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「2代続けて”親中”外務大臣⁉ 上川陽子外相主導で尖閣周辺海域の中国設置ブイに軟弱対応説~「前任者=林芳正氏を上回る親中派」との説も


【画像① 岸田文雄首相による9月の内閣改造の目玉は史上最大である5人の女性閣僚登用だが、首相と同派閥=宏池会所属の上川陽子外相の親中ぶりが最近、話題にのぼるようになってきた。】



◆上川陽子外相「中国設置ブイ撤去に国際法上の関連規定なし」と消極論


参政党の神谷宗幣参院議員が10月20日に提出した「我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問主意書」に対する岸田文雄首相の答弁書が、その消極ぶりで失笑を買っている。神谷議員は、尖閣諸島周辺のEEZ(排他的経済水域)内に中国が我が国に無断で設置した浮遊式障害物について、「国連海洋法条約によれば、排他的経済水域内の構築物の設置は、沿岸国(この場合、日本)に認められる権利であり、相対国あるいは隣接国には認められない」としていることを根拠に、単に外交的抗議にとどまらず、国自身の手で障害物撤去をするなど断固たる措置が必要であると質問主意書で指摘している。


そもそも、海域の航行の安全に関連しても、海域を管理する者(国)がその妨げになる浮遊障害物などを撤去することは当然の責任というべきものである。このところ、常に尖閣諸島周辺に多数の公船を遊弋させながら、しばしば領海侵犯や我が国の漁船の操業を妨害することを繰り返している中国側に対して、断固たる施政を示すことはもちろん、ことは外国船も含めた航行の安全に関わることである。




【画像② 中国が「海洋研究」名目で尖閣諸島沖80kmの我が国のEEZ内に設置した浮遊式ブイ。安全航行の妨げにもなりかねない。】


ところが、岸田首相名で閣議決定を経て出された答弁では、「(海上保安庁が)当該ブイの存在を確認した後、…船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に抗議し、当該ブイの即時撤去を求めた」「これに対する中国政府の反応について明らかにすることは、相手国との今後の外交上のやり取りに支障を来すおそれがあることから、差し控えたい」と、勝手に自国の管理海域に設置されたブイの撤去にしりごむ弱腰ぶりを露わにしていた。


(参考)神谷宗幣参院議員「我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問主意書』令和5年10月20日提出

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/syup/s212001.pdf


(参考)内閣総理大臣岸田文雄「参議院議員神谷宗幣君提出我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問に対する答弁書」令和5年10月31日

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/toup/t212001.pdf




【画像③ 参政党代表・神谷宗幣参院議員は、既に臨時国会で10本以上の質問主意書を提出しているが、そのうちの2本が上記を含む尖閣諸島への中国による主権侵害行為に関する我が国の対応についてのものだ。】


この弱腰答弁が作成されたのは、9月13日の内閣改造で林芳正氏に代わって外務大臣に就任した上川陽子氏の次のような認識が大きく影響したのだと言う。



「仮に我が国の管理権があると見なされるEEZ内であっても、第三国が設置した構築物を我が国の執行で撤去することについて、国際法上の関連規定がないので慎重であるべきだ」


これは、「事なかれ主義」で推移しがちな外務省によるレクチャー(説明)でつけられた”知恵”なのだろうが、以前にも取り上げたように「納得力のにぶい」上川大臣が初めからこうした考え方に与する姿勢がない限り、やすやすと納得して外に向かっていう訳もないものだ。実際、11月1日の参院予算委員会で日本維新の会の東徹議員が「日本の撤去要求を中国側が聞き入れないなら、実力で撤去すべき」と迫ったのに対し、こう答えたと報道されている。



「上川氏は『国連海洋法条約には明文規定がない。個別具体的な状況に応じた検討が必要で、可否を一概に答えるのは困難だ』と述べるにとどめ、外交ルートを通じた中国への撤去要請を続ける考えを示した」


(参考)「上川陽子外相、尖閣沖の中国ブイ撤去に慎重 維新の要求に答弁」2023/11/1 産経新聞

https://www.sankei.com/article/20231101-7QO6J274OFOERB5LBNVZXASJEI/




【画像④ 11月1日の参院予算委員会で政府に「尖閣沖の中国無断設置ブイの撤去を」と迫った日本維新の会・東徹参院議員。】


◆上川氏の外相就任に中国外交部(外務省)が「祝意」


「いまどき親中派を閣僚、それも外務大臣に並べているんじゃダメだろ」~自民党重鎮(麻生太郎氏であろうことは確実)からの意見を入れて、日中友好議員連盟の会長を務めたこともある根っからの親中派の林芳正氏を外して岸田首相が外相に就けたのが上川氏だった。しかしながら、上川氏も林氏と同じ、首相派閥である宏池会所属で、派閥自体が親中傾向の強いところである。


「11月1日の答弁を聞いて、林芳正氏以上の親中派じゃないのかと思った」(閣僚経験者)と言われた上川氏について、調べてみると「親中派になるべくしてなった」と思われるようなエピソードがふんだんにあった。まず驚いたのは、あまり注目されていなかったが、上川氏が外相就任したことについて、中国外交部(外務省)が「祝意」のコメントをしていたことである。



「上川氏の外相就任に祝意を表す。上川氏は以前、代表団の一員として訪中しており、総務副大臣として在日中国大使館の行事に参加したこともある。両国の外交部門が共に努力し、指導者の重要な共通認識を実行に移し、対話と協力を強化し、矛盾や意見の相違をコントロールすることで新時代の要求に合致した建設的で安定的な中日関係を構築することを望む」


(参考)「上川陽子氏の外相就任に祝意 中国外交部」2023/9/16 新華社

https://nordot.app/1075652964412343206?c=113147194022725109




【画像⑤ 9月15日の定例記者会見で上川陽子氏外相就任に「祝意」を表明した中国外交部の毛寧報道官。】


これは中国外交部報道官の毛寧氏が9月15日の記者会見で発表したものだ。上川氏が外相就任にあたっての会見で、「岸田首相の中国に対する方針に変わりはなく、双方の努力で建設的かつ安定的な関係を構築する」と述べたことへの”答礼”だという。しかし、何かしら、期待というか、「覚えているよね?」的なニュアンスが感じられる「祝意」コメントだ。だいたい、何か期待できなければ「祝意」なんて絶対に口にしないのが中国だ。


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