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母は泣かずに大丈夫と言い続けた

こんにちは、戌亥です。

こどもが救急車に乗りました。
今まででダントツ怖い夜でした。

今は元気に保育園へ行っていますが
あの夜は本当にめちゃくちゃ怖かった。

乳児、幼児の謎の突然死は5歳ぐらいまである。
大人でも突然亡くなることはあるし
小さいこどもとなれば可能性も大きくなります。
今でもほぼ毎日寝息をしているか確認します。
それぐらい不安で心配性なのに。

それは、何の前触れもなく突然起きました。
夜中1時ごろ尋常ではない『ケホンケホン』の咳とともに
泣きながらこどもが起きました。

わたしも飛び起きて背中をさするのですが
いつもと違って息がしづらそうで
パニックを起こし『息ができない』と号泣。
泣くことでより息がしづらくなり。
咳もいつもと違う。
これはヤバいと思い別室で寝ていた夫を起こしました。

『救急車呼んでほしい』

夫も飛び起きました。
そのやりとりでこどもが少し落ち着いたのか
泣き止んで呼吸もできるようになってきました。

そこでわたしはなにを思ったのか
救急病院を調べ始めました。
指示を仰ごうとしたんです。

今ならすぐ救急車でいいと思うのですが
こどもが落ち着いたのと、変な理性が働いたのか
とりあえずプロに聞こうとしました。

24時間電話がつながる、あれはどこなんかわからんけど
電話したら看護師さんがでました。

こども症状を伝えたら
『クループだと思います。今すぐ救急車を呼んでください。』
と言われました。

穏やかですが『今すぐ』と言う単語にものすごく怖くなって
わたしのほうが過呼吸になりそうでした。

夫に119してもらっている間に
着替えようと寝室にこどもと戻りました。
着替えながら『むすこくん、大丈夫やでね。』
そう声掛けしながら着替えをしていました。
するとこどもが『寒い』と歯をガタガタ言わせて震え始めました。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い

普段元気な分、明らかに覇気のない顔を見ると
不安はどこまでも膨らみます。
すぐにフリースの上着を着せその上から毛布を掛けました。

それでも寒いというこどもを『大丈夫、大丈夫』と言いながら
ずっと背中や肩をさすっていました。

いつもの笑顔はもちろんなく、ボーっと一点を見つめるこども。
このまま長い眠りにつくとかやめてよ・・・。

『どこにもいかんといてね』と泣くのを我慢しながら言うと
静かにうなずいてくれました。ごめんね、弱い母で。
ありがとう、優しい息子よ。

夜中やで静かに救急車よ来てくれ、の思いが届いたのか
静かに来た。救急隊員の方が3名寝室に。
こどもはわたしが抱っこして救急車に乗りました。
3人来た意味・・・。

救急車に乗ったのはわたしもこどもも初めて。
乗る瞬間まで緊張しましたが、乗った瞬間狭っ。
とわたしの平常心は戻ってきました。

こどもはというと、わたしの膝から
ストレッチャーに移動され病院に着くまで
騒ぐことも寝ることもなく終始じっと座っていました。

時折救急隊員の方に話しかけたりしていたので
割と彼も平常運転だったのかもしれない。
いつの間にか震えもおさまっていた。

病院につき看護師さんに迎えられ
しばらくして先生が来られました。
診察の結果やはりクループでした。

生後6ヵ月~3歳頃に多い呼吸器の感染症で、ウイルスが原因で起きる喉頭気管気管支炎です。クループとは疾患の名前ではなく、感染症によって引き起こされる特定の呼吸症状の総称です。
声の通り道(声門周囲)にウイルス感染が起きることにより浮腫・腫れが起きることで症状が出現し、特徴的な咳(犬が吠えるような咳、オットセイが鳴くような咳)や鼻汁、発熱を認めます。夜間に急に咳が悪くなることで気付かれることが多いです。

クループ症候群とは - チャイルドクリニックより引用抜粋

電話で看護師さんにクループですと言われたとき
夫が検索していましたが、わたしは怖くて
『怖くないよね?』と言って内容を聞きませんでした。
『ん~ちょっと怖いなぁ』と、聞きたないのに
そういうこと言うなや!!と不安を煽られ腹立つし
怖いしで、感情が忙しかったのを今でも思い出します。

病院で処置してもらったことでわたしの不安は
とにかくとにかく安心に変わりました。
後にクループのことは自分で調べて知ったが
小さいこどもはよくあることで、しかも夜中に起こる。
日中起こることは稀だと言われた。
めっちゃやなやつやん、コレ。

『よくあることなので気にしないでくださいね。
よくがんばりましたね、お母さん。
こんな落ち着いたお子さんもめずらしいですよ。』
と看護師さんにねぎらってもらえて、泣きそうやった。

廊下で待っていた夫と合流して車に乗って帰宅。
午前3時。
途中こどもがお腹が痛いと言い、家に帰ったら下痢でした。
体も心もパニックになっとったんやなと。
オムツを変えてお布団に入って頭を撫でながら
『ゆっくり寝なな』と言ってたらすぐに寝た。
そりゃ疲れたよな。

わたしはしばらく寝られなかった。
後で聞いたが、夫は6時まで寝られなかったそうだ。
彼は彼ですごく不安だったらしい。そりゃそうよな。
その日は午前有休をとっていた。

次の日ホームドクターの病院へ行き
先生にもめちゃくちゃ優しい言葉をかけてもらい
泣きそうになった。

『夜中でもためらわなくていいからね。
そんな人(救急車呼ぶ人)いっぱいおるからね。
お母さんだけじゃないからね。』

ホームドクターに言ってもらった。

乳児、幼児が突然亡くなることもあるけど
今回のように、なんの前触れもなく
急になにかが起こるってことを身をもって経験した。

心底怖かった。
不安過ぎて話しかけ続けてた。
会話が途切れたらあかん気がして。
どっかいってしまう気がして。
ひとりぼっちにされるのが怖くて。
そんな考えになるのも嫌で。

今までも救急車が近くを通る度
乗っている方が助かりますように。
同乗している隊員の方々お疲れ様です。
と思っていたが、自分が乗って
より強く思うようになった。

健康第一。
明日も同じ明日がくるなんて誰が言った?
当たり前の日常なんて存在しない。
存在している日常すべてが奇跡。

今この瞬間を当たり前と思わず生きる。

生きていることも奇跡なのかもしれない。
忘れかけるけど、忘れちゃいけない。
思い出して思い出して記憶に残す。

何度も泣きそうになったけど
わたしが泣けばあなたは不安に思う。
それはあかんよね。
わたしは泣かなかったぞ。

ただ何度もあのときのことを思い返して泣きそうにはなる。

心配性なわたしはいつ気を抜けばいいのか
わからなくなったが、とにかくこどもが
元気で笑っていてくれることを祈り眠りにつくしかない。
まだしばらくは君の寝息を確認するよ。


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