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消費税3(課税の対象の概要)

▶ 記事の内容

目次
1.課税の対象の概要
2.国内取引の課税の対象-国内取引の判定

1.課税の対象の概要



消費税は何に対して課税を行っているのか?

 「何に対して課税を行うか?」と言う問に対しての回答は、「法律上課税要件を満たせば納税義務が成立することから、課税要件を満たせば。」という回答になる。課税要件には、納税義務者、課税物件の帰属、課税標準、税率などがある。ここでいう、課税物件とは、「課税の対象とされる物・行為又は事実のことで、納税義務が成立するための物的基礎をなす」ものであるとされており、消費税法では、当該課税物件のことを「課税の対象」と呼んでおり、地方税法では「課税客体」と呼んでいる。端的に課税の対象とは何かと言えば、「何に対して課税を行いますか?」という問いであり、消費税法においては、消費者が物や用役などのを消費する”消費行為”に対して課税の担税力が備わっていると判断して課税が成されるものである。実際の制度設計としては、消費者が消費行為を行うタイミングを判断することができなく、また徴収を容易に行う観点から事業者にを納税義務者として制度設計が成されている。


日本における消費税法の制度はどんな仕組みなのか?

 間接税である消費税は、、その流通の過程で二重三重に税金が課されないように、多段階税額控除という方法を採用しており、「預かった消費税額」から「支払った消費税額」を控除する形で「納付税額」を算定して税額を算定している。そのため、学習においては、まず第一に「預かった消費税額」とは何であるのか。「支払った消費税額」とは何であるのかを詳しく学習していくことになるのである。また、事業者が行う取引を①国内で行われたものであるのか(国内取引)、②国外で行われたものであるのか(国外取引)、更に、③輸入してこられたものなのか(輸入取引)、④輸出されるもの(輸出取引)かに分類し、そのうち、①国内取引と③輸入取引の2つが消費税法上の課税の対象とされている。これは、日本国内において行われる消費行為を課税の対象としているものである。



◎まとめ
消費税は、「消費課税」であり、「間接税」であり、「多段階税」であり「一般税」であり、「帳簿方式(区分請求書等保存方式)※」であり、「複数税率」である。※今後インボイス制度が完全導入されることにより、適格請求書等保存方式に変わることになる。





2.国内取引の課税の対象


 国内取引の課税の対象とは、 条文上

▶国内取引の課税の対象
「国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等を除く)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう)には、消費税を課する。」

とされており、資産の譲渡等とは

▶資産の譲渡等
「事業として対価を得て行われる資産の譲渡等及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として一定のものを含む)をいう。」

とされている。
国内取引の課税の対象になるための要件には4要件あるとされており、その4要件とは、

① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡等及び貸付け並びに役務の提供であること


とされている。これらの要件を満たすことで「国内取引の課税の対象」に該当することとされ、その後、非課税取引の判定、免税取引の判定を得る事になる。そして、最終的に国内取引を不課税取引、非課税取引、免税取引、課税取引に分類することになる。


取引分類の全体像をまとめると次の通りである。

取引分類

 取引を「国内取引(狭義)」、「輸入取引」、「輸出取引(広義には国内取引。輸出時点における資産の所在場所は国内であるため)」、「国外取引」に分けらる。そして、結果的に①広い意味での国内取引、②輸入取引、③国外取引の3つに分けられ、消費税の課税の対象は、消費行為が国内において行われる可能性のある「国内取引」と「輸入取引」である。国外取引は消費税を考えないという意味で「課税対象外取引」という。
 次に国内取引の課税の対象を考えると、さきほどの4要件を満たすものが「国内取引の課税の対象」とされ、最終的に「国内取引の課税の対象」を、「非課税取引」、「免税取引(輸出取引にあたる)」、「課税取引」に分けた上の、消費税の納付税額を計算していくことになるのである。当該分類を行うことを、消費税法の学習上「取引分類」と呼ばれおり、「預かった消費税額」を計算するにしても、「支払った消費税額」を計算するにしても、必要になるものであり、とても重要なものである。

◎まとめ
国内取引の課税の対象を「課税取引」、「免税取引」、「非課税取引」、「不課税取引」に分類することで預かった消費税税額と支払った消費税額の詳細な計算に備える。


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