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【卒展2021 Making Process】 #04 地域広報

地域広報担当
今西 真衣香(いまにし まいか)
多摩美術大学統合デザイン学科4期生
佐野研二郎・小杉幸一・榮亮太プロジェクト所属

江口 光希(えぐち みつき)
多摩美術大学統合デザイン学科4期生
佐野研二郎・小杉幸一・榮亮太プロジェクト所属


こんにちは。地域広報班の今西と江口です。

今回は地域広報制作から、上野毛近辺の幼稚園や保育園のみなさんにお届けするまでの制作プロセスについて紹介したいと思います。

1. 課題

地域広報とは、展示の開催地である上野毛の周辺地域限定で展示会の情報をお届けする広報活動です。

美術館や美術予備校にお配りするDMや、デジタル媒体で広く情報をお伝えするWebサイトやSNSとは違い「近くでやってるから遊びに来てね!」という身近なきっかけ作りとなるパンフレットなどを制作します。

地域広報活動を始めるにあたって、今年はコロナ禍での開催ということもありどれだけの人が来てくれるのかが全くわからない状況でした。

昨年度は周辺にお住いの方々へポスティングによって広報活動を行なっていましたが、そのアプローチの仕方も変えていくべきだと感じました。

2. 取り組み・工夫  「配布する範囲の縮小」

そういった課題があり、今年度からはポスティングよりもさらに範囲を具体的に絞り、配布場所を周辺保育園・幼稚園へ決めました。

理由としては二つあります。
一つはポスティングよりも層を絞ることでパンフレットの内容をよりその人たちに寄り添ったものにし、確実に楽しんで足を運んでもらえる地域広報らしいアプローチをしたいという狙いがあったからです。

二つ目は保育園や幼稚園が近辺に多く、これを機に近くに住む子ども達と一緒に美術を楽しみたいという想いからでした。

そこで私達は、

・こどもたちが手にとってわくわくするものを作る
・コロナ禍でも足を運んでもらえる工夫をする

という2点を意識し制作を進めました。

3. アイデア  「子供達に楽しんでもらえるDMを目指して」


保育園・幼稚園にお配りするにあたって、子供達に実際に遊んで楽しんでもらえるようなDMにしたいなと考えました。

当初はメインビジュアルの図像を活かした折り紙やパタパタ絵本、卒展までの日めくりカレンダーなどの案を考えましたが、そのDMを見て本当に卒展に行きたいと思うのかという点や、ご家族に卒展の情報がしっかりと伝わるのかという懸念があり、何度か案を考え直しました。

途中、実現性を考えて普通のパンフレット型のDMにするという案も出ましたが、子供達に楽しんでもらえるようなDMを作りたいという軸はぶらさず作ることに決めました。

地域広報012



4. デザイン  「要素の両立」

広報活動全体の統一感を出すために卒展のメインビジュアルと関連づけたデザインにすることは決めていましたが、シックな印象のある今年のメインビジュアルとの統一感・子供達に親しんでもらえるようなビジュアル、どちらの要素も両立できるデザインにすることにとても苦労しました。

そのため、
イラストと混ぜ合わせたり、

地域方法022


図像の色をポップにしたり、

地域広報032

様々な検証を重ね、最終的に卒展メインビジュアルの色とは変えずに、図像や文字・イラストなどを手書き風にすることで温かみや親近感を出すデザインにしました。


5. 完成

地域広報04のコピー2

完成したDMは、保育園・幼稚園から上野毛キャンパスまでのクイズラリーという形になりました。

地域広報062

地域広報05のコピー2

クイズラリーのある駅や道中に「ここから見えるものなんだ?」といったその場に行かないとわからないようなクイズを出し、おまけのシールの中からその答えを探して貼っていく仕掛けと、最後に卒展会場に来るともらえるゴールシールも作成しました。

このクイズラリーにはコロナ禍でなかなか外に出る機会がない中、卒展が普段とは違う特別な散歩コースになったらいいなという気持ちを込めました。

地図は、それぞれの園オリジナルの特別感を出すために配布する各保育園・幼稚園ごとに制作しています。

裏面には卒展の挨拶文や今年の展示作品を入れ、DMを見たご家族の方々にも卒展の情報がしっかりと伝わるようにしました。

地域広報072


6. 最後に

こうして出来上がったDMは各保育園・幼稚園に郵送という形で配布しました。

展示が始まるとDMを手にたくさんの子供達が来て、ゴールのシールを喜んで受け取ってくださりとても嬉しい気持ちになりました。
また、体験型の展示で遊ぶ子供たちの姿や、難しいコンセプトの展示にも頭を使って考えたり、感想を言い合っている姿に学生側もとても良い刺激を受けました。

近所の保育園・幼稚園にターゲットを絞ったDMを作ることは今年初めての試みでしたが「子供達に楽しんでもらえるようなDMを作る」という軸を最後までぶらさずに作り続けたことで、WebやSNSなどの広報活動とは違った温かみのあるDMに仕上がったと思います。

このような情勢の中、実際に足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

地域広報担当
今西 真衣香、江口 光希




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