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コロニー その5(終)
ずじゃっ。靴底が湿った砂を叩く。間に挟まれた風船は音もなく割れた。突き立てた脚に体重を乗せ、彼女は割り切れない感情を単純明快な悪口に込めて放つ。
「……のばか!」
その一撃は海原を抉りながら、水平線めがけて一直線に進んでゆく―――なんてことはなく、数メートル先に落っこちた。思うように飛距離が伸びなかったのは、もとより小さい声量の所為だけではなかったように思われた。
不運にも二度目の死を
ずじゃっ。靴底が湿った砂を叩く。間に挟まれた風船は音もなく割れた。突き立てた脚に体重を乗せ、彼女は割り切れない感情を単純明快な悪口に込めて放つ。
「……のばか!」
その一撃は海原を抉りながら、水平線めがけて一直線に進んでゆく―――なんてことはなく、数メートル先に落っこちた。思うように飛距離が伸びなかったのは、もとより小さい声量の所為だけではなかったように思われた。
不運にも二度目の死を