見出し画像

【ぐだぐだには訳がある】セリエA20-21第13節 インテル−スペツィア マッチレビュー

イレギュラーな過密日程もなんのその。昇格チームにベストに近いメンバーを並べたコンテ監督。だとすれば、完勝を望みたいところなのだが…

こんにちは!TORAです🐯

今回はセリエA第13節インテル−スペツィアのマッチレビューです。

●スタメン

画像3

・インテル
46分ガリアルディーニ➡︎センシ
66分ブロゾヴィッチ➡︎ヴィダル
80分ヤング➡︎ダルミアン
80分ハキミ➡︎ダンブロージオ
80分ルカク➡︎ペリシッチ
・スペツィア
72分デイオラ➡︎マッジョーネ
72分モーラ➡︎アグデロ
80分エンゾラ➡︎ピッコリ
80分ギャシ➡︎ファリアス
90+1分アカンポラ➡︎マスティヌ

●前半−スペツィアがスペツィアしてない

スペツィアは昇格チームなのであまり馴染みがないよって方は多いのではないでしょうか。

僕自身、スペツィアを観るのは今回が4試合目。たかだか3試合分ですが、その印象を超ざっくりお伝えするとボール保持は「ロングボール特化」
フィジカルのエンゾラ、エアバトルに強いガラビノフ、長身のピッコリ目掛けてボールを蹴り、縦横無尽・臨機応変に動く左右のアタッカーがサポートするのがメインウェポンといった感じ。

ここはもうスタッツ見るまでもないんですが、スペツィアの試合を観たことないよ!という方も少なくないと思いますので念のため。

13節時点、パスの総回数と25ヤード以上の所謂ロングパスの回数。トップ3は以下の通り(尚、1試合平均)。

・チーム名:パス総回数:ロングパス回数
1.スペツィア:491.9:120.0
2.ラツィオ:545.9:110.7
3.ユヴェントス:656.3:108.6
ラツィオ、ユヴェントスが多いのは全体のパス総回数が多いことに起因します。一方、スペツィアは全体のパス総回数が多くないのにトップの値なので、そりゃもうロングボールに頼ってるな、と。

非保持は「THE・ミドルブロック」。人よりも選手配置に重きを置いていて組織としてボールを絡めとるようなイメージです。
その為、人にチャレンジするデュエル数が少ないのはセリエA全チームのデータ考察記事でも取り上げました。

画像1

今回のスペツィアはその印象を覆してきた

そうです。ロングボールの割合は顕著ではなく、人への圧も強かったですね。前からプレスもしっかりしてきたし。

ただ、ボール非保持は「対インテルだから!」は関係ないかもです。ユヴェントスに敗北して以来、チームとしてやり方を変えたと思っているので。あくまで個人的な意見で、毎試合追ってる訳じゃないので自信もありませんが。

したがって、ロングボールの試行回数、すなわちボール保持に変化が生じたことに意図や狙いが内包されていた否か、が試合展開を見る上でキーになると解釈しました。

●前半−スペツィア由来なのかインテル由来なのか

インテルはこのスペツィアに苦戦します。前半45分は恐ろしいほどにスカスカな内容でした。
この考察は難度が高い。スペツィアの戦術由来なのか、インテルの自滅由来なのかが判断し難いんですよね。

単純に考えたら「明らかにやり方を変えてきてるスペツィアによる効果っしょ!」となるのですが、眼前で繰り広げられる展開からはインテルの自滅色が強いと思わざるを得ない。

自滅という表現は厳密には合っていないかな?パスミスが多い、動きが重く連携が噛み合わない。短いセンテンスで表現するなら…うん、Twitter上のインテリスタのみなさんが揃って仰っていた「蓄積疲労」に僕も一票。

この過密日程でターンオーバーをしないのは何故か

一応、スペツィアの意図も考察しておきます。
スペツィアはボール非保持すなわち守備が念頭にあったのでは?特にここ最近、放置プレーされがちなインテルCB陣にあえて圧をかけてきた目的はルカクだと睨んでいます。

引いて守る相手に未だ明確なアンサーを出せないインテルですが、スペツィアとしてはそれでもルカクに深さを取られるのが嫌だったんじゃないかな、と。

と言うのもスペツィアの守備改善はまだ工事中な感想を抱きました。
特にブロック守備においてボールホルダーへのアプローチが悪い意味で密集になる点と、それによって空いたスペースを他の選手が埋めるのが遅い点。
インテルの攻撃に可能性が薄かった前半ですら、何度か散見されました。なので、その圧倒的なフィジカルとスキルでボールを収められるルカクは守備陣の視聴率が高くなること不可避なので嫌がりそう。

さらに考察の決め手となったのがリッチの存在。
彼はインテルが自陣深くでプレーする時はボールを引き出しに行くブロゾヴィッチに付いていくのですが、そこから少しでもボールが前に行くと途端に自身の基準配置へ。スペツィア最終ラインの前で1枚浮いた状態を保ち守備の自由を得て、最終ラインの前で+1の数的優位を生み出していました。

画像4

※GIFです
✔︎インテルのボールが自陣深くの場合はブロゾヴィッチにリッチが付いて同数プレス。
✔︎ボールが前進すればリッチはUターンし中盤ブロックへ。
✔︎その際、ブロゾヴィッチのマークはエンゾラが担当。

前半、唯一面白かったのはその綱引き。ブロゾヴィッチもそれには気づいていて、それでもなんとか釣り出し、隙あらば空いたバイタルでルカクやラウタロに勝負させたがっていました。32分のシーンは正にそれ。

画像5

✔︎ブロゾヴィッチがリッチを確認しながらボール引き出し。
✔︎呼応してバレッラがサイドに膨らむ。
✔︎引き取ったブロゾヴィッチは振り向きざまにルカクへ空洞化発動。

もし、アーカイブできる環境が整っている方は実際に見て欲しいです。ブロゾヴィッチ、明らかにリッチとその背後を気にしていますから。ちなみに試合直後からこの綱引きは行われていますので指示が入っていたと思っています。

これでうまく右のケアを高め、ルカクの楔に頼らせてプレーエリアを降ろさせたことには一定の効果はあったように感じます。

画像2

本試合の立ち位置を平均化した図(前半終了時)。ルカクはラウタロと比べて明らかに下り目。SofaScoreより引用。

しかし、重複になる+ここまで書いといてなんですが、前半はスペツィアの効果以上にインテルの疲労によるパフォーマンス低下が色濃かったかな、と思うのが僕の意見。

●前半−もしかしてスペツィアも

おそらくスペツィアとしては想定以上にボールを回収出来たのではないでしょうか。しかもアタッキング、ミドルサードで取れて守→攻に移行できたことに加え、インテルの非保持もすっかり昨季モード。即時奪回よりもブロック形成優先なので、スペツィアとしては相対的にロングパスが少なくなっていった気がします。

ロングパスの試行回数減は非保持の付随的なもの

前々項にて

すなわちボール保持に変化が生じたことに意図や狙いが内包されていた否か、が試合展開を見る上でキーになると解釈しました。

と、しましたが実はその答えは「否」だったんじゃないかなと。もちろんスペツィアもポゼッションで崩したり、IHやSBがポジショナルに攻め上がったりもしましたが単発で再現性に欠け、本来やりたかったことではない気がします。
個人的には後方をワイドに使って、縦に一撃放り込む方がやっぱり怖さを感じましたね。

過程は違えど発生した事象は同じだったのかもしれない

互いに自分たちのサッカーが出来なかったんだと考えます。さらにそれがインテルの疲労やスペツィアの想定外によるもので、両監督の意図するところではなかった。

となるとやはりあそこまで見事にグダグダになるのは必然だし頭を縦に振れる。
日本のインテリスタの方は眠くもなるだろうし、あの時間だからお腹が空くのも、それで飯テロが起きるのも当然ですね、ええ。

●後半−コンテお得意のやつ

すみません、前半のグダグダを振り返るのが楽しくなってしまいリソースを割き過ぎました。後半はアッサリいきます。

後半のいくつかのトピックスはインテルがギアを上げてきたことに収束してくると考えています。

具体的には前プレの頻度を上げ、バーティカルな仕掛けを増やし、シンプルにスペースを突き、プレースピードを高める。つまり、コンテ監督あるある。

こうなるとプロビンチャ相手には割と結果を出すのがコンテインテル。
先制点も

精度の高いボールを配球できたヤング
(ヴィグナリの圧が遅れた)

ルカクの胸トラでの落とし

ラウタロのダイレクトスルーパス

理不尽ハキミ
(ニアを消せなかったプロヴェデル)

個の出来が明暗を分かつ形でした。

たしかに瞬発性の戦略ではあるが戦術なのか?

個人的にはこの疑問は拭えないものの、上述の通りこうなった時のコンテインテルは対プロビンチャで結果を出しがちなので現時点での手札の切り方としては賛成します。

効いていたのは後半から出場のセンシ。ボールも自身も前に運べるスキルはインテルではバレッラと並びトップではないでしょうか。
ただ精密さはセンシがリードですかね。スモールな間受けもできるし、バーティカルなオペレーションだと必ず成果を出してるイメージ。

という訳で今回もセンシはPK獲得に貢献。これを職人ルカクが決めて2-0。
最後の最後で被弾してしまい2-1と後味が悪くなってしまうものの、セリエA6連勝というおまけ付きの勝点3となりました。

・スコア
インテル2-1スペツィア
(51分ハキミ、71分ルカクPK、90+4分ピッコリ)

●雑感−気の向くままに

本試合のネガティブな点とポジティブな点を気の向くままにが書き連ねます。
まとまりがない当noteですが、本項はいつも以上だと思います。ご了承して頂ける方のみ読み進めて頂ければ。

せっかくの6連勝、最後は気持ち良くおわりたいのでまずはネガティブな点から笑

・ネガティブ
スペツィアサポーターの方には申し訳ないですが、インテルはもっと正面から打ち破って欲しかったな、というのが本音。

上述の通り、こちらの自陣深くの際、スペツィアは同数プレスなので1枚剥がせれば大きなズレが生まれるんですよね。今季はCBにボールを持たされて詰むのが課題ですが前から来られてもダメなのか…と。ちょうど裏で行われていたサッスオーロはミラン相手にこれをやってのけてて困らせていたので余計に悪印象でした(試合自体はミランが勝利したけど)。

後半はセンシが仕掛けて良いファールも引き出してましたが、今のインテルには足りないプレーなのが要因か?なんだか周りが連動出来ておらず、せっかくセンシの周りでごちゃっとなってても空いたスペースを活用できていないように見えたのも残念。

もっと楽に確実に勝利できた感は拭えませんし、「やっぱりこれじゃあCL16強に入れなかったのも頷けるな…」と暗黒面が少しだけ囁いてきたのも事実。

いや、これがターンオーバーした結果ならこうはならなかったですよ。ただ、今回はベストに限りなく近いメンバーでしたからね。

・ポジティブ
そうは言っても今回の内容でも勝点3を積み上げられたことは大きい。前節ナポリ戦もそうでしたが「こういった試合で勝ち切る力」という項目はスクデットの必須事項だと思っているので、ここは素直に賛辞を送らなくてはいけませんね!

どこがで書きましたが、僕はインテルとユヴェントスの差はこの結果でしか推し量れない抽象的な力だと思っているので尚更重要に捉えています。

以上。ネガティブの方が文字数が多いので闇深く感じてしまうかもですが笑 個人的にポジティブの方が重みに勝るので「良い勝利だった!」でレビューを締めれます!

次節は年内最終戦。相手は難敵ですが7連勝で年越ししたい!

FORZA INTER!!⚫️🔵

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

もしサポートを頂戴した場合はサッカーのインプットに使用し、アウトプットでお返しできるよう尽力いたします。