見出し画像

ユング本人が語る感覚、思考、感情、直観について

タイプ論の考案者、ユングの本を読みました。

MBTIはユングのタイプ論にJとPの分類を付け加えたものと言われています。

今回はユングが1935年に行った講演とディスカッションの中で語られたタイプ論に関する見解について、抜粋して紹介します。

ユングとフロイトの違い

フロイト・ユング・アドラーの3人は心理学の分野で三大巨匠と呼ばれるそうです。

元々ユングはフロイトの弟子で、ユングはフロイトが提唱する「心の無意識の領域が及ぼす影響について」支持をしていましたが、その後フロイトの一部の学説に疑問を持ちはじめ、やがて独自の見解を追求していくことになりました。

物凄く大雑把にいうと、フロイトがリビドー、エス、エディプスコンプレックスといった原始的な本能や欲求が無意識の根幹を支配しているという見方をしているのに対し、ユングはもう少し人間ならではの知性や精神性といったものが無意識の領域においても機能しているという見方をしているみたいです。

そこから生まれた「言語連想実験」や「タイプ論」からも分かるように、ユングはフロイトに比べるとN的な要素を少し重視していたのかもしれませんね。

感覚について

・私たちは感覚を用いることによって、フランスの心理学者達がいう「現実機能」を理解することができます。

・感覚は何があるかを私達に伝えてくれます、それがなんであるかは教えませんし、それ以外のことも教えません。ただ何があるかということだけを教えます。

・感覚タイプの人間は現実、つまり周りにある4つの壁がないとおかしくなります。(一方直観タイプの人間はそこから抜け出すかが一番の関心事になるでしょう)

思考について

・(外的な)思考は知覚的であり、判断的でもある。

・思考型の人間は感情を合理的なものではないと思うが、思考=合理的ということではありません

※(外向)思考は判断的であるという記述を鑑みると、元々ユングはJやPという区分けはしていないものの、元々それらを内包的に捉えていたのかもしれません。

・思考に基づいた判断というのは少なからず感情的な要素も入り込むものになり、真に科学的、哲学的に思考したいのなら、あらゆる感情価値から遠ざからなければなりません。

※Tiのことかと思われます。

感情について

・感情は、感情的な色調を通して価値を伝えます。例えばあること受け入れることができるかできないか、同意できるかどうかを教えてくれます。

・感情はある事柄が、あなたにとってどんな価値があるのかを教えてくれます。

・感情は実は思考と同様にとても合理的なものである。

直観について

・誰しもが「ピンときて」「なんか分かるような気がする」という経験を日常ですることがある。

・発明家、芸術家、珍しい事案に遭遇した法律家、証券取引所や中央アフリカまで、この機能は日常において極めて自然に、また必要なものとして関わっています。

・この機能にまつわる様々なものが神秘的と言われるのは、言語の表現が追いついていないから。

優越機能と劣等機能について

・優越機能は意識下において動き自覚することができるものであり、劣等機能は無意識下において動き自覚ができません。私達は未開人のように自分の劣等機能を恐れます。

・人は優越機能は洗練された認識と扱い方をすることができるが、劣等機能においては太古的(アルカイクツ)な扱いしかできません。

・劣等機能は内的なものが病理に近づくにつれて、無意識下において心の多くの部分を支配するようになります。

その他、小ネタ

タイプ論の扱い方について

 私があの人は直観タイプ、あの人は思考タイプと箱に押し込んでいると思わないでください。私はよく「ところで○○さんは思考タイプではありませんか?」などと聞かされますが、それにたいして「そういう風には思っていませんでした」と言いますし、事実そうだからです。人それぞれにレッテルをはって引き出しの中に入れたところで実際には何の役にも立ちません。

優れた機能というものはない

 誰もが自分の優越機能を優れた価値のあるものだと思い、逆に劣等機能を価値のないものだと思います。しかしそれは個人の心的機能の捉え方の違いであり、実際には4つの機能全てが一人の人間にとって必要なものになります。

おわりに 

 決してタイプ論のためだけの本ではないので、新しい知識というのはありませんでしたが、タイプ論(そしてMBTI)の考案者が、それぞれの用語をどのように捉えているのかを知ることができるのはとても面白かったです。

 ここ最近、1930年代前後に出版された本や情報に目を通しているのですが、今ある様々な知識の基盤となる箇所が多く、一度知るとブレることのない普遍的な知識が得られている気がして、とても勉強になると感じています。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?