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【読書】凶犯 張平


多分「打ちのめされるほど凄い本」で紹介してあったので買ったけど,知らなければ絶対に読まない本だろう。
中国の実態をよく表している本だと書かれている。
ストーリーは,中国の軍人がベトナム戦争で功績を挙げたが,足を一本無くして義足で帰って来る。褒章的に,国有地の森の管理のような仕事につくのだが,その森が地元のやくざ的家族に牛耳られており,勝手に入り込んで伐採してどんどんお金に変わっている。それを阻止しようと軍人が頑張るのだが,一般市民はヤクザは怖いし,自分達も勝手に伐採して利益を得ているので,やめたくはない。

本来なら取り締まらなければならない役所の連中も,ヤクザは怖いし,色々賄賂をもらっているので,言うに言えない。結局町の住民全員を敵に回して正義を貫こうとする主人公。水も止められ,食べ物も売ってくれず…となって,最後に食料品店で悪態をついていたら,待ってましたとばかり大げんかになり,全身ズタボロ,見るも無残,もう一本の足も折られる…。

もうこれで主人公もあきらめるだろうと思ったが,逆に主人公は,多分自分はこのまま死ぬだろう。死んでもこの町は良くならない,だったらヤクザを道連れに死んでやろうみたいに考えて,次にとった恐るべき行動。さすがにそこまでやってしまうと,地方では押さえられずに(もみ消し・隠蔽が出来ず),国から取り調べにやって来る。

この一連の流れをまるでノンフィクションのように描いているのだから,相当読みごたえもあり,面白いので一気に読んでしまう。この小説が真実の中国の表していると言われて読んだわけだが,結局中央集権の国や組織というのは,こんな感じにならざるを得ないのだろう。今のロシアにも通じるものがあるのかもしれない。

この本,必読です。

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