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再捜査がはじまったピエール・パオロ・パソリーニ殺害事件

『鉛の時代』という、あらゆる事件の全容がヴェールに包まれた時代を過ごしたイタリアの人々の、ひとつひとつの事件を解明しようとする執念には毎回圧倒されます。

イタリアの現代文化の一角を形成した、もはや聖人とも呼べる詩人ピエール・パオロ・パソリーニが殺害されて48年経った今年、ローマ警察署が再捜査をはじめました。これは、ベルナルド・ベルトルッチ、ピエール・パオロ・パソリーニの助監督を務めた経緯がある映画監督で脚本家のダヴィッド・グリエコ、脚本家ジョヴァンニ・ジョヴァネッティが、弁護士ステファノ・マッチオーニを通して要請したものだそうです。

というのも、2010年にパソリーニの殺害現場に残されたパソリーニのものでもなく、また唯一の犯人とされたピーノ・ペロージのものでもないDNA3種が確認されていて、「あの晩(1975年11月1日から2日にかけて)、オースティアの水上停泊地にいたのは実刑(9年7ヶ月)を受けたピーノ・ペロージだけじゃない。この3種のDNAが誰のものかを精査する必要がある」からです。

最近になって、殺害に加わっていた、との証言があるローマのローカル・マフィアの一員、マウリツィオ・アバッティーノ(すでに死亡)を含める30のDNAを精査するそうで、依頼人のひとりであるジョヴァネッティは、「非常に高い確率で、政治とローカルマフィアの犯行だと考えられる」と言っています。

なお、殺害当時に言われた、パソリーニが当時、少年だったペロージに性的暴行を加えようとしたため、逆上した少年に殺害された、という説は、当局側の虚構であり、真実は、街の不良少年たちに盗まれた遺作、「サローソドムの120日間」のフィルムの返還の交渉に出向いたのだ、というのが、詩人を巡るあらゆるすべての人の証言です。

詳しくは、こちらで。


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