殺されたがり夢個性病女

 わたしはひどく無個性な人間だと思う。上には上、下には下があるので見るなとよく言うし自分もそう思うのだが、時々差をまざまざと見せつけられてしまう瞬間がある。
 わたしなんかは文字書きで絵描きで歌を歌うのが好きな人間だが、ここまででわかる通りとても一般的な少女ちゃんだ。対して満足できない文字を綴り、対して満足できない線を引き、対して満足できないメロディを紡ぐ。聞けない、見れないレベルではないため(驕りだ、周りの人間が優しいからだと言われればそれまでだが)とても浮くのだ。

 きっと、想いがこもっていないから。わたしが創作を始めたきっかけは自己顕示欲であったし嫉妬だったからだ。もっと見られる方へ、「わたし」を見てくれる方へと彷徨っているうちにここへ来たし、きっとここも通過点の一つなのだと思う。噓偽りない愛情モドキで綴った自己愛たっぷりのミートソースパスタ。それは、人を選ばない代わりに誰にも刺さらない。
 幸いなことに厨二病と呼ばれる性格であったため、一般ウケしないものを書くのが好きだった。と、いうか、やばいものを書けばやばい人しか集まらないのではないかと考えて。結果わたしの周りには「濃い」人が集まった(わたしが収集した)。

 わたしより絵が下手な人。わたしより絵が上手い人。わたしより文が下手な人。わたしより文が上手い人。わたしより歌が下手な人。わたしより歌が上手い人。わたしより想いがこもってる人。

 耳も目も心も痛い。毒を食らわば皿まで食らうタイプの人間なので、周りの人の性格もまぶしかった。わたしより声がかわいくてかっこよくて滑舌が良くて物知りで優しくてノリがよくてもうわたしが勝てるとこなんてどこにもなくて。
 時々、死にたくなる。嘘。ならない。死にたくはない。まだ生きたりないし迷惑かけ続けるだけの存在だけどしたいことも行きたい場所も食べたいものも読みたい本も綴りたいストーリーも、まだまだある。

 殺してくれと思うのだ。殺してくれると思ってるのだ。その完璧なままで、最低を更新しないわたしの憧れのまま。はやくころしてくれ、はやく、なんでもいいから。どうでもいいから、きっとわたしの穴はあなたが埋めるまでもなくふさがるから。

 夢を見る。早く殺してくれと。殺されたいと。この夢見がちでお花畑で現実を見ない都合のいい脳味噌だけは、わたしの唯一の個性で病名だ。