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【未来を創る】名古屋大学 宇佐美・黒川研究室学生インタビュー≪佐藤 剛志≫

【1.佐藤君の研究】

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ーシリコンの限界を超える素材を

「今、シリコンは、太陽電池や大規模集積回路に使われています。
パソコンやスマホなどに使われている集積回路は、シリコンのサイズを小さくすることで集積率を増加させ、それによって計算速度が向上してきました。しかし近年、シリコンの微細化によって集積率を増加させるという研究に関しては限界が近づいていると考えられています。
また、太陽電池においては、理論効率限界というものがあり、「地球上に入射してくる光の最大29%程度しか電力には変換できない。」と一般的には言われています。ですので、シリコン系のゲルマニウムやスズなど、シリコンと同じ14族元素の物質を用いて現在のシリコンの限界を超えることができる新しい素材を開発する動きがあります。」

その中でも佐藤君は、従来の作製手法とは異なる、パルスレーザーを使った新しい手法で、より簡単に効率よく「シリコン・ゲルマニウム・スズを含む多元混晶薄膜(いくつかの元素を混ぜ合わせた薄膜のこと)」を作製する手法を研究しています。

「従来の方法だと、真空下で作製を行うのでなかなか大面積化が難しいのですが、私の研究するレーザーの手法だと真空状態を必要とせずに、広い範囲にレーザーを照射でき、大面積化できると考えています。大面積化が進めば、将来的には一般への普及も見込めると考えています。」

ー実験と機械学習を組み合わせて研究を加速させる。

また、今、佐藤君は新しい試みにも着手しています。
「これまでの研究では、パラメータが多すぎるので数を絞って、研究を進めていましたが、それでは、全部を見たことにはならない。
なので、膨大なパラメータを試せるように、機械学習を組み合わせた研究を進めようと動いています。また、実験の自動化にも取り組んでいて、それによって研究が加速していくのも凄く楽しみです。
機械学習を用いることで、実験とシミュレーションを組み合わせ、自分の見えていなかった世界が見えるようになる。また、自動化によって実験の効率を上げることで、時間の制約も取り払える。そうするとデータも加速度的に増えて、新しい発見があるかもしれない。」

ーやっぱり、あたらしいものがわかるかもっていうのが、好きなんですかね。今日のお話の中で、いま一番生き生きとしている。本当に楽しみそうです。

「新しいことがわかるのは、面白くて、すごく楽しみです。
発見した時も楽しいし、一個一個、途中もすごく楽しくて。まだ、機械学習のほうは途中ですけど、やれるようになったら、楽しい。できないことが出来るようになったら楽しいかなって。
一歩ずつ近づいてる感じや、その研究の過程も今は楽しめています。」

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【2.研究にかける想い】

ー研究熱心な研究室で、研究に打ち込みたい
 ―宇佐美・黒川研究室を選んだ理由は?
「太陽電池に興味があったことと、宇佐美・黒川研は先輩たちが学会などでもご活躍されていて、研究熱心な研究室だと聞いていて。せっかく研究をするなら、自分が打ち込める環境で取り組みたいなと思いました。     高校生の時は、野球部でピッチャーをやっていました。楽しかったです。
一生懸命やってましたね。
理系を選択したのは、数学や理科が好きだったので、何となく。ですが、
高校生の時に「イレブンナイン」っていう高純度シリコン、純度が99.999999999%のシリコンの存在を知って、なんかかっこいいなと印象に残っていて、それも、材料系を選んだきっかけになっているかもしれません。」


ーどこでも使われている身近なもので、人の役に立ちたい
 ―工学部の中でも、機械系ではなく材料系を選んだのは?
「材料って、世の中どこでも使われている、身近なもの。すべてを支えるもの。そういう点が自分の性分に合ってると思いました。」

 ーそれ自体が強く主張せず、人々の暮らしに、目立たず静かに役立っているような・・?

「生活・日常に組み込まれている。そういうのが自分の性分に合っているかなと思って。
あまり表に出たくはない。でも役には立ちたい。という性分。
それが材料系を選んだ大きな理由で、モチベーションにもなっています。 チームにおいても、リーダー的な人を支えるような、言葉をくみ取って、どちらの気持ちをわかるような人間でいられたらいいなというのがあります。」

 ―テーマについては。
「実験と機械学習の両方がテーマに入っていたので、実験もできて機械学習もできるんだと思って、両方頑張れる。そこに惹かれて選択した記憶はあります。」

 ー色々取り組みたいんですね。
「色々やりたがりかもしれません。器用ではないので、その分人よりも頑張らないと。と思っています。」

6月からは、海外からいらした研究員、リンリンさんもプロジェクトに参加し、同じ目標に向かって研究を進めています。
「来年は、国際学会に参加してみたいです。自分の知らない世界をもっとたくさん見てみたい。」と情熱的に語ってくださいました。

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