重要な要素として登場します。

環世界とは、動物行動学で最近注目されている概念で、「その動物の感覚能力と認知能力で構成される、自分の周りの環境の認知の仕方」というべきものでしょうか。

例えば、我々は視覚を主な感覚能力として環境を認知していて、いわば画像の世界に住んでいます。

同じ視覚でも、例えば鳥類など、視力の焦点距離や脳内の映像処理の速度(テレビのフレームレートのような感じ)、脳内の視覚入力からの情報抽出方法(例えば余分な情報を無視する度合い)などが違えば、また違った世界の見え方があるはずです。

コウモリやイルカは超音波の音響で周囲の環境を認識します。

カエルは、体全体が耳の様に音を感じるのだとか。

犬はにおいの拡散度合いから、数時間まえの状況を知ることができるのだとか。時間の概念すら異なる感覚世界が存在しそうです。

このような、世界の捉え方が全く違うもの同士でコミュニケーションをする場合、果たして言語(ボディランゲージまで含めて)はどれだけ役立つのだろうか?異なる環世界に育まれたコミュニケーション手段には互換性はあるのだろうか?

なんてことを日々考えます。

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