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”衆院解散打てずに退陣”の危機乗り越えへ、岸田文雄首相のウルトラC~憲法改正発議を狙うか?


【画像① 「経済対策」「減税」を口にしても”支持率V回帰”ならぬ岸田文雄首相が、総裁任期末期の起死回生策にするのは「憲法改正発議」だという…。】



◆内閣支持率低迷を打破できず、”年内解散”の話が消えゆく岸田政権


岸田政権がピンチである。何も野党が国会で厳しい追及でもして、追い込まれてピンチに至ったのではない。ともかく、国民の信頼感を大幅に失ってか、10月29日(日)夜にリリースされた日経新聞・テレ東の緊急世論調査で見ると、内閣支持率は33%(前回比ー9%)に対して不支持率59%(同+8%)と、同種調査で最低のラインとなった。

昨年8月らい、一時の持ち直しはあったものの、岸田政権は内閣支持率という点では世論調査でほとんど”低空飛行”状態を脱することができないまま推移している。何も努力せずにこうした結果になっているわけではない。「来年6月から1人あたり年4万円の所得税減税」などを打ち出し、ここ1年ずっとネックになってきた旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題では、10月13日に宗教法人としての解散命令請求を行うなど、政権浮上につながるはずの策を連続して講じてきた。にもかかわらず、上記のような低支持率を脱するどころか、更に”落ち目”となっているのである。

本記事では、「なぜ低支持率を脱せないか」は本筋でないので詳しく述べないが、上記調査の項目で言うなら、「(岸田政権の)経済対策に期待するか」の問いへの答えが「期待する」37%に対して「期待しない」が58%、「所得税減税は物価対策として適切か」の問いでは「適切」24%に対し「不適切」65%で、岸田文雄首相が目玉と打ち出した施策がいずれも国民から支持されていないことが明白となっている。

端的に言えば、減税と言っているのについたあだ名が”増税メガネ”(あるいは”増税クソメガネ”とまで…)であることが示すように、岸田首相の信用ガタ落ちというのが、現状の示すところだ。現在開会中の臨時国会では当初、「11月に入れば解散風が吹くのではないか」との話があったが、いまとなっては気配もない。低支持率を推移しながら、更に内閣支持率がジワジワ下がり続ける状況では、衆院解散など打って出れる状況ではないからだ。

そして、いま囁かれているのは、「岸田首相はレイムダック化し、解散総選挙を打てないまま来年9月の総裁任期を迎え退陣するのではないか」との可能性である。かなり、現実感を持って語られている。


【画像② 「増税クソメガネ」と揶揄される岸田首相愛用の眼鏡は、デンマークのリンドバーク社製10万円のものだと言われる。】

◆「所信表明演説」の中に込められた起死回生策~憲法改正発議に向けた「条文案具体化」に触れ、憲法改正に踏み込む

しかし、10月23日の衆議院本会議で岸田首相が行った所信表明演説が、いつになく憲法改正に向けての動きに踏み込んでいることが注目を集めている。次の部分だ。

「『あるべき国の形を示す』国家の基本法たる憲法の改正もまた、先送りのできない重要な課題です。先の国会では、衆・参両院の憲法審査会において、活発な御議論をいただきました。このような動きを歓迎します。憲法改正は、最終的には、国民の皆様による御判断が必要です。国会の発議に向けた手続を進めるためにも、条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待します」


「条文の具体化」とは、国民投票実施に向けた憲法改正手続きの法制整備に関わるもので、過去、ここまで首相の所信表明演説で触れられたことのないものだ。この所信表明演説を受けた各党の代表質問に対する答弁の中でも、岸田首相は憲法改正の国会発議の手続きに向けて衆参両院の憲法審査会が「これまで以上に積極的な議論」をすることを求め、更に「(自民)党内論議を加速させるなど憲法改正の課題に責任を持って取り組む決意」とまで述べた。


2021年秋の総選挙後に発足した岸田政権下の与党は、当初から憲法改正議論の場である憲法審査会の開催などに積極的ではなく、むしろ改憲を掲げる野党側の日本維新の会や国民民主党から「憲法審査会の毎週開催」などを提起され、さらには「2022年の通常国会中に憲法改正案をまとめるべき」などと煽られっぱなしだった。それが、ここに来て突然、積極的になったのはなぜか。


首相官邸関係者は、こう述べている。

「起死回生策だ。岸田首相は自民党総裁に選ばれた当初から、『任期中に憲法改正実現を目指す』と述べてきた。来年9月の総裁任期が見えてきた今の段階で、党是である憲法改正を正面に据えて求心力を増し、仮に支持率低迷が打破できないまま解散総選挙を打てなくとも、これを”錦の御旗”にして総裁続投、という選択肢を用意し始めたのだ」

所信表明演説以来、現在の臨時国会の焦点は総合経済対策、令和5年度補正予算に加え「隠れた重大な争点」と見られているのが憲法改正の課題だ。しかし、本気でこれに取り組むとして、現状で与党が絶対多数の3分の2を両院で得ているにしても国民投票の実施には周知期間として国会発議から30~180日間が必要だ。逆算するなら、今国会で憲法改正原案がまとまった上で、遅くとも来年の通常国会の終盤までに発議しなければならない。

これでも相当、ハードルは高いし、肝心の岸田首相の「総裁任期」である来年9月までに国民投票が追われるかどうかは微妙だ。しかし、先の首相官邸関係者は、こう述べるのだ。


「正に総裁任期中に憲法改正の手続きが終了しなさそうなことが、カギなのだ…」



【画像③ 憲法改正発議以下の手順は、このような仕組みだが、発議から「改正案の広報」及び「国民投票運動」のために30~180日間の期間を国民投票実施まで要するというが、具体的なルールを「条文」でつめる作業が未着手だ。】


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