【2021松本山雅】vs東京V(7/3)H　レビュー『正しいチャレンジ』

・東京V戦レビュー

松本 2-1 東京V

主審
上村篤史

得点
オウンゴール　端戸仁　　　
阪野豊史　　　　　

警告
　　　　　山下諒也

序盤、ヴェルディのお株を奪うような攻撃を見せた山雅。
以前と違う攻撃リズムでヴェルディ守備陣に襲いかかり、オウンゴールでの先制に繋げた。
その後は守勢に回るも粘り強い守備を見せ、ディフレクションから1点を失うも、最小失点で留める。攻撃ではフリーキックから阪野のパーフェクトゴールで勝ち越し。
久々の勝ち点3をもぎ取った。

・メンバー

山雅のフォーメーションについては意見が別れるところ。
一応4-2-3-1からという前提で本稿は進める。

・山雅の攻撃

山雅は左肩上がりの3バックのような形でビルドアップ。(4バック目線)
中央の阪野の手前を国友と河合が使いながら、大外の表原・外山と後方から湧き出てくるビルドアップ隊でリンクしながら攻めるという形。

ポイントとしてはやはりアンカー脇。
IHがプレスに出てくる東京の特徴から見てもウィークポイントであり、10分近くの河合がターンして前を向いたシーン(佐藤優にファールで止められた)のような形は、前進のビッグチャンスだった。

また、序盤押し込めたこと(後述の守備で要因を分析)で、セカンドボール回収が容易になった時間があったことは大きい。
常田がサイド深くでボールを触っているシーンがあることからも

①後ろから追い越す
②冷静に空いている場所を使う

という作業が、共通認識として遂行できていたように感じる。
そして、ほとんど全ての状況で無謀なチャレンジではなく｢正しいチャレンジ｣としてプレーできていた。

このマインドの変化が、選手の本来の能力・可能性を引き出すことに繋がったように見えた。

・対ヴェルディの対策

対ヴェルディとしては変則的な守備を採用。
(4-2-3-1目線から見れば)4-4-2ベースの守備から、左SHの河合が加藤を捕まえに行く形。
さらに、人を捕まえていることでパスの出しどころを無くしたところでハイプレスを仕掛け、回収からの攻撃に繋げる狙いがあった。

河合が居ないスペースにはある程度FWが埋めながら、基本的には前が消しに行く形。(この時に前のスペースにFWや河合が戻って消すシーンが見られた)
配置としては4-3-1-2のような配置になっていた。
右サイドは表原が高い位置で牽制する他SBの上がりに合わせて下がることも。

恐らく監督のコメントから見るに3バック、3-4-1-2がベースフォーメーション。(表原の意識や河合のプレスバックを見ると、4ｰ4ｰ2のようにも感じたのだが…)
河合が本来のシャドーの位置をカバーしに行くなど、中盤も含めて｢人に行く｣守備を披露したことで、配置が分かりづらく、攻めずらい守備を構築できていた。

・ヴェルディの解決策

ヴェルディの解決策は、高い位置を取っている表原の裏を効果的に取ること。
これを恐らく飲水タイムの間に仕込んできた。

特に、右サイドに山雅の守備陣のウィークポイントがあり、そこにボールを運んで全体を寄せてから、福村からのボールで展開するというパターンが増えた。

前半は宮部が対応していた場所だが、徐々に表原が下がって対応するように。

これには左SB山口のポジショニングも関係しており、より高い位置をデフォルトで取るようになったことで、最終ライン近くにヴェルディの選手が5人配置される形になっていた。

そうなると人を捕まえている山雅は、必然的に最終ライン5枚にして対応せざるを得ない。

結果的に5-2-1-2のような守備構造を組む必要性に迫られ、前からプレスではめていくことが難しくなってしまった。

・変わったことは何か

まずひとつ、やろうとしたことを選手達が信じて完遂できたことは大きい。

その上でやはり、球際・シュートストップでのチャレンジや、劣勢に変化しても集中を切らさず自分たちがやるべきことを出来たことが一番の変化だろう。

1失点もシュートを防ぎに行った結果のディフレクションであり、それ以外のシーンでも、あと一歩出さなければやられてしまうというシーンでしっかりとボールにアタックすることができていた。

監督・コーチが変わったことや、戦術が変わったことよりも、メンタル面での変化がやはり大きく出ている。

攻撃の所でも触れたように、選手のマインドの変化、そこから生まれる正しいチャレンジがこの1勝に繋がった。

・今後の課題と展望

正直、1つ前の項を受けて締めても良いところだったが、1度勝つと欲が出るもので、さらに内容をブラッシュアップして欲しいと思うものである。

その点においては
①攻撃で流れの中からゴールを！
②優勢の時間を長く！
③守備は一瞬の寄せにこだわる！

このような部分にさらに磨きをかけ、より完成度の高いチームを目指して欲しい。

その中で、今節試合に出場した14人はほぼ全員がMVP級の活躍を見せた。

月間MVPの投票も今節はかなり悩んだ(結果的には、圍に投票した)。

今後のフォーメーション戦術もまだ予測不可能な状態が続くが、健全な競争の下いい環境を創り出し、試合に繋げていくことを願っている。

One Sou1