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カードゲームオタクから見た韓国のeスポーツ事情

1.まえがき…日本よ、韓国に染まれ

 どうも、イヌ科です。
 半年くらい前からイキって前髪を伸ばしてセンターパートにしているんですけど、
 美容師さんに切ってもらったとき「いいですね~!すごい韓国っぽい!!」と言われ、
 そうか、2021年の日本において韓国っぽくあることは褒めポイントにあたるのか……となりました。みんなも日本らしさなんか捨てて韓国に染まろう!
 ちなみに僕はオタクなのでセンターパートがなにゆえ韓国っぽいのかはよくわかっていません。韓流アイドルの影響だろうか。

 さて、今回はそんな韓国のeスポーツについてのお話を書こうと思います。なぜかというと僕が今興味があって今から調べながら書くからです。気分屋。
 どうやら美容など韓国は様々な分野で最先端を行くらしい(オタクだから全然知らなかった)ですが、
 eスポーツにおける韓国といえばそりゃもうハイパーウルトラ超絶先進国として有名です。(これはオタクだからよく知ってる)
 その先進っぷりを表す有名なエピソードとして、LoLの大会において「チーム内の韓国人の数が多いほうが有利」なんてジョークが飛び出したというものがあります。宇宙人扱いかな?

 そんな韓国が、なぜeスポーツという分野において他国を凌ぐほどに巨大なコンテンツとなったのか。
 色々調べて情報をまとめていきたいと思います。


2-1.歴史的背景…高速インターネットとPCバン

 時は遡り1997年。このころ韓国の経済が大打撃を受け、政府は何か対策を講じる必要がありました。
 そこでIT産業振興を掲げ、ITインフラに莫大な投資を行います。その結果、世界的にも稀に見る速度で国内に高速回線を構築していきました。
 2002年には光回線に加入している国民が2000万人を超えるほどに高速インターネットが普及していったのです。

 同時期、高速回線の整備とともに韓国ではオンラインPCゲーム、特に「スタークラフト」というタイトルが大流行。
 その流行の大きな助けとなったのが、「PCバン」。日本で例えると格安のネットカフェの存在です。バンとは韓国語で部屋とかそういう意味らしい。
 どれくらい安いかというと1時間100円くらい。こんだけ安けりゃPCがない家庭でも学生が小遣い持ってゲーセン感覚で毎日通えるレベルですね。
 ピーク時は全国2万か所以上のPCバンが24時間稼働していたらしく、誰もが気軽にゲームを楽しめる環境が整っていました。

 各地のPCバンでは大小様々な大会が開かれ、各地域で有名な「ゲーム選手」が登場し始めたようです。
 これは個人的な想像ですけど1日中PCバンに居座る番長的な存在いそうですよね。ここでスタークラフトやるならウチのボスに挨拶しに行ったほうがいいよ!みたいな。
 カードゲーマー的にはカードショップのローカルコミュニティ≒PCバンのローカルコミュニティだと考えていいと思います。

 この国中を巻き込むオンラインゲームブーム、これを支援する体制も徐々に整っていきます。


2-2.歴史的背景…eスポーツ専門テレビ局の登場 

 今でこそeスポーツの観戦といえばYouTubeやTwitchなどネット観戦が主ですが、2000年代初頭は逆にそれが難しかったころ。YouTubeができたのなんて2005年ですからね。
 だからこそ、韓国のeスポーツのリアルタイム観戦という文化はインターネットではなくテレビから始まっていきます。

 2000年ごろ、世界初のeスポーツ専用チャンネル「OGN」(On Game Net)がケーブルテレビで開局。
 各地のPCバンで腕を鳴らしたローカルプレイヤーたちを招待し、そこでより大きな大会を開催、放送するようになりました。

 これが視聴コンテンツとして普及することに成功し、韓国のゲーム観戦文化が定着する基盤となりました。
 ゲームをプレイしていない層ですら見ていた模様。まるで野球やサッカーですね…


2-3.歴史的背景…KeSPAの設立

 ちょうどOGNでの大会放送がなされていた時期に、大企業がeスポーツ事業に参入するようになります。
 そして昔からeスポーツ事業にいた要人たちは、行政機関としてKeSPA(Korea e-Sports Association)を立ち上げます。
 ちょうどeスポーツという言葉が世界でも使われるようになったころに「e-Sports」の名前を冠して組織されました。
 この組織の凄いところは行政機関として立ち上がったということ、つまり韓国政府の後ろ盾を得てeスポーツを発展させたということです。すごいの一言ですね(こなみ)

 KeSPAの主な役割はゲームの公式大会の主催やeスポーツ大会の認可、またStarCraftのプロリーグの設立にも貢献した模様。知的財産権を巡ってゲーム会社とケンカするのもこの団体の役割のようです。
 これらの取組を行政機関がやっているわけですから、それはまるで「国がeスポーツを盛り上げている」姿そのもの。
 衰退のリスクも下がっていたことに繋がっていたために、異業種の企業がeスポーツ業界に参入する際のリスクが激減し、多額の投資や業界への参入がなされた大きな理由がこの組織にあるわけですね。

 ここまでがだいたい2000年代前半に起きたこと。20年前から韓国はすでに国を挙げてeスポーツが発展する基盤を作ってきたわけです。
 このころ日本は通信ケーブル同士を繋げて4人対戦できるようになってすげー!って言ってたりflash動画で爆笑してたような。これが国を挙げたIT投資をしたかどうかということか……


3.韓国eスポーツの現状

 こうしてeスポーツ先進国となった韓国ですが、様々なタイトル同士が流行を奪い合う側面もあるeスポーツ。当然韓国でも主流のゲームというものはあり、そこに選手が集中する傾向にあります。

 2020年の記事で確認できた限りだと、OGNなどで最高の視聴率を獲得し、最も選手同士の競争が激しいタイトルは以下3つ。

「League of Legends」通称LoL
「StarCraft 2」通称SC2
「Overwatch」

 StarCraftシリーズは韓国eスポーツ人気の火を点けたタイトルとして有名ですが、視聴者数においてもプレイヤー数においても未だに根強い人気を誇っているんですね。
 日本でいうストリートファイターみたいなもんなのかな。

 Overwatchのプロリーグでは、チーム名に各国の都市の名前を冠したチーム同士がしのぎを削っているんですが、そこに所属している選手の国籍はほとんど関係ありません。
 例えば2018年度のチャンピオンとなったLondon Spitfireはチーム全員が韓国人でした。ロンドンって韓国だっけ?
 2019年度のチャンピオンであるSan Francisco Shockも参加登録者の半分が韓国出身。このように都市の名前は冠するものの、参加するプレイヤーは韓国人の割合が非常に大きくなっています。2020年シーズンでは57%。

 韓国におけるLoLはもうなんかすごいので別項を設けて詳しく解説します。


4-1.韓国におけるLoL…選手編

 話は変わりますが、日本におけるプロ野球観戦が文化として定着した大きな理由のひとつ。それはスター選手の存在です。

 大昔で言えば長嶋茂雄や王貞治、一昔前ならイチローや松井秀喜、現代ならば大谷翔平……
 スポーツ観戦において人を惹きつけるもののひとつは、圧倒的な実力を持ったスター選手の存在は欠かせないものだと思います。

 そして、韓国のLoL界にもその名を轟かすスター選手がいるのです。
 その名は"Faker"

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見た目は普通の韓国人だけど、とにかくすごいらしい

 カードゲーム界隈に分かりやすく言うとLoL界のJ-Speedです。
 というかFakerがマジですごい以上の情報がなかなか出てこないので僕もだいたいLoL界のJ-Speedとして認識しています。
 韓国のeスポーツを語る上では本当に欠かせないんでしょう、ほとんどの参考文献にこの名前が登場しているのでJ-Speedどころか大谷翔平かもしれない。

 こちら日本語実況のプレイ動画。
 MOBAの知識はポケモンユナイトやっただけの僕並の感想なんですけど、なんで1:3をフラッシュなしで逃げ切れるんだ????????

 Fakerの名前と同時に所属しているチーム「SK TELECOM T1」も世界に名を轟かせています。SKTの略称で親しまれるこのチームはLoL韓国1部リーグ「LCK」でも常に上位争いに食い込む超一流チームです。


4-2.韓国におけるLoL…LoL Park

 商業ビルの3階を丸々LoLに特化した施設、LoL Park。
 LoLを作ったRiot Gamesの本社があるアメリカではなく、よりLoLのメッカとなっている韓国にこんな施設が作られたのです。

 施設のすごさは語るべきところが多すぎるので上の記事でぜひ見てほしい。スタジアムのレイアウト見たときどっひゃ~って声出ちゃった。
 日本でもAPEX専用の施設ができるとかあるのかな……そもそもeスポーツ観戦が文化として定着してないからまだまだ先の話だと思うけど。


5.現在の韓国における取り組み…その他

 先ほど紹介したケーブルテレビのOGNも大きな会社となり、2016年にはいくつものeスポーツスタジアムとテレビ局が両方入ったビル、SEOUL e-Stadiumを作りました。
 チームゲーム、バトルロワイアルなど様々なゲームジャンルに対応したスタジアムが別々に作られており、それを自社でそのまま放送することができます。

 ソウル市や文化体育観光部、つまり行政が多額の投資を行っています。ウォンを1/10したら円にだいたい変換できると計算すると、43億くらい行政の投資によって施設が完成しています。ここまでくるとエグい。

 ちなみにヘッダーに使ってるフリー素材はここで撮ったものみたいです。ありがとうぱくたそさん。


6.あとがき……無秩序まとめ

 調べ学習記事としては無秩序すぎた気がする!!たぶん読みづらかったと思いますすみません!!
 僕も調べる範囲が広大すぎてバチクソ疲れたんで僕の疲れた顔を思い浮かべてほしい。それで得することは何もないけど。

 一言でまとめると「韓国のeスポーツはマジですごい」ということになりますが、ここまでの文化に成長した要因は「PCバンの普及」「行政機関の協力」の2点が大きいなぁ、と個人的には感じました。
 同時に、韓国の事例を日本にうまく取り入れるとしたら上記2点を重視すべきかな、と思います。

 今でもネットカフェやeスポーツカフェは日本に増えていますが、1時間100円クラスの価格を目指して10代20代にとってより身近な文化になるように。
 行政の力を借りてeスポーツを盛り上げることで、財源の確保、企業の参入しやすさ、クリーンな運営を国民に印象づけるように。
 これが実現できれば日本国内でももうちょっとAPEXやLoLが流行ったりしそうなんですけどね。実現できれば……。

 ちなみに今回から「esports」ではなく「eスポーツ」表記に統一しました。
 というのも、いーすぽーつの表記ゆれについて調べてみたら海外では「esports」、日本では「eスポーツ」が一般的なようです。
 前回までの記事は図らずもアメリカンスタンダードに則っていたわけですが、ジャパニーズで記事を書く以上泣く泣く日本書式に切り替えることとなったわけです。
 eの1文字打つためだけに半角に切り替えないといけなくて冷えてる人の気持ち、考えたことあるか?(たぶんeスポーツとesportsで総打鍵数はあんまり変わらないので本当に気持ちの問題でしかない)

 それではまた次回、「イヌ科、ポケモンユナイトで味方の頑なにファイアローを選んでくる野良にキレる(先んじてゲッコウガを選ぶことで中央エリアの平和を死守する)」編でお会いしましょう。ではでは。



参考文献リスト(無秩序)


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