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【映画】なぜ君は総理大臣になれないのか

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【映画】なぜ君は総理大臣になれないのか

概要
現在無所属の衆議院議員 小川淳也さんの17年にわたる戦いをドキュメンタリー的に描いた作品。現在進行形。監督は大島渚さんの息子。


以下ネタバレ
そもそも小川淳也という議員のことはあまり知らなかった。
本人も言ってるが、選挙区と比例区の当選議員では選挙区の方が重用されるらしい。しかも本人も党内政治などには全く興味関心がなく、とにかく「自分がこの国を変えるのだ」という熱意だけで生きている人なのだ。
ただ東大出て官僚になってエリートコースを歩んでいたが、一念発起で裸一貫で香川県から選挙に打って出る。国会での質問などがキレキレで、「統計王子」と呼ばれているらしい。

30代前半からもうすぐ50歳…という15-6年を描いてあるのだが、小川さんが熱い人で志も素晴らしく、私利私欲なくとにかくいい国にしたい…と思っていることは伝わってきた。ただし悲しいかなそれでは首相にはなれないのである。今の日本の政治とか民度では…。

地盤看板カバンと言われるものが一切なく飛び込んだ選挙では一回目は敗退、二回目が民主党のブームに乗って比例区での当選…という感じで過去5回の選挙で4回とも比例区当選。勝者はいつも自民党の平井卓也という、地域の新聞社の御曹司らしい。しかもこの平井卓也という議員は最近国会中にワニと蛇の戦いの動画をずっと見ていた…と告発されていた議員さん。これに負けるのか…と地元の人たちは思っているに違いない。

最初の選挙の時に3-5歳だった二人の娘さんは、母親(美人さん)が娘をおばあちゃんに預けて選挙活動に行こうとすると、抱きつき泣きすがっていた。しかしそれがだんだんと成長するごとに、受付の手伝いをしたり、DMの作業を手伝ったり、一緒に自転車に乗ってお父さんと選挙区を手を振って回ったり、最後の方は「娘です」というたすきをかけて大声でお父さんへの投票をお願いしていた。時には厳しい罵声を浴びられるお父さんを見ていた(あの小池さんが排除しますと言った選挙の時に、悩みに悩んで希望の党から出た時の選挙)娘さんは、「絶対に議員になろうとは思わない。議員の妻も嫌。出ると言ったら全力で止める」と言っていながら一生懸命応援する、その姿に涙ぐむ。この映画の一番の山は、家族愛ではないのかと思ってしまう。

この映画で一番違和感があったのが田崎史郎。なぜこいつと付き合っているのか、小川淳也。この部分最後は自民党に行ってしまうのでは…という不信感も抱いてしまうくらい違和感があった。しかも何度も出てきている。

あとこの映画で物足りないのが、小川さんの熱意や志は十分伝わってくるのだが、小川さんが何ができるのか、何がしたいのかが全く表現されていなかったように思う。これは映画なので、別に小川さんのプロモーションビデオとかではなく、ノンフィクションに切り取ったのだ、あとは自分で判断しろ…という事なのか。

とにかく、こんな人が政治家、大臣、そして総理大臣になって欲しいと思ったのは間違いない。いい加減、どぶ板選挙はやめて欲しい。政策で人を選ぶ仕組みにして欲しい。あんな選挙カーで、「◯◯が最後のお願いにやってまいりました〜」と名前だけを連呼するような選挙はやめて欲しい(結局あのマイクもパフォーマンスであり、裏で金や組織で決まってしまっている)
事前にアンケート方式で本人の政治信条などをしっかり告知し、何度も公開討論会を実施し、参加者からの質問にも真摯に答え、さらに個別で講演会を開催し、そこでも質問に答える…というような制度にして欲しい。

最後に、小川さんは総理大臣になれるであろうか? この映画を見たらその可能性は全くないとしか言いようがない。とてつもなく虚しさが残る映画であったが、小川さんには何とか希望を捨てず頑張ってやり遂げて欲しいと心から思った。

それをさせない、日本の政治、民度の仕組みを壊すには戦争しかないのか…と思っていたら、なんとコロナが現れた。これは千載一遇のチャンスではないかとさえ思い始めている。

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