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山雅分析班シーズン振り返り企画【今シーズンの戦術】

はじめに

20人以上を入れ替えるオフの大刷新、シーズン途中の監督交代、名波浩氏の新監督就任、J3降格...。
激動だった松本山雅の2021シーズンを振り返っていく企画。

今回は、”山雅分析班”としてシーズン中から活動していたメンバーの中から、おぐち(@ogucchan_)・haya_yamaga(@yamaga62)・いぬねこ山雅(@inuneko_yamaga)の3人がオンラインで参加。座談会形式でお送りします。

収録時間は驚異の5時間超。(司会という概念を忘れていました)
途中で脱線を繰り返しながら、様々観点からシーズンを振り返った非常に濃密な内容を全4回に分けて書いていきます。

第一回はこちら。

第二回の今回は、割と濃いめにシーズンを振り返ります。
1万字近くあります。

シーズンを振り返って

いぬねこ:じゃあ、次はシーズン通しての振り返りに行きますか。

おぐち:最終成績としては勝ち点34の最下位で降格になったわけですけど。ピッチ内の事象から行きましょうか。まずはいぬねこさんから聞きたいですね。

いぬねこ:特に後半戦はやれることやった上での結果かなと思いつつ、フットボール独特の流れってところで1つ何かが違えば、1つシュートが入って点が上澄みされるとかそういうのがあっただけで結末は変わってたのかなという雰囲気はありつつ...。

haya:確かに。

いぬねこ:まあ、固まらなかったのも事実で。誰を軸に置いてどういうサッカーするっていうのはその時々で変わってて、それはもちろん怪我とかもあるんですけど、それでもここまで固まらないと(12/12に実施されたサポーターミーティング(以下、サポミ)でも話していた)共通の認識が足りなかったっていうのは当然だよなって。元々時間がない中でさらにそうなってしまう中でそうなってしまうとちょっと現場ではどうしようもないところまで早めに行ってしまったなっていうのを感じたシーズンだったかなって思いましたね。

おぐち:軸は見つからなかったっすね。シーズン通して。選手の軸もそうだし、戦術の軸もそうだし。

haya:軸で言うと...ちょっと思うのが(サポミで)『山雅らしさの欠如』みたいなの出たじゃないですか?欠如って言い方がしっくりこないって言うか。欠如って言うからには元からしっかり思い描いていたものがあって、そこから何かが足りていなかったと。じゃあ、クラブがどういうゴールを思い描いて布さん、柴田さん、名波さんに監督を頼んだのかというものが見えてこなかった。だけど負けると欠けてるとは言われる。

おぐち:はい。

haya:それならどうしても目の前の結果が出そうなサッカーが正解になってしまう。逆に言うと結果が出ないうちは”らしさ”ってやつが見えてこないのは当然で、指針も決まらずにサッカーも右往左往しちゃう。で、余計に結果がでない。(思い描くものがクラブから見えてこないというのが)定まらない要因だったんじゃないかなと思いましたね。僕らサポーターは仮にすぐには見えて無くても、クラブはこの監督に任せるならこういうゴール設定・こういうサッカーをやるというのをある程度持った上で…まあ、持ってはいるんでしょうけど、それを共通認識として経営トップ・強化部・現場で確かなものとした上で任せるべきだったと思います。

おぐち:それでいうと鐡戸部長がサポミの中で言ってたんですけど柴田監督を据えて、フィジコにエルシオさんを呼び戻してきたと。言ってしまえば”原点回帰”みたいな。ハードワークや泥臭さみたいなところをその二人に託したみたいな言い方をしてたんですよね。それを浸透させようとしたんですけど選手の入れ替わりが多すぎて浸透しきれないままシーズンは走ってしまった。フロントとしては思い描いたものはうっすらあったと思うんですけど、”山雅らしさ=反町時代への原点回帰”みたいに捉えられる言い方だったんでそこは若干まだ違和感は感じています。

いぬねこ:加藤さんは『サポーター・現場・地域の三者が一体となって盛り上げていくのが山雅らしさ』だって大義なことを言ってて、鐵戸さんと加藤さんでズレがあるのかなと。(新聞に)柴田さんで1年見てその間に監督を見定めるつもりだったという記事があるんですけど、柴田さん・エルシオさんに原点回帰を任せながら、このまま行ったらどっちに転ぶんだろう?どういう人が合うんだろう?っていうのを見る余裕?というか、隙?は見えて、クラブとしてふわっとしてたんじゃないかなと思います。

haya:はい、確かにお試し感もありました。

いぬねこ:エルシオさんはあくまで保険で、回帰するというよりは前に進んでいって色々試行錯誤していってねと、そこでうまくハマりかけたものを生かせる監督にうまくスイッチしていきますよっていうメッセージにも僕は聞こえて。そこらへんのクラブの入りはふわっとしてた気がしますね。

キャンプの時点であった不穏な空気

おぐち:サポミでも布さん切って柴田さん暫定にするって時に他の監督は探してたって言ってたんで柴田さん以外を監督に加える選択しもあったっぽいですけど。山雅が本来持っていた守備の堅さ・ハードワークが無くなっていくのを危惧して柴田監督に任せたみたいな。それで結果が出て、じゃあ一年間やろうぜってことになった。じゃあ、キャンプでやってたのはなんだったんだみたいな話にはなるんですけど。

いぬねこ&haya:そこなんですよね笑

おぐち:それプラス不可解だったのは『キャンプでのフィジカルトレーニングが思ったよりやれてなかった』ってのがサポミで言われてまして。(過密日程だった2020年の影響で)コンディションにばらつきがあって強度をあげると怪我人が増えるからやめとこうって柴田監督からの要望があって強度落としたと言っていて、それも強みであるハードワークを実現しようとしたときの足枷になったってことは離されていましたね。結果、怪我人はすごい出てましたけど笑

いぬねこ:選手を入れ替え過ぎてて手元で見てないから疲労の蓄積度合いも分からないから。やっぱり(監督としては)負荷かけるのは怖いですよね。

おぐち:それで走り込みが甘いのにあれだけ走らせたら怪我するわなっていう。

haya:他の新聞見たら『ボールを使った練習ももっとしたかった』ってコメントもあって。

おぐち:なるほどなあ。だからいぬねこさんが仰った通り、こういくぞっていう軸が定まらなかったのか、定めててズレたのか。hayaさんが言った通り、元々あったんか?っていうのもありますよね。重要なポイントとして。

haya:まあ、全くゼロってことはないとは思いますけどね。

いぬねこ:けっこう結果云々より聞きたいのはそこだったり...。

haya:サポミでの反省点もほとんど準備段階のことでしたよね。

おぐち:ええ、今年はもう”準備の段階で負けた”と思いますもん。

haya:現場的にもそこの認識はそうだったんだなって改めて思いました。

おぐち:うん、これは後に話す名波監督への評価にも関わってくるんですけどぶっちゃけシーズン中にどうこうできる状況じゃなかったと思うんですよね。

いぬねこ:ほんとそれは思います。

おぐち:この状態の中で突然入ってきて『なんとかしてくれ』っていうのがけっこう無理な注文だったと思うし、実際にやらせてみたらコンディションボロボロだしみたいな。だからわりとシーズン前の段階で実はかなり決まってたんじゃないかなって感じがしなくもないですね。

haya:ちょっと不可解なのがなんで柴田さんもあんなにかましちゃったんだろうなっていうのが笑(※編集注:新体制発表会で、勝点84・得点84を目指すと宣言)

いぬねこ:まあ、リップサービスだと思いますけどね。hayaさんも前半戦終わった時の振り返りで仰ってたと思うんですけど『そうじゃないとスポンサーやサポーターも納得しないし、ついてこないだろう』っていうのがあったんだろうっていうのを聞いて僕もそういう認識でいるんですけど。

haya:そうですね、リップサービスとしてやらざるをえなかったという認識は変わってないです。


4-4-2への転換についての評価

おぐち:いやー間違いない笑。それでいくと今シーズンはキャンプで4-4-2に取り組んでたじゃないですか。結局(スタートから)披露されることは一度もなかったんですけど、残念ながら...。その点についてはどうですか?

いぬねこ:個人的には2トップは背の高い選手が多くて、小回りが利くのが横山だけで。後ろはベテランで固めると高さが足りなくて、若手を入れると2CBでは不安な状況。となるとそもそも4-4-2向いてないんじゃないかなって思いました。去年の印象だとハメに行くにはボランチがしっかりしてないと死ぬんだろうなっていうのがあって、今年のスカッドみても掃除できる役が安東くらい...前貴之もできるにはできるだろうけどってくらいで。4-4-2想定で編成組んだわりにはちょっと違ったかなって気はします。枚数だけで。

おぐち:枚数だけ4-4-2でしたね。

haya:そもそもなんで4-4-2にしたかったのか?ってどっかで言及されてますっけ。

おぐち:いや、サポミでは出てない。シーズン中も記憶にないな...。

いぬねこ:4バックに関する検証ってほとんどなかったですよね。(止めたのは)シーズン前にクロスからボコスカ失点して、なぜそれが起こったのかが分からないと(外部としては)触れられないんで....。

おぐち:広島と清水でしたっけ。それで諦めたんですよね。確か広島にボコられた時に反省として出てたのはビルドアップでロストが多すぎてカウンター喰らって死んでたっていう。ボール保持の練習を多めにしてたっていうのと合わせて、ポジショナルプレーの概念を入れて、レーンの使い分けをやりたかったっぽい。

いぬねこ:それは感じましたね。

おぐち:ほんのり香るくらいの笑

いぬねこ:そのわりに3バックになってからもできて無さそうだったんで....。

haya:3でも4でも原則は変わらないはずですもんね。

おぐち:シーズン中も感じなかったなあ。

いぬねこ:感じてたら栃木戦みたいなことにはなってない。何度でも言いますけどハーフスペースとワイドに合計8人が並んでたやつ。

おぐち:あれはカオスだったなあ。結局キャンプの8~9割くらいは4-4-2の仕込みに使ったわけじゃないですか。

haya:切り替えたの2週間前くらい?

おぐち:わりとギリギリでしたよね。

haya:1週間で仕上げて、残りの1週間は相手を想定した対策みたいな。

おぐち:まじで折れたんだろうなって思ったんですよね、諦めたというか。新加入選手が多すぎたせいなのか、指導力が付いてこなかった的なやつなのか...。まあ、どっちもあるとは思うんですけど。

いぬねこ:新加入選手こそ4-4-2に順応できそうな選手は多かったんで...元々のクラブみても。それでこんなに崩壊するんだ―っていうのはちょっと疑問でしたね。

haya:やっぱCBのとこですかね、4-4-2にした時に違和感があるのは。

おぐち:違和感はありますね、間違いないです。

haya:4-4-2にしてもボールを動かしていく感じには見えない。あと、GKも後方からボールを繋いでいくようなトレーニングをしてないんだろうなあって。

いぬねこ:あー確かに。

haya:GKは使わずにCB陣を中心に相手のプレスに対してボールを回そうとしてたのかなあって考えると、結構きつそうな気が....。

おぐち:まあ、だいぶ甘々な考えにはなりそうですよね。

haya:そりゃ繋げないよなあって。他のチームのビルドアップを考えると...。

おぐち:そういう点では篠原は今年のキーマンだったと思うんですよね。

いぬねこ:恐らくそうですね。

おぐち:ビルドアップをやりたいってところと守備ラインのリーダーがいないってところで。サポミでも特にCBって言い方をしていたんで多分篠原の事なんだろうなあと。彼が早々に離脱してシーズンアウトっていうのは相当痛かったはず。

いぬねこ:いれば...って思うシチュエーションが結構ありましたからね。5試合か先発...。

おぐち:でも彼もどちらかというと3バックでやってきた選手だから...。

haya:篠原と橋内の2CBの組み合わせは(タイプ的に)多分厳しかったですし....。

いぬねこ:いやー厳しいですね笑

おぐち:そう考えるとスカッドも含めて準備段階で負けてたって話にまたなっちゃうんだけど、それだと終わっちゃうんで...笑
4-4-2は色々あって辞めたとして...スカッドの話は一旦置いといて…

haya:戻らないように気をつけましょう笑


シーズン序盤の振り返り

おぐち:えーと、流れでいくとシーズン直前に3バックに変えて...開幕はアンカーを入れた3-5-2が当初の基本システムでしたよね。

haya:中盤の三角形は佐藤・前・安東、右に隼磨、左に表原だった気が

いぬねこ:そうですね。後ろはGK圍に左から常田・橋内・大野。

おぐち:そう考えると3バックは最終的にこの形に着地したっていう。納得は行くけど...。

いぬねこ:このメンバーで組むのは(隼磨を抜きにしても)最初で最後ですよね。

haya:全然ボールを動かしていこうってメンツではない笑

おぐち:(安東・前で)ルンバ役2枚並べてるじゃんって。

いぬねこ:このメンバーを見ても去年の匂いがしますもんね。

おぐち:しますねー。

いぬねこ:この位置関係でWBが持って、安東、前が抜けていくようなパターンは柴田監督の頭の中にはあったんだろうなって思います。

haya:保険として取っておいた形ですよねー。

おぐち:うん...でもこの試合全然ボール持てなかったですよね笑

いぬねこ:途中からWBが出て行けずに3枚の脇をすごい使われましたもんね。

おぐち:山口に好き放題やられた記憶はあります。

いぬねこ:佐藤謙介にパス練習かってくらい回されるっていう...。

haya:ポゼッションは42%みたいですね。

いぬねこ:それでも42%なんだってくらい。シュート本数はこっちの方が多かったですけど。

haya:確か横山が途中から打ちまくってた。

いぬねこ:この時は横山が無得点でおわるとは思わなかったなあ。

おぐち:アシストも0でしたね。出場時間を考えると1点は欲しかったですよねえ。

haya:ルーキーとはいえ勝負の世界ですからね...取って欲しかったです。

おぐち:で、京都戦は突然スタイルを変えると。あれはなかなかファンキーでしたけどねー。

いぬねこ:あの試合は楽しかったっすけどねー!僕は前半戦ベストゲームだと思うので...。

おぐち:楽しかったっすねー強度の高いやり合いができて。

haya:ここで河合が登場したんですよね。

いぬねこ:ですね、ここで河合と阪野の2トップを組ませて...。去年みたいなことやりたいならツインタワーじゃないんですよね。

haya:うん。

おぐち:それは間違いないですね。

いぬねこ:タッパある選手が多いっていうのが(去年みたいにやるなら)そもそも計算外ですよね。

おぐち:柴田さんが4-4-2でクロス爆撃をしたかったならアリだったと思うんですけど。ルカオもいますし。

haya:サイドのドリブラーとクロッサー2枚でひたすらそこを狙う作戦。

いぬねこ:ただ、(ターゲット役が)5人はいらないんだよなー。

おぐち:まあ、3バックにしてから柴田さんがやりたかったのは去年と同じで、前からハメて敵陣からショートカウンターみたいなのをやりたかったはず。そう考えると河合と阪野がスタメンに食い込んでくるのも妥当ですよね。

haya&いぬねこ:ですね。

おぐち:それやろうと思ったらその2人は外せない。

いぬねこ:ちなみにこの試合横山・戸島・鈴木っていうFWの3枚がベンチ入りしてるんで、その時点でベンチのメンバーは危ない予感はしてます....。

haya:山口戦は横山・小手川でしたもんね。前線の選手は....バランスがすごい...笑

おぐち:後半戦はほぼいなかった面々....別のチームですね。

いぬねこ:それで、この試合は橋内が一度いなくなる。常田もいなくなって下川になると。

おぐち:そう考えると前からがっつりハメにいくなら最終ラインの構成はミスってたと思うんですよね。僕、選手短評にも書いたんですけど前から行くシステムでだいぶ負荷に偏りがあったなと。最終ラインとIHが死ぬっていう。

haya:ある程度跳ね返せないときついですよね。蹴られて簡単に裏返されるようだと...。

おぐち:そこの選手に過大な負荷をかけてしまったと。河合とかは頑丈だったんですけど、途中でコンディション落としましたし。橋内とかは耐えられなかった。最終ラインみんな1回は離脱してますしね。

haya:見事に(負荷の高い)CBとIHはやられましたね。

いぬねこ:わりと最終ラインは怪我がちな選手が多いってところと中盤がそもそも頭数が足りないんで…そこに余計に負荷をかけちゃうと...。

おぐち:そもそも3センターやるには足りてないってのもあるんだよなあ。(想定では)ダブルボランチにしてるから。

haya:起用できる選手の幅は一気に狭まりますよね。

おぐち:序盤戦ってhayaさんどう見てました?勝ち点はあんま積めなかったですけど、色々やってる中で。

haya:この先どうするんだろ感はありましたかね。CBも弾けるメンツじゃないですし、中盤3枚がガス欠したら後半は攻めにいけないし。負けにくいかもしれないけど、どう勝っていくんだろうってのは思ってましたかね・

おぐち:この時期すごい言われてたのは”点が取れない”ってのはありましたよね。

いぬねこ:そうですね、序盤5試合は河合の1点(山形戦)のみで....。

おぐち:そう、点がとにかく取れなかった。ほぼ何もできなかった時期ですよね。

いぬねこ:(Football LABのデータを見ながら)チャンス構築率はあるにはあるんですけどね...そういう試合もありましたが...。

haya:ただ相手がまだチームとして出来上がってない時にこっちが機動力と気持ちでプレスをかけてシンプルにシュートに繋げるっていう、相手の完成度も含めて偶発性は高かった気がします。

おぐち:そうっすね、秋田戦(○3-1)とか甲府戦(△3-3)とかも……特に甲府とかは終盤で当たった時とは完成度が雲泥の差でした。

いぬねこ:この試合は後半凄い甲府がペース落ちましたし。

おぐち:あとこの試合は鈴木国友が爆発したんで、例外みたいな試合笑

いぬねこ:衝撃のハットトリック。

おぐち:途中から(第5節水戸戦から)アンカー置くシステムから1トップ2シャドーに変えたんですよね。それで国友とか河合をスタメンで使うようになった。それに変えたのは如何せん4バックの相手にプレスがかかんねえっていうのはあった気がしていて。

haya:毎回IHから出て行かないといけない。

いぬねこ:サイドバックがドフリーになる現象。

おぐち:千葉戦・水戸戦がだいぶ酷かった印象なんですよね。その後も山形と続いてSBが永遠に空き続ける。

haya:J2も4バックのチームが増えて、近年はSBからゲームを組み立てるのも主流になりつつありますもんね。

おぐち:そうなると2シャドーでハメにいくしかないよねってなってやらせたものの、付け焼刃だったんで普通にやられるっていう印象でしたね。じゃあ、キャンプで何やってたんだって話にはなりますが。

いぬねこ:うん...。

haya:言ってる事とやってる事で全然違うって感じが...。


サポーターとフロントの間にあるギャップ

おぐち:だからやっぱり3バックでやれるっていうのはけっこう強がりだったか、見込みが甘くて...シーズン入ってしまった。そう考えると準備段階からだいぶ狂ってたってことにはなりますよねきっと。

haya:だから去年の後半戦で過信しすぎたところはありますよね。監督もフロントも外部(サポーターなど)も。多分そうだったと思います。

いぬねこ:3-1-4-2で去年勝てた理由って、やっぱりメンバーで高橋いるわ、杉本いるわ、今季J1で活躍している選手がキーにいて、そりゃある程度配置整理して守備堅くすれば強くなるよねって今よくよく考えてみると思ったんですけど...。元々理解してたかどうかっていう。見込みが甘かったんっすかね。

haya:これは去年の総括にもなってしまうんですけど後半戦の戦いは来年以降も持続できるのっていう、戦力的な部分もそうですし、戦術の引き出し的な部分も...。これで(次のシーズン)1年走れるのかっていう部分ももう少し考えておくべきだったなっていうのは。若手を起用してみるとか4バックしたいなら試してみるとか...。まあ、うちは目の前の結果が全てなとこがあって、クラブにもそこまでの余裕がなかったといえばそれまでですけど。

おぐち:でも今改めて去年の後半戦見るとラスト15試合で8勝5分け2敗は少し夢見ますよね。千葉と群馬には負けてるんですけどそこ以外には負けてないんですよね。その後半戦のラッシュを見たら『来年1年任せたら昇格できるんちゃう?』と夢見た可能性はありますよね笑

haya:ただ降格なかったんだよなあ。

いぬねこ:(来年を見据えてやれなかったのは)柴田監督が続けるかどうかが決まってなかったのもありますよね...。

おぐち:まあ、ぶっちゃけ去年は降格なかったっていう言い訳はかなり大きいと思ってて焦りとか(例年ほど)なかったじゃないですか。降格しないからどれだけ負けても来年頑張りますって言えれば終わるっていう。

haya:「こういうやり方をしていれば来年は成績上がります」っていうビジョンと説得力が示せれば最悪の最悪どうにかなる、もしかすると唯一のシーズンでしたよね...。

おぐち:(山雅は)ラストすごい勝って、気持ちよく終わりましたっていうのを真正面から受け止めたと思うんですよ、クラブのフロントとしては。ただその検証が正しかったかと言われると...。正解があるかは分からないですけど十分な前提条件を踏まえた上での検証だったかと言われれば難しいとこですよね。

haya:まあ、(僕らがここで言うのは)ちょっと結果が見えちゃってるんで...。

おぐち:結果論だからあれだけど。

haya:ただ結局その頃からやりたいサッカーが定まらないで、”とにかく目の前の試合で勝てるサッカー”で貫いてしまったのがこの結果に繋がってしまった感じはしますね。勝ちを目指すのが悪いとかではなく。

いぬねこ:去年から結果に敏感だったっていうのはありますよね。サポーターも含めて。

haya:それは良くも悪くもある気がします。結果至上主義が良い結果に繋がったこともありましたが...。

おぐち:サポミの様子を見ても思った以上に”結果”って言葉が出てくるなって思って、多分(サポーターとクラブ内部で)乖離がめっちゃあるのはフロントはそこまで結果を求めてない。結果は大事なんですけど。5年後にどのカテゴリーにいるのかは重視してない。結果が最上位じゃないっていうのがサポーターとギャップがあるのかなと。

haya:あーその伝え方もあるでしょうけどね笑

おぐち:それは反町体制でいい思いをしてしまったが故の反動ではあると思うんですけど。

いぬねこ:そうっすね...。僕自身もそうなんですけど、J2にあがってからのサポは何となく勝つのが当たり前になってる。個人的にもこれだけ勝てない山雅を見るのはJ1以外でなかったなあって思いながら見ることもあって。

おぐち:これだけ高低差があるとさすがにちょっとついてけない人が出てきても仕方ないと思いますけどね笑

haya:まあ、現象としてはそれはしゃあないっすね。

おぐち:これはちょっと”山雅らしさ”的な話に戻ることになるかもしれないんですけど…結果を出してることが山雅らしさなのかと言われたら多分違うんですよね。クラブが考えてるものって。個人的にはらしさって抽象的なモノだと思ってて戦術レベルじゃなくてもっともっとでかいもので。

haya:本来はそうですよね...。

おぐち:例えば『見に来た観客の心を震わすようなプレーを見せる』とかそんなレベル。そのための手段はその時々によるみたいな。監督による。勝つことでもいいし、美しいサッカーでもいいし。時代の流れにもよると思うんですけど。そうするとサポーターとクラブが思ってる『らしさ』の前提条件が全然違うのでそこの目を合わせないと、一生平行線のまま。

haya:そうですね、ああいう総括の場でそれを言うからには共通の認識が欲しい。

おぐち:”ベース”がそもそも失われてるんじゃないかっていうのは分かりますけどね。こんだけ守備が崩壊しているのを見ると長年積み上げてきた堅守速攻が消えたって認識をするのは多分正しくて。

haya&いぬねこ:うん。

おぐち:そもそも堅守速攻から脱しようぜってここ数年やってるから、失点が増えるのも仕方ないんじゃないかって見方もできる。


次回予告

次回はhayaさんのnoteから、編成や布監督についてなどを自由に話しているパートになります!
是非ご覧ください!

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