【ショートショート】いのちの本棚。
……てください、起きて」
一人暮らしの僕は、その言葉に違和感を覚えながら目を覚ました。
ぼやけたレンズが、1人の少女を映しだす。
「あの、起きました?」
少女がどこか心配そうに尋ねてきた。
昨日は家で過ごして、いつも通りの時間に眠りについたはず。
なのにどうして今知らない少女に起きろと言われているのか、状況がまったくわからない。
黙って体をおこして、周りを見渡す。
読みかけの本が何冊も積まれたデスク。
シャツが整列しているかのようにハンガーにかけられたクローゼット。
光