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ガイズ&ドールズ

ブロードウェイの演出家マイケル・アーデンが、日本の豪華キャストで手掛けたガイズ&ドールズ、運よく博多座で1回観ることができたので、レポ残します。あふれる多幸感を書き連ねているだけのレポですが、読んでいただけましたら、ありがたき幸せ。

はじめに

『ガイズ&ドールズ』は1950年にブロードウェイで初演されると同時に大評判となり1200回のロングラン公演を記録し、これまでトニー賞作品賞、主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞など8部門受賞の栄誉に輝いたことのある作品。今回は、ブロードウェイが誇る若手演出家が日本で作り出す、これが「ガイズ&ドールズ」の決定版!誰もみたことのない新たな『ガイズ&ドールズ』が誕生する!(公式サイトIntroductionより)

ガイズの再演、しかも、井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗という豪華夢の組み合わせ、というニュースが飛び込んできたのが2021年末。望海FC会員の友人Kと狂喜乱舞し、「ガイズで『みりだい』の並びが観れる!!」と、ひとしきり大盛り上がりをしたものの、「帝劇と博多座だけって…大阪も名古屋もないってことは、物凄いチケット争奪戦になるのでは⁈」と急に焦り、とりあえずできることは何とかがんばろう…という結論に達し、結果、私は帝劇は惨敗したものの、博多座のチケットをありがたく1枚確保することができ、安堵しておりました(頑張ったのはほぼKで、私はKのおこぼれに乗っかっただけ…Kに足向けて眠れない)

が、しかし。6月下旬あたりからのコロナ感染拡大で、千と千尋やヅカなどで公演中止の連絡が飛びかうようになり、ガイズも帝劇公演が半分ほど中止。不安な気持ちをKと励まし合いながら、博多座の幕が無事上がることをひたすら祈る日々でした。博多座でも1公演中止のニュースがあり、それはとても残念なことだったけど、それ以外の公演は何とかできて本当に良かったと思います。

Story(公式サイトより引用)
1930年代のニューヨーク。スカイ(井上芳雄)と呼ばれる超大物ギャンブラーがいた。彼の仲間のネイサン(浦井健治)は自分の婚約者アデレイド(望海風斗)へのプレゼント代と賭場代を得ようとスカイに賭けを申し込む。「指名した女を落とせ」というものだ。「どんな女でも落とせる」と自信たっぷりのスカイだが、ネイサンが指名した女性は、清純で超堅物な救世軍の軍曹・サラ(明日海りお)だった。サラの伝道所が閑古鳥で困窮しているところに、自分と一緒にハバナへ食事に出かければ、罪深い連中を伝道所に連れて行くと持ち掛けるスカイ。教団を救うため、サラはその誘いを受ける。ハバナで過ごすうちに、スカイとサラは次第に惹かれ合っていく。だが、高揚した気分で伝道所へ戻ると、サラの留守をいいことにネイサンが賭博を開催していた。ネイサンがスカイの仲間だと知ったサラは、スカイが自分を連れ出して仲間に賭博場を提供していたと誤解。彼に裏切られたと思い込み…。正反対のスカイとサラ、14年間も婚約中のネイサンとアデレイド。2組のカップルの恋の行方は?

2022年7月24日(日)12時開演@博多座

主なキャスト
井上芳雄:スカイ・マスターソン(主人公。クラップ・シューター)
明日海りお:サラ・ブラウン(ヒロイン。救世軍の女軍曹)
浦井健治:ネイサン・デトロイト(ギャンブラーの仕切り役)
望海風斗:アデレイド(ネイサンの婚約者で“HOT BOX”のショーダンサー)

田代万里生:ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン(ギャンブラー仲間)
竹内將人:ベニー・サウスストリート(ギャンブラー仲間)
木内健人:ラスティ・チャーリー(ギャンブラー仲間)
友石竜也:ハリー・ザ・ホース(ギャンブラー)
瀬下尚人:ビッグ・ジューリ(大物ギャンブラー)
未沙のえる:カートライト将軍(サラの上司)
林 アキラ:アーヴァイト・アバーナシー(救世軍の一員、サラの後見人)
石井一孝:ブラニガン警部(スカイやネイサンが賭場を開こうとするのを取り締まる)

第一報で「井上芳雄・明日海りお・浦井健治・望海風斗」の4名が発表されましたが、後日発表されたキャストの中に「田代万里生・石井一孝」があって、「ちょっと待って、他公演なら主演級の人が(プリンシパルとはいえ)後日発表組⁈」と驚愕してしまいました。現に、ベニー・ラスティー・ハリーは、それぞれレミゼのマリウス・アンジョ・ライオンキングのシンバ経験者で、東宝めちゃくちゃ力入れたキャスティングじゃんコレ…と後々気づいたバカモノは私です。そりゃチケット争奪戦になるって💦

前置きが長くなりましたが、今回観て改めて思ったのは、ミュージカルコメディって、一種のおとぎ話で、(賞取りレースとかでは特に)評価されにくいけど、ストーリーがシンプルなだけに、演出(舞台装置を含む)・振付・音楽そして演者の力量が物凄く問われるし、それが揃った時、物凄い化学反応を起こすのだな、ということで、本作はこれらの要因が全て揃ったクオリティの高い作品だと感じました。

演出に関しては、例えば冒頭、Overtureに合わせて、スクリーンにクレジットが流れていくのですが、その後ろでブロードウェイの街並みから人々の営みがうっすら透けて見えてて、そのスクリーンが上がると物語が始まるという、物語の舞台である1930年代の白黒映画のように見せている一方、伝道所の外から中に入っていく装置などは斬新な作り(これが機能できるのは、現時点では帝劇と博多座だけだったそう)になってて、レトロとテクノロジーが上手く融合されているようでした。演出のマイケル・アーデンと装置のデイン・ラフリーの力で、本作は、どこか懐かしいけど今っぽく生まれ変わったのだと思います。

それから、エイマン・フォーリーの振付について。
実は私、2002年のヅカ月組版を劇場で観れたラッキーなヤツなのですが、20年前の振りを覚えていられるほど明晰な脳も持ち合わせていないので、振りに関しては(も?)エラそうなことは何も言えない身なのですが、そんな私が観ても、本作品の群舞はどれも素晴らしく、アンサンブルの方々の底力を感じましたし、特に、Luck Be A LadyやSit Down, You're Rocking The Boatは舞台全体が最高にアガる仕上がりになっていると思いました(Lucky Be…は芳雄さん、Sit Down...は万里生くんがリード)

ミュージカル・ナンバーも、歌詞の日本語訳を少し変えるなど、マイナーチェンジしていました。そして、前述の2曲以外にも、とにかく良曲揃いなガイズですが、今回一番グッときたのが、アキラさんアーヴァイドのMore I Cannot Wish You。サラの幸せを願って歌うこの曲、アキラさんがじっくり聴かせます。こういう楽曲で年長者側の気持ちになっちゃうとは、私も年取ったなぁ(しゃーない)。
そして、実は、幕が上がるまで唯一気がかりだった、みりおちゃんの高音部。5月の某歌番組で披露された時は、正直大丈夫かな…と思っていたのですが、本番では安心して聴けるようになっててホッとしました(←何様)。退団からさほど経っていない元男役の人がソプラノを無理なく出すって、ホント頑張ったんだろうなー、お稽古中での宣伝兼ねての歌番組出演はキツかったろうに…と思います。

そのほか、個人的なツボをいくつか。
・みりおサラとあやレイドがめちゃくちゃキュートな女の子で、それだけで泣けました(元ヅカファンの重たい感想)。まさかガイズで泣くことになろうとは…
・みりおちゃん、お堅い雰囲気がサラにぴったりでしたが、お姫様抱っこのシーンがあるからか、ポキッといってしまいそうなくらい細くて、オバチャンちょっと心配だった…
・芳雄スカイ、ギャンブラーっぽくしててもうっすら漂う89期のお兄ちゃん
・あやレイドは、ヅカ時代あんなに男っぽかったのにどうした⁈っていうくらい愛くるしかったです(お歌も含む)
・ヅカ版というか(おそらく)従来と決定的に違ってそうだった浦井ネイサン。2002年のヅカ月組版は大和悠河さんがヒゲを付けて男臭くなるようにしていたけど、ヒゲなし浦井ネイサンは人懐っこい大型犬みたいで真逆のアプローチ(そしてそれが正解)。普通、婚約者を14年も待たせてたら愛想尽かされると思うけど、あれじゃあ、あやレイドでなくても放っておけない…。そして、Sue Meでは、あやレイドをなだめる姿が、尻尾ぶんぶん振っているワンコにしか見えなかったです(褒めてます)
・私的には、ほれぼれするくらい乙女だった「スリル・ミー」以来の万里生くん、驚くくらい軽い(褒めてます・その2)ナイスリーで、カーテンコールでも場を盛り上げていたけど、歌唱でリード取るシーンはどれもさすがの一言に尽きます
・ヅカ初演でナイスリーだった未沙のえるさんがカートライト将軍だったり、林アキラさんやCONVOY瀬下さん、そしてマイファーストマリウスの石井一孝さんがしっかり周りを固めてて、めちゃくちゃ贅沢

最後に

ここまで、私の脳内垂れ流しな勝手文章にお付き合いくださり、本当にありがとうございます。
大千穐楽の動画がYouTubeに上がっていますので、こちらもぜひ。

キャストのみなさんの胸熱なコメント、とりわけ座長の芳雄さんの「いつもは、大千穐楽だと、感謝の気持ちと達成感と心地よい疲労感があるけど、今回はそれに加えて、最後までできてホッとした。今日まで来れて良かった(意訳)」の言葉が印象的でした。コロナ感染のリスクと闘いながらも、作品を届けてくれたカンパニーのみなさまに、心より感謝いたします。

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追記(2022年8月3日)
21時よりブラニガン警部補役の石井一孝さんのインスタライブがありました。アーカイブありますので、カズさんの熱い思いを感じてください!

おまけ

私的ミュージカルコメディの3作は、「ミー&マイガール」「クレイジー・フォー・ユー」そしてこの「ガイズアンドドールズ」なのですが、ミーマイのThe Lambeth WalkやThe Sun Has Got His Hat On、クレイジーのI Got RhythmやStiff Upper Lipは、Luck Be A LadyやSit Down, You're Rocking The Boatと並ぶ、カンパニーの良さが際立つ群舞だと思います。クレイジーはKAAT 神奈川芸術劇場で来年4月から再演予定だそうですので、機会があればぜひ!!



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