ガキ大将Kくん。

明けましておめでとうございます。
毎回久しぶりの更新になりつつあるnoteをまた久しぶりに更新しようと思います。

大晦日と三が日はずっとバイトで正月の雰囲気を全く感じれなかった。
1年で1番好きな期間なのに。

実家で家族が集まって、
みんな休みで、
美味しいもん食べて、
おとんとおかんがしょーもない掛け合いして、
2人だけ笑ってて、
「いやどっちかつっこまんかい!」ってつっこんで、
妹の仕事と弟の大学の話聞いて、
たまに誰かが「なーはぐ?」って合槌求めて、
ウサギに無視されて。

それだけでもさいこうやけど、

久々に地元に帰ってる友だちに集合をかけたりして、ドライブで昔通ってた小学校に行って、
「そんなんあったなーー!」
と毎年同じような思い出話をしたりして。

大晦日とかお正月のあの感じがあるからなんとかギリギリ1年を頑張れてるみたいなところはある。
今年はずっとバイトだったし実家にも帰れなかった。
そして元旦に起きた地震。
素直にお正月を満喫できないような感覚もあるけれど、できることをできるだけやろうという点ではお正月も平日も関係ない。
気分が沈んで考え込んでしまっていたけれど、
「必要以上に落ち込みすぎず自分のできることをやっていこう。」
と思えたタイミングで、いま滞在してるゲストハウスの近所の料理人のおじさんが、
「そー言えば年越しそば食べて無いんじゃない?
まだ余ってるから持ってきてあげるよ!」
とお蕎麦を持ってきてくださった。
いつものお正月では無いけれど、
今までにないお正月を出汁まで全部いただいた。

近所のスーパー料理人おじさんのお蕎麦。


このままお正月日記でダラダラと書けてしまうんですが、今回書こうと思ってたのは前回から始めた
「友だちシリーズ」の第二弾です。
そーいえば前回は「不思議なAさん」のおはなしをしたんですが、本人はもちろん、共通の友だちでわかる人には一発でわかるので
「あの人のこと書いてたね!」って言われるんですが
そう言ってくれた人のひとりが
「あんなのラブレターじゃん」
って言ってくれてたしかに!と思いました。笑
好きな人のしか書けへんからそーゆーことにしよう。
ラブレターなんかなんぼ書いても良いですからね。

前置きが長くなってしまいましたがぼちぼちはじめていきます。
今回は題して「ガキ大将Kくん。」
Kくんとは保育園からの仲になる。
今は呼び捨てているから君付けは変な感じがするけど、この頃はずっと君づけだった。
Kくんは保育園も一緒だけど、家も100メートルも離れてないくらい近かったからよく遊んでいた。
今でも覚えているKくんの1番古い記憶としては、
「トリケラトプスの絵本」を2人で何回も見ながら
「うわ!すげー!かっこええな!」
と何回も感動していた思い出。
そんなKくんと僕は同じ小学校に入学する。
中学校も一緒なのだけど、田舎にいる時はそんなん当たり前と思っていたけど保育園からずっと一緒って結構珍しいみたい。
高校まで一緒の友達もけっこー存在するからまた紹介するかもしれない。
小学校に入った頃から、Kくんは背が高くて身体も大きかった。
背の順で並んだ時は絶対1番後ろ。
僕は前から3番目くらい。
Kくんは運動神経も良くて、1年生の頃の3年生や4年生とも仲が良くて、なんだかとにかく存在感があった。

ここで小学生の頃のKくんのエピソードをいくつか紹介したいと思う。
タイトルになっている「ガキ大将」の部分はこのあたりで感じていただきたい。

Kくんは小学何年生か忘れてしまったけどエアガンにハマっている時期があった。
家に遊びに行くとエアガンを貸してくれて、BB弾をつめて遠くに置いた空き缶を撃つとゆー遊びをしていた。
「おーーすげーー!」
と僕もやらしてもらって男の子にはたまらない遊びにテンションが上がったのを覚えている。
ここまではただの少年。
ただKくんを甘く見てはいけない。
ある日Kくんが僕の家に友達数人で遊ぶ約束の日に
エアガンを持ってきた。
また外で遊ぶとき使うんかなぁと思ってたらキッカケは忘れてしまったけど家の中でKくんがBB弾を発射したことは忘れられない。
狭い部屋で逃げ惑う人々。
机の下に隠れるよっちゃん。
隠れているが丸見えのお尻に打ち込まれるBB弾。
そしてケタケタ笑うKくん。
あれは僕が1番最初にみた地獄かもしれない。
なんてやつや。
今なら「このサイコ野郎!」とつっこめるけど、
当時は友達でもあるけれどKくんに何か強い言葉を言うのは怖かった。
とりあえず恐ろしいやつ。
と言う記憶だけが残っている。

また、雪が積もった日の休み時間。
自分の学年の男の子ともう一つ上の学年の男の子とで、雪合戦をしていたとき。
特にルールがあるわけではなく、とりあえず陣地を決めてそこから雪玉を投げ合い続けるだけの遊びだった。
陣地は決めるけど、相手の陣地に飛び込んで至近距離で雪玉を喰らわすことはOKとされていたが、それをすると複数人から雪玉を投げられるというリスクがある。
だから雪の壁を作ったりしてうまくそこに隠れながら人を敵地に送り込んだりする作戦もあったりして、小学生ながら戦術を考えながら遊んでいた。
そんな雪合戦に一兵卒として参加しているときに、
我が軍の特攻隊長であり、総司令であるKくんから
ニヤリと笑いながら小声で話しかけられた。
「〇〇おるやろ?なんかあいつ腹立つからこの雪玉顔面に喰らわしたるからみとけよ」
そう言って触らせてもらった雪玉の硬いこと。。
「これどーやってつくったん?」
「朝にパンパンに固めてな、水かけておいとったってん」
「いやさすがにやばいんちゃ…」
言い終わらないうちにKくんの剛腕から放たれた他のと比べられないくらい硬い雪玉は見事なコントロールで狙った敵兵のほっぺたにぶち当たり頬が真っ赤になったのであった。
(ちなみにKくんは少年野球をやってた僕よりも野球が上手くて、たまに「キャッチャーやってくれ」と言われて自分より全然速いボールを受けたりしていた。変化球はカーブ、シュート、フォークで他にもあったかも。)

悪いやつやなぁ。
ここまで書いてて改めて思う。
味方で良かったと心から思う。
この話で唯一Kくんのことを擁護できるところがあるとすれば、敵陣に行って至近距離で顔面を貫かなかったことであろうか。
それをするには流石に硬すぎるという良識的な判断か、単に早く自慢の兵器を投げたくて仕方なかったのかは定かでは無いが。

Kくんの悪ガキエピソードはまだまだあって、
学校から帰る時に僕の鼻を笑いながらパンパン叩いてきて、泣きながらもーやめてよーと言ってもやめてくれずにとうとう鼻血が出てしまったけど、まず心配するより先に道端の草で地盤の手を拭いた。とか言い出したらキリがないからこの辺で終わっておこう。

これまでKくんの「悪ガキ」エピソードを書いてきたけど、ただの悪ガキでは「ガキ大将」にはなれないのだ。
ここからは汚名返上というか、
Kくんの「大将」エピソード。
大将が大将たる所以を紹介していきたい。

まずKくんは運動神経が抜群だ。
短距離も長距離も球技も水泳もなんでもできる。
また習い事は柔道をやってて格闘技もできるのだ。
身長が高くて運動ができる。
これは小学生としては大変なカリスマ性なのである。
また、ただのスポーツマンではないのだ。
小学生のころ毎朝「朝マラソン」というのがあった。
朝の休み時間が終わったら低学年は1kmほど。
高学年は1.5kmほどの学校外のコースを走ると言ったものである。
その朝マラソンでKくんとよっちゃんと僕は3人で
めちゃくちゃゆっくり話しながら走っていた。
他の小学生たちはみんな真剣に走っていたけど、
「ゆっくり走ろや」
とKくんが提案したのをきっかけにそーなったのだ。
今思うと全然そんなことはないけど、みんなが真剣にやってることをわざとしないというのがなんか少し悪いことをしてるようで最初は罪悪感が少しあったけど、お喋りしながら走るのが楽しくて朝マラソンはゆっくりするのが僕らの定番だった。
今思うとこーゆーことを思いつくのもKくんのカリスマ性やなぁと感じるけど今回の話は別のところにある。
僕らの小学校では、「運動会」の午前の部の最後の競技で、それぞれの色組の得点は関係なく学年ごとに朝マラソンのコースを走って、一位から三位を表彰するという文化がある。
Kくんが本気を出すのはここなのだ。
Kくんは1年生と2年生でこの学年ごとのレースで一位に輝く。
するとそれからお母さんから
「あんた次も絶対1番取りや」
と司令を受けるようになる。
低学年の頃は朝マラソンも頑張って参加していたけれど、高学年になってからゆっくり走る朝マラソンは始まっている。
毎年一位の重圧がありながらも日々の朝マラソンは楽しく手を抜く。
そして運動会の日だけ本気を出して一位を掻っ攫う。

かっこいいぞ。これは。

この話には2つ特筆したい点がある。
まず僕らの学年が長距離が遅い人ばかりだったのではないこと。
何人かいるが、例えばTくんは運動が全部できるわけではないけど、サッカーをやっててサッカーと長距離の技術は高くてしかも朝マラソンも毎日奢ることなく自己ベストを目指して研鑽しているのだ。
ただ、運動会では毎年Kくんに軍配が上がる。
こーなってくるとTくんの悲運を書きたくもなるがそれはここでは一旦置いておきたい。
2つ目は、「お母さんに言われてるから」本番だけ頑張っているという点だ。
思い出して欲しい。
謎のカッコつけってあったと思う。
テスト前の「勉強してへん」
体力測定の日に何故か体調悪くなるやつ。
「本気モード」で裸足でリレーを走るやつ。
Kくんには絶妙にあのダサさがないのだ。
本当に普段はのんびり走りたいし、
本当に本番でかまさなければならないのだ。
「そのほうがかっこいいから」
といういやらしさがない。
そーゆーところがKくんをただの「悪ガキ」でなく
「ガキ大将」たらしめているのだ。

他にもファッションに興味を持ち出すのが人より早く、周りが派手な柄やプリントで個性を出していた時期に無地のチノパンとパーカーを絶妙のサイズ感で着こなして同世代の度肝を抜いたり、中学で野球部の主将を任命されたり、年上の彼女ができたり、
それはそれは「イケてる」やつであった。

そんなちょっと悪いけどなんかカッコ良くて大人びていて存在感がある「ガキ大将」Kくんとは高校で別々になり、Kくんが引っ越したのもあって疎遠になっていった。

ただ、たまに地元で会うこともあって、その時に話したりすることもあり、そういう時はとても楽しいのだが、
実は少しずつではあるけれどKくんに変化を感じるようになった。

落ち着きすぎているのである。

今までの「悪ガキ」エピソードだと落ち着きがないような印象があると思うけど、実は歳を重ねるにつれ、存在感はありつつも「悪ガキ」みたいな激しさは小さくなっていた。
ただ。
速度が速いのだ。
久しぶりに会うたびに彼の温度は下がっていく。
なんとゆーか。
落ち着いてるとゆーか。
冷めているのだ。
なんだか熱があまり感じられない。

思い出せる最後の彼の熱は、
中学校の野球の最後の試合でミスをしてしまいそれでゲームセットになった後(もちろん敗因はそのミスではなくみんなが得点できなかったからなのだが)に
「太郎、、ごめん、、、」
と泣きながら謝ってきたときだ。
そんな気は無かったけど、あのKが泣きながら謝っていることにやられて
「お前のせいじゃないよ、、、」
と僕も号泣した。
あの日から彼の熱は下降している気がする。

そんな変化をたまに感じながらも、僕らはお互い大学生になった。
今までよりもさらに疎遠になっていたが、就職活動をしていた大学4年の春。
急にKから電話がかかってきた。

「おー今何してんの?」
「久しぶりやな!就活終わって帰るとこ」
「え、だる今大阪やねん。大阪おらんかなーおもてんけど」
「そやったんかすまんな」
「またかけるわ」

なんてことない電話。
ただ、この日から彼から頻繁にとは言えないけどたまに電話がかかってくるようになった。
近況を聴いたり、就活の愚痴であったり。
本当にたわいのない会話を幾度となく繰り返し、
大学を卒業して4年くらい経っても未だにこの
なんてことない電話は繰り返されている。
頻度もまちまちで、半年くらい来なかったと思ったら月に3回くらいくることもある。
1番最初こそ懐かしさでテンションも上がっていたが、最近では

「おーひさしぶり」
「どしたん」
「いま帰りで電車待ってるねん」
「またか」
「最近どーなん?」
「んーぼちぼちやな」
「そーかーこっちは仕事だるいわぁ」
「ずーと言うてんな笑」
「ずーとだるいしなぁ。彼女できたん?」
「いやーできてへんなぁ。」
「へー。俺できたで。」
「おー良かったやん。いつから?」
「3ヶ月くらい前かな」
「へー。どこで知り合ったん?」
「友達の紹介やな」
「へー。どんな子なん」
「年上の子やな。ゆーて2個しか変わらんけど。」
「ふーん。」
「まー嘘ねんけどな。」
「やろーな。」
「何がやろーなやねんどつくぞ」
「いや毎回おる言うて嘘やん。」
「それもそーやけど。リアクションはしてもええやろもーちょい」
「正直嘘でもいつも通りやし、嘘じゃ無かったとしてもお前に彼女おることにそんな驚かんな」
「なるほどな。確かにそーか。」

ここまでが
「もしもし?」
と同じ意味を持つくらいになっている。
電車が来たりKの空いてる時間が短ければもーここで終わることもある。
終わらなくてもそこからまたなんてことない世間話が続くだけだ。

ただ、この意味もない時間が好きだったりする。

そしてKから電話がかかってくるといつも思い出すことがある。
小学生の時から、2人で遊ぶときは絶対に電話はKからかかってきた。
夏休みともなると毎日電話で誘いが来て、昼から学校のプールで遊んで駄菓子屋でアイスを買って家まで帰ってクーラーの効いた部屋で遊ぶか外でキャッチボールをする。
ただ、一度だけ朝から暇で僕から電話をかけたことがある。
遊ぼーと言うと「え!たろうから!?珍しいなぁ」
と明らかに動揺していたのを覚えている。
そこからプールに行って駄菓子屋に行ってといつもの遊びをしているのに何度か自転車に乗りながら
「え?なんかあったん?珍しいよな?」
と尊敬と畏怖みたいな眼で観ていた友だちが
なぜだか調子が狂っているのがなんだか面白くて
ずっと心に残っている。

大学4年から始まった急な電話のやり取り。
今のところ10割の確率でKから電話がきている。
これをふと思い出して僕から電話をしたとき。
冷め切った彼の心に少しでも動揺がはしらないかなぁと。
雪玉をカチカチに固めていたKと同じような顔で、
悪そうな笑顔で企んでいる。

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