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海外留学の準備2(計画達成のための指標)

1.記事の目的


 留学を補助する制度は、各大学のHP等を確認すると沢山あるのが分かる。今回は、学校法人河合塾が平成30年5月に調査・公表した「日本人の海外留学の効果測定に関する調査報告研究」の資料を参考にして、留学計画策定のため又意味ある留学経験を得るために必要な定性的・定量的な数値目標を抽出することを行いたいと思う。

2.「日本人の海外留学の効果測定に関する調査報告研究」とは、どんな研究なのか?


 当該調査目的について、文部科学省は下記のようにアナウンスしている。

平成29年度 日本人の海外留学の効果測定に関する調査報告研究について
「意欲と能力のある日本人学生全員に留学機会を付与し、海外留学を経験した日本人学生の日本社会での活躍を促進することは、大学の国際化を推進するのみならず、今後の日本経済の発展に資するうえでも極めて重要であり、その意義については多くの先行研究においても触れられているところである。一方、海外留学には様々な期間や形態を有するものがあり、それらの期間・形態の海外留学についてどのような効果が得られているか、調査研究は必ずしも十分ではない。このような状況を踏まえ、様々な期間・形態の海外留学について詳細に調査・分析し、その成果の可視化を図り、より効果的な日本人の海外留学施策の検討に資するデータ等を得るため、当該調査研究を学校法人河合塾に委託し、実施したものである。」
出典:文部科学省https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1411310.htm

問題意識
また、調査の冒頭において下記のような問題意識が示されている。

① 学生は、海外留学を通してどのように成長しているのか。
② 学生がどのような形態のプログラムに、どの程度の期間参加することで、最も高い費用対効果が見込めるのか。
③ 限られた資源の下で、より多くの学生に、効果的な留学経験を提供するためには、どのような制度設計をすればよいのか。
④ エビデンスに基づく留学生政策の形成に向けて必要な客観的データを我々は持ち合わせているのか。
⑤ いかなるデータ整備上の課題を抱えているのか。


調査結果(一部抜粋)
上記の問題意識のもと、調査した結果として下記のような調査結果をまとめている。

・留学事業に対する学生の評価(達成・満足度、奨学金の十分度、留学の学業・就業効果、留学事業による長期再留学の希望)は、全般的に極めて高い。
・留学奨学金が無ければ、海外プログラムに参加する学生が半減する可能性がある。
・留学前に、事前研修、オリエンテーションそしてインターンシップなどに取り組んだ学生ほど、留学事業への満足度は高い。
・総じて、留学前に海外経験のある学生ほど留学事業への満足度は高い。
・渡航期間については、短期と長期(1 年)での満足度が高く、中期(100~200 日)での満足度は若干低くなっており、中長期の留学でなく短期留学であっても意義はあるといえる。
・自己評価による留学前後での能力の伸びは、短期や長期といった留学期間にかかわらず伸びる。
・短期プログラムとはいえ、現地での少ない時間を最大限に活用すべく綿密に設計された海外プログラムは学生の成長に寄与する可能性がある。
・事前学習が現地での活動の効率と有効性を高め、事後学習が海外プログラムで学生個々が身につけたことの定着に資する可能性がある。

3.日本人の海外留学の効果測定のための指標には何があるか?

当該資料で用いられた、留学の効果を測定するための「アンケート調査(23項目)」の指標を示して今後留学計画を立てる上での参考にしたいと思う。


1.自分からやるべき課題を見つけて率先して取り組むことができる
2.仲間に働きかけ、問題点を一緒に改善するために行動することができる
3.自ら目標を設定し、失敗を恐れず粘り強く行動することができる
4.自分なりに現状分析をして問題点を具体的に提示することができる
5.課題に向けた解決プロセスを考え、計画的に実行することができる
6.既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい考えで、意見やアイディアを工夫して提案できる
7.自分の意見を分かりやすく整理した上で、相手に理解してもらえるように的確に伝えることができる
8.相手に話しやすい環境を作り、適切な意見を引き出すことができる
9.自分の意見ややり方に固執せず、相手の意見や立場を尊重して柔軟に対応できる
10.チームで仕事をするとき、自分と周囲の人々や物事との関係性を理解することができる
11.その場のルールや手続に従って、自らの行動や発言を適切にすることができる
12.ストレス状況に置かれても、自分の成長機会だとポジティブに捉え、前向きに対処することができる
13.自分の文化的背景の異なる場所または仲間とでも、リーダシップを取ることができる
14.リスクがあっても挑戦してみることが大切だと考え、実行することができる
15.不十分な外国語力であっても、何とか意味を伝えようと積極的に発信することができる
16.自分と異なる信仰や文化的背景を持っている人を理解し、受け入れることができる
17.国内・国外を含めて、外国人との交流がある
18.専門分野の勉強へのモチベーションがある
19.語学の勉強へのモチベーションがある
20.留学先の社会・習慣・文化に関する知識がある
21.政治・社会問題・国際関係について、知識・関心がある
22.社会での男女共同参画(男女平等)の重要性を認識している
23.将来の方向性・進路について、明確な考えを持っている

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