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睡眠の質を上げる生活習慣を薬剤師が徹底解説

こんにちは。犬飼薬局です。

 店頭でお客様の睡眠の悩みを聞いていると、
以下のものがあります。
◯寝付きが悪い
◯眠りが浅い
◯スッキリ起きられない

など、睡眠の悩みは色々です。
原因は、様々で絞り込むことは難しいのですが、
食事が睡眠に与える影響が大きいのはご存知でしょうか?




睡眠は、なぜ大切?
眠っている間に脳や身体では何が起こっているのか?




 睡眠は生命を維持するために必要不可欠です。人間は、ただ眠っているもしくは活動を停止しているだけではなく、脳と身体の中で様々な事が行われています。

 眠りは、主に脳の休息と身体の休息で構成されています。

 一度の睡眠の中で、前半は脳の休息が行われ、後半では身体の休息が行われています。
前半の眠りの中で深い眠りにしっかり入ることで、成長ホルモンが大量に分泌されます。
成長ホルモンは、身体を休息させ、修復します。同時に不必要な記憶が消去される事でストレス解消に繋がり、脳を休息させます。



眠りのサイクルと成長ホルモンの重要な関係

 睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しています。寝付いて最初に訪れる睡眠がノンレム睡眠、いわゆる深い睡眠です。深い睡眠(ノンレム睡眠)に入ると今度はその眠りは浅くなり、次に浅い眠り(レム睡眠)に入ります。これを1つのサイクルとして睡眠が続いていきます。

 良質な睡眠は、このサイクルを4~5回繰り返し、目を覚ますことを言います。特に、最初のサイクルで成長ホルモンがしっかり分泌されていると、朝にスッキリ目覚める事ができます。




良質な睡眠ができていますか?あなたの睡眠、4項目をチェック!

□朝、スッキリ目覚めていますか?
□朝食を美味しく食べられていますか?
□日中、強い眠気も起こらず順調に仕事や勉強がはかどっていますか?
□休日も平日と同じ時刻に目覚めていますか?(寝坊しても2時間まで)

上記項目で一つでも答えをためらった人は要注意!また、寝床に入って、5分以内に眠りにおちたり、いつでもどこでも眠れてしまう!と言う人も実は気をつけなければいけません。



良質な睡眠の3つの条件とは

良質な睡眠は、質だけでなく、睡眠時間とリズムも大切です。

睡眠時間は、18~64歳の方で7~9時間必要と言われています。
短くても6時間、長くても11時間を超えないようにしましょう。

また、身体のリズムを整えることで、ホルモン分泌がしっかり行われ、質の良い睡眠に導きます。食事の時間を可能な限り揃え、起きる時間と眠りに入る時間を一定にすることで、身体にリズムが生まれてきます。



良質な睡眠の準備は、朝食で決まる!

良質な睡眠は、眠りの前半でしっかり深い眠りに就き、成長ホルモンをたくさん分泌することで、作られていきます。
その、深い眠りに関わってくるのが、21時頃から分泌が始まる「メラトニン」と言うホルモンです。
朝食で「トリプトファン」と言うアミノ酸を含むたんぱく質を食べることで、約16時間後に、セロトニンを経てメラトニンに変化していきます。
メラトニンは、体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。



良質な睡眠のための栄養素と食べ物

トリプトファンからセロトニンを作る時、鉄やビタミンB6、葉酸、マグネシウムなどのビタミンやミネラルが必要となります。

身体にこれらの栄養素を満たしておくことが大切なので、日頃から意識して摂ることをおすすめします。
特に、ビタミンB6は朝にしっかり摂りたいビタミンです。

たんぱく質(トリプトファン)
トリプトファンは、
肉、魚、卵、乳製品、大豆製品に含まれています。

葉酸
ほうれん草や小松菜、ブロッコリー等の緑黄色野菜。
枝豆、納豆、いちごなどの果物

マグネシウム
大豆製品、魚介類、野菜、海藻
ごま、アーモンドなど

鉄(ヘム鉄)
牛肉、豚肉などの赤身肉
カツオ、マグロ、サバなどの赤身魚(ツナ缶などもオススメ)
あさりやしじみなどの貝類

鉄(非ヘム鉄)
卵、大豆製品(豆乳や厚揚げなど)
ほうれん草や小松菜など
非ヘム鉄は、ヘム鉄に比べて吸収が悪いため、ビタミンCと一緒に摂ると吸収量が上がります。

ビタミンB6
鮭、サバ、アジ、イワシなどの魚
鶏肉
ほうれん草などの緑黄色野菜
さつまいも、カリフラワー

良質な睡眠を作り上げる組み合わせとは

たんぱく質(トリプトファン)+ビタミンB6
ビタミンB6が豊富な野菜を取り入れる事で、トリプトファンの効果をより高める事ができます。魚や鶏肉は、たんぱく質とビタミンB6の両方を豊富に含むのでオススメです。

例)
豆腐とほうれん草の味噌汁(豆腐;たんぱく質 ほうれん草;ビタミンB6)
ブロッコリーや緑黄色野菜の温野菜(ビタミンB6、鉄分)

鉄+ビタミンC
植物性食品や卵に含まれる鉄(非ヘム鉄)は吸収率が4~5%と低いのが欠点です。
その問題を解決するのが、ビタミンCです。ビタミンCと非ヘム鉄を一緒に摂ると、動物性食品に含まれるヘム鉄の吸収率(約10%)と同等まで引き上げる事ができるのです。

ビタミンCは、柑橘類、キウイフルーツなどに豊富に含まれます。ビタミンCは基本的には加熱には弱いのですが、ピーマン、ゴーヤ、レンコン、カリフラワー、ジャガイモやさつまいものビタミンCは、加熱しても壊れにくいので、調理に適しています。また、食後に果物を食べるのもオススメです。

例)
ゴーヤチャンプルー(ゴーヤ:ビタミンC、卵:鉄)
ほうれん草おひたし+レモン汁

朝食を抜くくらいなら?

朝日を浴びて、約16時間後に、メラトニンが分泌されるため、メラトニンの材料となるたんぱく質(トリプトファン)は、朝食に食べる事をオススメします。
しかし、忙しい朝には、朝食を抜いてしまうこともしばしばと言う人には、コンビニを利用するのも大切です。
ポイントは、肉、魚、卵、大豆製品、牛乳・乳製品に多く含まれるたんぱく質(トリプトファン)と炭水化物(糖質)を一緒に摂ることです。

たまごサンドやツナサンド、ハムレタスサンドはオススメです。


良質な睡眠のためには、朝日を浴びる、腸内環境を整える

朝食のたんぱく質(トリプトファン)とともに、朝、太陽光を浴びることもセロトニン合成には必要な事です。

また、セロトニンの9割は腸で作られていると言われているので、腸内環境を整える事も大切です。

そして、体内時計をリセットすることも必要です。人間の体内時計は24時間よりも長い事が分かっています。朝に体内時計をリセットさせなければ、体内時計と地球の時間(24時間)にズレが生じてしまい、どんどん夜型になってしまいます。

体内時計をリセットするためには、朝食の炭水化物(糖質)が必要。また、朝食のたんぱく質は体温を上昇させるので良質な睡眠に繋がります。

良質な睡眠にとってのNGな習慣
□脂っこい夕食
□寝るギリギリまでアルコールを飲んでいる
□夕食後にコーヒーなどでカフェインを摂る
□寝るギリギリまでスマホを見ている

寝付きが悪かったり、最初のサイクルで深い眠りに入らず途中で目覚めてしまったり、深い眠りに入れないと感じている方は夜の過ごし方を見直してみましょう。

メラトニンを分泌させるため、太陽光を浴び、しっかりと朝食をとり、夜にきちんとメラトニンが分泌されていても、夜に強い光を見ることで、メラトニンの分泌は減ってしまいます。

夜10時を過ぎたら、スマートフォンやタブレット、パソコンの電源を切ることも大切です。
また、寝る1時間前には入浴し身体を温めリラックスしましょう。

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