【読書】死の淵を見た男 〜吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日③

菅さんと同じく,班目さんもいろいろ避難をされたが,これも致し方ない…と言わざるを得ない。というのは,ほとんど情報が上がってきていない中で,たまたま上がってきた情報だけを材料に判断するわけで,そりゃあ無理というモノ。

例を挙げると,班目さんは,津波で自家発電機能が失われた…という事を聞いていないのだ。だから現場では必死に何とかして冷やそうとしているのに,そんなことやる前にもっと重要なことがあるだろう…みたいな発言をしてしまう。そんなことの連続。そのような状態でテレビに引っ張り出され,こちらもよくわけのわかっていない記者からの質問を受け,後あと罵倒されるような目にあう。

(たまたま私は班目さんのご家族と近しい縁があり,その方もこの原発事故をきっかけに人生が変わってしまったという実例を身近で見ている)

長くなり過ぎたので(笑)整理すると…。
とにかくこの事故の一番の責任は,東電にある事は間違いない。それを指導する立場にあった国も同罪であるが,やはり当事者の東電は逃げられない。

津波は来ないだろう
予備の発電設備がなくなるような事はないだろう
手動で機会を操作するなんてありえない
電源喪失なんてありえない…

という感じで,すべてを経済効率優先でそれと引き換えに安全を放棄した罪は大きい。
「いや,想定外の地震と津波だったのだ」と言うのは,全く弁解にならない。
だったら原発なんか作っちゃいけない。全人類を殺してしまう可能性もあるのだから。

あと,このような事を想定していないから,情報も全く流れない。
さらに流れないのではなく隠ぺいしようというような動きもみられる。
今ある原発もこれから自然災害やテロで今回のような事が起こる可能性はゼロではない。
しかし日本人は「そんなことは起こらないだろう」と根拠のない自身で何もしないことを選ぶ。
そして何か起こったらてんてこ舞いで責任転嫁。

まだいきなり原発0にはならないわけなので,ぜひありとあらゆる劣悪な状況を想定し,その対策を何通りもシミュレーションして,何が起こっても大丈夫…的な対策を取って欲しい。それじゃないと,原発は動かさないでほしい。

最後にもう一度。
この本と映画は絶対に全国民が見て読んで欲しい。義務教育の必須教材にして欲しい。

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