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子供みたいな大人

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私は「子供みたいな大人」が好きだ。 気張らなくて、なんかいいじゃんと思う。 そんな話をかき集めて、ああ、分かるわあ、って思ってくれたら良いと思います。
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記事一覧

友人が教えてくれた哲学者の名言。

夜の中を歩み通すときに助けになるものは、橋でも翼でもなくて、友の足音だ。
ヴァルター・ベンヤミン

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ロバ根暗選手権。
友人が「妹がロバ好きなんだよね〜」というので、ハンドメイドのぬいぐるみを吟味した。一つ一つ表情や佇まいが違うので、全員並べた。目に宿る光が少なく、最もうつむいていたロバが優勝した。しかし、彼女はレジ前で「思ったより高かった」と、そのロバを買うのを辞めた。

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電車内で人間観察をするのが趣味の一つなのだが、今日は買ったばかりと思われるフローリングワイパーを手にしている人がいた。この人は一体どのようにして過ごすのか目の片隅で追った。彼は座った。ワイパーは膝の間に置いて、まるで傘を持つ人のように振る舞い、動じることなく英語の単語帳を開いた。

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私は予防接種や採血で、体に針を刺されるのが嫌だ。子供みたいにしかめっ面して、なるべく腕を見ないようにする。看護師にくすくす笑われながら、医者には「大丈夫。すぐ終わる。ちょっとちくっとするけどね」と諭される。実際たいして痛くないし、すぐ終わる。だけど注射嫌いは治らない。

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とある日の昼下がり、エレベーター内の話。
行き先は屋上10階から地上1階。
見知らぬ男性会社員三人組の一人が「7階だな」とつぶやいた後、次は9階のチャイム音が鳴り、三人でくすくす笑ってた。「次は1階」「ないな」のやりとり後、停まったのは5階。しかし無人。「ま、こういうこともある」

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