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vs藤枝 レビュー(6/11)A 【2022松本山雅】

・藤枝戦レビュー

鳥取相手に自分たちのプレーをすることが出来ず、多少なりとも重苦しい雰囲気はあっただろう。
ただ、そこから1試合で立ち上がれるかというのは、今後を占うこの試合のテーマだった。

特に相手の藤枝は超攻撃的なスタイルで、過去3失点だった福島に対して、6点を挙げて乗り込んできている。
さらに、負ければ順位が入れ替わるゲームでもあったため、山場(福島勢)の前の番人を相手に勝ち抜いたことは、昇格レースにおいて大きな成果であろう。

・メンバー

山雅はスタメンを3人変更。
サポーター待望の田中パウロ淳一が初出場初スタメン。
フォーメーションは4-2-2-2。

藤枝は3-4-2-1。
前節福島戦からスタメン変更なく臨んでいる。
サブに元山雅の岩渕良太が入った。

・最初は優勢も…

序盤、山雅はしっかりとプレッシャーをかけながらロングボールを蹴らせ、回収・前進という所を繰り返すことで優位に立てていた。
特に序盤の組立としては、FWに入った田中パウロが右サイドに流れながらボールを受け、子気味よくその手前にいる選手に落として、そこからクロスを上げるという形を連続して披露。


監督コメントでもあるように、狙った形で連続してチャンスを作れていたことは良かった。


だが、15分ぐらいから、藤枝のビルドアップに対して徐々にプレスが効かなくなる。

藤枝はGKを使ったビルドアップで、CBの両側がSBのように大きく開いたところから攻撃参加を行う。
そうすると中央でFWが余り、サイドで人が足りなくなるため、SBを引き出され、キャップに流し込まれるという展開が続いた。

この攻撃は厚みがあり、厄介だった


ちなみにこのタイミングでCBのオーバーラップ、シャドーの外抜け、WBのインナーラップとサイドのレーンを跨ぐ動きを組み込んでいた事から相当対応しずらい設計をしていた。


そして25分付近(正確なタイミングは分からなかった)にフォーメーションチェンジを決断する。

・有効だった一手と味方した運

これが露骨に有効だった。
山雅は25分付近に3ー4ー2ー1にフォーメーションチェンジ。
相手のストロングポイントを消しに出た。


組み替えた直後にハンドでPKを得て、そこから先制点に結びつけたことも大きかったが、SBのようにプレーするCBを捕まえていた。

このことから藤枝のコンセプトである、前に人数を雪崩こませる攻撃をしても、山雅の守備陣も人数を割いているため、有効に使えるスペースを潰すことに繋がっていたと言える。

対して藤枝はこの変更に対して大きくやり方を変えることはなく、ボランチのポジショニングが若干変わる程度にとどまった。(CBが上がり、そのスペースを使う)
もちろん山雅もプレスをかけきれるわけではないため、前から行くシーンは限られた。そのため、藤枝としては持てている。ただ山雅といては持たせる事が出来ている状態に入った。

そして、この試合の最大の偶発的事象が山雅に味方する。
約80分の中断である。
このハーフタイムで明らかに得をしたのは山雅だった。
中断中に冷えて筋肉系のトラブルを抱える選手がいないか不安でしょうがなかったが、監督・フィジコを筆頭にマネジメント側がうまくアイ王することができたと感じる。

最後にバテた小松に対して監督がチクリと言っていたが、それほど回復してエネルギーを使うことができる状況までもっていってから後半に進む事が出来たと言える。

・創造性?原則通りです

そして、2点目が勝負を決める。
一見、厳しいように見えた菊井のフライパスに対して、外山が外回りで追いつく。
そこから寄せられながらも、ワンタッチでいいクロスを上げ、ゴールに結び付けた。
これは菊井と外山の創造性・相性がいいようにも見えるが、そうではなく追い越していくという作業をしていくことを口酸っぱく言って来たことが功を奏した。
キャンプから積み上げてきたことが徐々に徐々に形になってきているということを感じる。

この点以外にも、プレス判断や最後の体を張るところ、前選択、奪ったあとの繋ぎという、ところどころ名波監督が繰り返してきたワードがプレーに見えていることはポジティブである。
ただ、鳥取戦の後という文脈を考えると、1度雷が落ちた後ならできて当然という見方を出来なくはない。
継続してこのようなパフォーマンスをしていくことでこそ、原点回起が実現できるだろう。

・輝いたムードメーカー、競争激化へ

田中パウロ淳一は一定程度のプレーを見せた。
得点こそなく、チャンスを不意にしたこともあるが、前のボレーや前述の序盤のクロスを演出したり、いいプレスバックからショートカウンターをするなど、フォアザチームの動きで貢献したのは事実である。

そして、誰の枠で考えられているかと言うと、U-19日本代表に選出されていた横山の位置である。
競争相手としては村越・想来も同様になるだろう。

これで横山が戻ってきたからと言って、すぐスタメンになるとは限らないと考えている。
何故か。
少し偏った味方になるのを承知頂きたいのだが、5月以降、横山は代表での1得点(PK)、PJは天皇杯で3得点。
相手こそ違えど近々で結果を残しているのは田中パウロ淳一である。
調子のいい選手を使う傾向にある名波監督にとって、ここ最近得点が落ち着いてきている横山に対してより厳しい基準のプレーを求めていくだろう。

代表に選ばれた理由としても、コンスタントに結果を残していることであるため、戻ってきてまずスタメンを取り戻すというサイクルを横山に課すのではないだろうか。(もちろん調子が良ければスタメンになるだろう)

このように健全な競争が生まれることはチームにとっても有益である。

今後もメンバー発表からドキドキワクワクする試合が続きそうだ。

原点回起