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【長い旅路に】セリエA 23-24 第26節レッチェvsインテル レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はセリエA第26節レッチェvsインテルのレビューです。文末に詳細(でもないけど)を書きますが、本記事を持ちまして少しだけレビューをお休みします。


●スターティング

インテルは出場時間数から見るスタメンがラウタロ、ディマルコ、ムヒタリアンの3名のみ。負傷や体調不良というやむを得ずもありますが、大幅ターンオーバーを敢行。

●前半-妥当性ある配置マンツーマン

レッチェのマンツーマンハイプレスで開幕。配置そのままに対面を捕えますが、明確な企図の下で行われました。ここまでパキッとしてるのも珍しい。

ボールを持たせたいのはビセックとアウデーロ、次点でカルロス・アウグスト。逆に、デフライは最も抑えるポイントに設定。ピッコリが番人となり、彼には経由させない

ビセック担当のサンソーネは他と比べると立ち位置が一人だけ浮いており、中央寄りに位置しGKからの縦パスを封じながらビセックを斜めに見ます。

サンソーネの立ち位置は13:20〜が最も分かりやすいのでオススメ。この場面はデフライが瞬時に横に膨らむことで中央のコースを開けてアウデーロのパスが直接ラウティに渡るという、インテル攻略シーンだけれども(その後でパスミス)。

ビセックにボールが渡ったら距離を詰めますが、迂闊に行かない。「彼がボールホルダーならば、怖いのは剥がされてキャリーされること。パス発信は怖くない」。意図はこんな感じでしょう。

差し込める場合はGKにもプレスを仕掛けます

ここも試合感に欠くアウデーロの狙い撃ち。事実、判断なのか決断なのか、どちらが足りなかったかは分かりませんが、ボールを持ってしまうことで危うげな雰囲気漂うプレーが幾度かありました。

実に妥当性あるプレスで、予想スタメンで左WG名を連ねていたバンダがサンソーネに代わったのはこの繊細なタスクに起因するのではないかと考察します。

対インテルで思うのは「最近、この手の考え方のプレスが本当に多い」こと。要は、負傷離脱明けや控え選手にボールを持たせて、狙い目にする。確かに戦術としては論を俟たないんですが、とはいえ、ドラスティックだなって感想です。

・インテルのパス回数
1位:ビセック 79回
2位:アウデーロ 70回
3位:カルロス・アウグスト 56回
フル出場の中でワースト:デ・フライ 44回
GKが2位、中央CBがワーストなのはレアケース。彼らの策あってこそ。

FBrefを参照

翻って、インテル。

特別なことはせず「ターンオーバーでどう出力できるか確認しながら」のビルドアップ。

上記で挙げたように、デフライが持てないなら囮となるオフザボールでパスコース開けるよ!など、いつも通りミクロな手段を色々試していました。

ハイプレスに困ったら、降りてくるCFに当てるを徹底。再現性という観点ではコレ。ラウタロとサンチェスのコンビだと、両者とも浅いところまで降りられる点に色がありますね。

前線のレシーバーになんとか頑張ってもらい、逆サイドのWBを走らせ、折り返しを叩く!が最も効果性が高かったかな。

特にサンチェスは印象的。

低い位置に降りてボールを引き取り、攻め上がりを待ちながら、半身ターンで大外に展開するパスは前回スクデット時に幾度となく見たソレです。さっきからアレコレソレコレ言ってるな。

一方、いつも通りだからこその歪みは裏返り。端的に言えば「戻りが遅い」

運動強度やサボり云々ではなく、単純に保持の練度不足ですね。アクセルの踏み方と踏んだ際の時速(火力)が問題と見ますが、相対的に練度不足は至極当然だし、それを狙っているのがダヴェルサ監督のハイプレスプランです。妥当性

10分過ぎても概要変わらずでしたが、突如としてインテルに着火。15分にカウンターから先制点。マーカーの視野から消えたラウティのラインブレイク技術が流石と唸らざるを得ませんが、アスラニもしっかり呼応!GOOD JOB!

先制後、したたかに重心を下げるアウェイチーム。特に非保持のWBの立ち位置は顕著でした。レッチェは基本的に速攻型、最近は遅攻を強いられることで苦戦しているなと私的に思っていて、確信的なモードチェンジだと推察します。

しかし、インテルの「重心を落とした+本日のツートップ」の合わせ技は”深さを取りづらい”という懸念を事象化させました。

レッチェはハイプレスを続けながらも、ラウティとサンチェスをCBとDHが挟むように監視し、レシーブの局地で消火することを強化。前線をあえて高めに残し、攻守分断的なカウンターを徹底。

保持またはカウンターにおいては基本的に右に人を集め、ドリブラーのアルムクヴィストを孤立させる手法が主。これまたドラスティックだったので平均配置に表れているだろうなと睨んでいましたが、やはりでした。

前半の平均配置。右がレッチェ、左がインテル。セリエA公式より引用

インテルはそれでも尚、ツートップ、特にサンチェスに頼っていましたが重心を下げたことで二次攻撃の厚みに欠け、むしろサポートに行く矢印によってレッチェのカウンターが脅威が増す温床に。

まぼろし

…なるはずだったんですが、レシーブを潰したい肝心要の「イマココ!」ではサンチェスやラウタロが耐えたことで存外実らず

彼らの着火はもっと突発的な部分で(アルムクヴィストのロングキャリーやラフィアの振り向きざまクロスなど)、意外と(?)文脈あってこそのチャンスは皆無に近かったと見ており、シュート数の割にゴール期待値が少なかったことはその証左と考えます。

・前半のシュート数とゴール期待値
レッチェ:シュート数8、ゴール期待値0.57
インテル:シュート数4、ゴール期待値0.75

FBrefを参照

●後半-モードチェンジが分水嶺

頭に強烈なハイプレスからキャプテンブリンの五体投地のような決定機を演出したレッチェでしたが、すぐにトーンダウン。いくらなんでも90分は持たないですね。

祈りを捧げ、身を投じるブリン(著作権の制約と誓約を限定解除)

その後は前から行くもプレス強度は落とし、ブロックの様相が強くなります。必然、インテルは落ち着いてボールを持てるように。

結果論、ここが分水嶺となりました。

両チームのモードチェンジを見て、ピッチの女神が魅了されたのはインテル。

52:40、お得意のプレス誘引…かはちょっと微妙ですが笑、アウデーロの溜めがレッチェのハイプレストリガーを空回りさせると、ビセック十八番のキャリー発動。ぐんぐん進んで一気に敵陣に。今夜のレッチェは彼にこれをやられることが最も堪えるのに

その先でサンチェスがパスを引っ掛けてしまうも自ら回収し、ワンツーでポケット深くを抉ると、目線&ボディフェイントからお膳立て度MAXのラストパスをフラッテージがフラッテージします。スタッツ見ずとも分かる、ゴール期待値高いやつ(ちなみに0.96です。via:FBref)。

そのわずか2分後にカウンターでエースがリーグ戦キャリアハイの22得点を挙げ、レッチェの頑張りによる可能性を一気に希薄化。

たまらずダヴェルサ監督も動き、3枚の交代カードで保持の設計を変えたりと薄くなった可能性に手を伸ばしますが、久々のCKS(コーナーキックステファン)が炸裂した挙句、ブキャナン投入やアキンサンミロのトップデビューを試すなど、見どころはインテルのお祭りワッショイだったので割愛します。

◇試合結果:レッチェ0-4インテル
(15分ラウタロ、54分フラッテージ、56分ラウタロ、67分デ・フライ)

ラウティ、リーグ戦100ゴール達成おめでとう!!!

●アレコレ

今日はアレコレの日。適当に気になったことを徒然と。

振り返って見ると、レッチェの2失点目は最悪の形。リアタイでも思ってたけど、おかわりするとなお一層。ビセックに持たせて、距離を開けての”剥がされキャリー封じ”が作戦だったわけですからね。

ローマ戦でインテルが被弾したのと同様に「ソレではやられたくなかった!」ってやつですね。となると、直後のカウンターは精神的にダウン状態だったのでしょう。切って落としたラウティは暗殺者。

話ガラリと変わります。

予想スタメンでアンカーが「チャルなの?タンなの?どっちなの?」って感じでしたが、おそらく最初はチャルハノール想定だったのかな。

圧勝だったから良かったものの、こんな派手なターンオーバー初めてですし、このタイミングで2位以下との差を確固たるものにしたいと考えてるのが、僕らのデモーネですから本来であれば心臓起用でしっかりチームを締めたそう

にも関わらず、アスラニタンが起用されたのはインテリスタはご存知の通り、チャルハノールの負傷が原因。

土曜日のトレーニング中に内転筋に違和感。メディカル・スタッフと合意した上でレッチェ戦は帯同しましたが、出場させないとは明言していたっぽいですね。後日さらに検査するそうですが、現状意外と状態が芳しくなく、アトレティコとの後半戦を見据えてるっぽい。朗報を待ちたいですね。

ということで、バレッラのアンカー起用ですよ。

試合中は単純にアスラニのイエロー管理かぁと思いましたが、そこも含みつつ、真なる目的はチャルハノール不在時のテストだったかもですね。いや、絶対そう。

レッチェ戦ではかなり無難にこなしていましたし、今季は何と言っても第二の心臓としてリーグトップの前進パス回数(via:FBref)を誇りますから、きっとやってくれるでしょう(オプションとしてね)。

テュラムとアチェルビも欠く中で奮起を期待するのはアルチェスとドゥンフリース。

前者のアルナウトヴィッチとサンチェスのコンビは完全に上向きですね。インテルのスギちゃんことサンチェスはこの試合、戦術的なMOM。ドゥンフリースと並んで『前進パスのレシーブ数』がチームトップでしたが、ドゥンちゃんとのソレは価値が違うでしょう。

一応補足しておくと、ドゥンちゃんどうこうじゃないですよ。矢印を向けるはスギちゃんの凄さ!さっきの図にするとコレですから。

リアルキン肉マンのバスキロット相手によくやりましたよ。これぞ、柔よく剛を制す

先にフライングで名前が挙がったドゥンフリースもこの調子を保ってほしいですね。プレースタイルというか、意識は少し元に戻った感ありますが、今はこれでいいのかもしれない。

アチェルビが地味に長引いてる中(初期報道はアトレティコ戦だけ休むみたいな感じだった気が…)、最終ラインも高次元に助けられるダルミアンを大事に使いたいですから。特にデ・フライ、今日は終盤に疲れが前面に出ちゃってたので心配ですね…。本当に心配。

うん。だからこそ、本節はクリティカル。

ターンオーバーが大成功!しかも彼らに数字が付くという付加価値も。アレを目指す長い旅路に今日という日は不可欠です。

アタランタ戦もやってやりましょう!このまま行こうぜ!!!

●お知らせ

と、勢いのまま突き進む我が軍をこれからもレビューしたい気持ちは非常に強いのですが、冒頭の通り、本記事を持ってレビューを2ヶ月ほどお休みいたします

理由はお仕事。現業と弊社的にはおっきなプロジェクトを兼任することになり、おそらくGW明けくらいまで試合のリアタイすら困難な感じになってしまいます…。

当初はXのポストのみで告知予定でしたが、有難いことに最近のPV数を見ると、視聴者様がX経由だけでないかな?と思っているので記事でも告知させて頂きます。

終わりは見えてますので、絶対に復活します!できれば、シーズン終盤に間に合えばいいなぁ。

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯
また2ヶ月後くらいに!🐯

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