部屋を用意してくれた

スクールソーシャルワーカーなるお仕事をしている。この仕事、多くの自治体は教育委員会にデスクがあって、学校からの派遣要請があって派遣されるという形だが、私がいるのは中学校の職員室で、ここにあと2人のワーカーがいる。3人で周辺の学校をいくつも担当するというスタイルは、全国的に見てもほぼ例がない。
ということで先駆事例もなく、自分たちが考えて学校と相談してやることすべてが新しい取り組みとなる。「手探り」という言葉がまさに適しているような、試行錯誤の実験室の中に放り込まれたワーカー3人という環境だ。

新しく拠点校での仕事を始めるにあたり、まっさらな部屋を用意してくれた。事務仕事や記録の作成、電話なんかは職員室の中にあるデスクでやるが、面談やケース会議など、何かと部屋が必要になる場面は思った以上に多い。そこで、普通の教室の半分程度の広さになるが、学校が新しい部屋を用意してくれた。元々教室だった部屋を半分に仕切っているので、壁には大きな黒板がある。そこに8人ほどがミーティングできる大きなテーブルとイス、作業するには丁度いいような少し小さめの机もいくつか入れてくれた。鍵の付く書棚もあり、便利に使えそうな部屋にできる。前の職場から持ってきたアコースティックギターと、コーヒーの道具も一緒に持ち込む。あとは専門書を数冊にトランプ、UNO、チョコレートパズル、筋トレ用のプッシュアップバーも何故かある。
ワーカー最初の仕事は、この部屋の名前を付けること。誰でもふらっと寄ることができる、教員生徒保護者分け隔てなくフラットな関係でいられる部屋という意味を込めて「ふらっとルーム」と名付けた。

音楽の先生が部屋名の由来を聞いて
「半音下がるの意味だとあまりよくないと思っていたので安心しました」と話していた。思わず笑ってしまったが。

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