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vs相模原(4/3)A レビュー【2022松本山雅】

・相模原戦レビュー


4月とは思えない寒さと、降り注ぐ雨の中我々のチームが大勝した。
事前情報として、前日の夕方付近までは22時頃からの雨予報だったが、夜中に14時までずれ込み、そのまま朝までずれたような形で、予定外の雨となった。
その中でここ3戦の流れを踏まえて、山雅がどのように戦っていくのかというのが見えてきた。
大勝ではあるが完勝では無い。そこから次の試合に向けてのポイントを探っていきたい。

・スタメン

山雅はこれまで主軸としてメンバーに名を連ねていた、ルカオ・佐藤・パウリーニョ・米原がベンチ外。
ルカオと佐藤に関しては情報が出ていたたが、パウリーニョ・米原に関しては情報が出ていない。
その中で村越が初先発、大卒ルーキー2人が揃ってIHで先発という若いメンバー中心の3-1-4-2。

対して相模原は4-4-2。
山雅に在籍歴のある圍、水本、船山の3人が先発。
まだメンバーが固まりきっていないという情報もあり、どの程度変更があるのかが気になるところではあったが、前節から3人の変更となった。

・山雅の狙い

攻撃は、ビルドアップ・ロングボール双方を使い分けながら。
ビルドアップフェーズでは特に可変はしないものの、出口となる中盤3枚が流動的にスペースに位置取ることで相手を混乱させることに成功。


特に、菊井・住田の両インサイドハーフはかなり自由を許されていた。
ロングボールでは横山と村越に背後を抜けさせるボールを供給。
大雑把に分けた2パターンだが、この2パターンを使い分けることによって、中盤にスペースを作り出すことが出来る。

同サイドで高さを変えてボールを引き出す動きもあった。

守備では、2トップ+菊井でプレスをかける形。
サリーダする川上に対して人数を合わせるプレスを展開していた。


ただ、相手ビルドアップ陣が思ったよりも横山・村越の2度追いやプレスバックに苦戦したことで、菊井がポジションを上げてプレスする回数は減った。
また、SBの位置がそこまで低くなかったことから、山雅が前節出来なかった縦ズレに関してはそこまでする機会がなかった。
結局相模原は遠い位置からクロス・ロングボールで打開するか、サイドで抜ききらない状態からクロスをあげることに終始することになり、前半頭のふわっとした入りからボールを持たれる展開でもさほど怖いシーンを作られることは無かった。

・当たった起用


今季初のスピードタイプを2人並べた起用に加え、運動量が豊富でIQの高いIHを並べた起用が先制点に凝縮されていた。
相模原の攻撃、中央で右IHの住田がボールを奪う。そのボールが直接横山に繋がったところからドリブル開始。
このタイミングで村越が横山の前方を右側から左側に横切るように走り、パスコースを確保。今まで横山のカウンターは単騎突破になりがちだったが、この動きで水本を迷わせ置き去りに、最後は藤原に2択を絞らせず数的優位で押し切った。
この村越の動きはほかのFWにとって(物理的に)なかなか真似出来ない動きであり、一つ起用の結果が出た。
さらに、奪った住田は最終的に横山のシュート時に右隣まで追いついている。
また、細かいところではあるが、その手前のシーンで前が浮田に奪われたタイミングで、左サイドの大外に位置取っていた菊井がプレスバックしながら、住田が浮田に迎撃しに行ったスペースを見つけ、埋めに行っている。このような細かな部分を実行出来る選手たちが生み出した先制点と言えるだろう。


・2点目以降の油断


常田のナイスボレーで2点目を得たあと、山雅はトーンダウンしてしまう。
名波監督も

「(村越)凱光と(横山)歩夢が守備で疲れすぎてしまって」
     山雅プレミアム監督コメントより


とコメントしている通り、疲れてしまって自由にビルドアップさせてしまうシーンが続いた。

そして、宮部がスライディングで掻き出し切れなかったボールから失点。
現地にいながら角度的に確認できていなかったのだが、恐らく左WBの外山が戻っておらず、リスク管理に問題が生まれてしまっていた。
このシーンについては名波監督も

リプレイを見てもブラインド(サイド)のサボり癖というか、リスク管理の中でもう1枚、2枚いるよというところのコミュニケーション不足、正しい位置への帰陣の意識不足というのが見られたと思います。
     山雅プレミアム監督コメントより


と、チーム全体としての課題感を明確に言い切っている。
この点はまずこの1年で修正すべき課題であるし、その解決ははやいに越したことはない。
何を持って解決とするかはまた難しいが、少なくとも4試合でクリーンシート0の現況は改善する必要がある。

・Pick Up SCENE


後半増えた相模原のプレーをピックアップ。
常田と大野の間から相手のFWが山雅の右サイドの深い位置に向けて裏抜け。
この場合毎回常田が逆サイドまで対応に行っていたが、最終ラインの並びが変わり、マークがズレるほか、中央の高さに対しても普段の右サイドからのクロスとは違う対応になってしまう。

今後同じようなシーンが続いた場合、狙ってくるチームもあるだろう。

だからと言ってついて行かないという判断もなかなか難しいため、チームとしてどのような対応をとっていくのか、個人的に注目している。

・何を良しとするのか

この試合を境に今年の山雅のアプローチが見えてきた。
基本的にいいプレー悪いプレーというのは複雑な場所にはなく、当たり前のことを当たり前にすることが大事になる。
例えばしっかりとチャレンジしていいタイミングで縦パスを刺したり、しっかりとトラップでボールを保持しすること。守備では、ピンチになりかねないシーンをファウルで止めるというような当たり前をできることが求められ、そこにこだわっている。
また、そのような価値基準を中心に自分達のやることを整理するということ。そして、相手に対してどのように戦うのが適切かどうかを判断して(かつ出場メンバーの特性に合わせて)形を組んでいる。
現在のところ、まだ練度が上がってないことから、ふわっとした入りになってしまうこともあるが、やることの根本自体は変わらないため、ここまでの結果を残せているように感じる。

今後さらなる強敵が待っているが、前節の課題を少しづつ改善させながら、苦手なパターンを持たない完全なカメレオンへと歩みを進めていくことが出来れば、J2復帰への大きな力になる。
36人という大所帯の中でメンバーは変化していくだろうが、チーム全体にそのこだわりが浸透すれば、その部分も維持しながら戦い続けることにもなる。
次節以降もこだわり続けて勝利をつかみたい。

原点回起