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統合デザイン学科卒業生インタビュー#05坂本理恵さん

坂本理恵(さかもと りえ)
作家
統合デザイン学科3期生 深澤直人・長崎綱雄プロジェクト所属

熊本県出身。美術科の高校を卒業後上京しました。
素材研究を主にパッケージやプロダクト絵画、イラストなど
多岐にわたり制作しています。
幼い頃から無意識に何かを作っています。
手遊びだと、たくさんの人から叱られましたが、私にとっての制作はストレス発散であり、リラックスするためのツールでもあります。
また、作品で人を驚かせることが好きなので、これからもずっと何かを作っています。


ー統合デザイン学科ではどのようなことを学んでいましたか?

在学中はグラフィック、プロダクト、インターフェース、描写など色々学んできましたが、今の私に一番生かされた授業は描写と立体造形演習(*)だと思います。

※デザイン演習
"3・4年次の専門課程では、全ての領域をつながった一つのデザインと捉え、各教員が社会に即したテーマをゼミ形式で行う「プロジェクト」を通じて統合的なデザインを実践します。さらに組み合わせを選択できるデザイン演習により、個々に必要とするスキルをより深く学んでいきます。"
引用:統合デザイン学科|受験生サイト 多摩美術大学

統合デザイン学科は様々なデザイン課題をこなさなければならなく、スランプややり直しを命じられ体力がすり減っていく中、描写と立体造形演習が唯一の制作への喜びを見出してくれる分野でした。
その分野を突き詰めることこそが自分への喜びであり、生きがいと感じることができました。


ー卒業後、現在はどのようなことをされていますか?今後はどのようなことをやっていきたいですか?

現在は作品制作をしながら、卒業した多摩美術大学統合デザイン学科研究室で副手として働いております。

今後は作品制作を続けつつ、学生の時とは違い自分の制作をどのようにブランディングしていくかが大事であると思うので、多くの分野で展開していこうと考えております。
また、積極的に展示に参加しようと思っております。


ーどのように進路を決めましたか?

大学4年生の3月まで就職活動を続けており、就職することへの矛盾を感じていました。自分の名前での作品制作ができなくなることへの不安で、本気で就職活動に取り組むことができませんでした。

卒業制作を本気で取り組めば何か道が見えるのではないかと思い、4月には就職活動を全て辞め、卒業制作に全力で取り組もうと思いました。

そして11月頃、いつもお世話になっていた研究室の助手さんに副手の募集があると紹介され、学校の機材を利用しつつ自分の制作を続けられる最高の環境であると考え統合デザイン学科研究室に就職しました。



ー在学中に制作した印象に残っている課題や作品についてのエピソードについて教えてください。

3年次 パッケージデザイン演習 課題 FACE MASK『美白・保湿』

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この作品は私がアイコンとして使用しているもので、モチーフは私ではなく友人です。
可愛らしい顔立ちの友人がフェイスマスクをした瞬間、のっぺりとしたキャラクターのような顔立ちになり
その顔がとてもアイコニックであることがイメージとして記憶に残っています。このアイコニックなイメージを
シンプルに白黒のみでパッケージデザインに落とし込めることにより、他社と製品の違いを出せるのではないかと思い制作に至りました。

2年次 デザインベーシックⅡ 描写 課題 カトラリー『Vine spoon.』

カトラリー

この作品は私が全力で取り組んだ作品の一つです。

先生やみんなに無理だと言われながら、自分ならできると信じて作った作品です。
結果完成し、自分に自信を持つことができ、卒業制作にも繋がった作品です。


ー卒制テーマとそれに至った経緯、卒制作品紹介

ちょうど卒業制作の一年前いつものように家の机で卒業制作について何を作ろうか考えていた時、机の上に輪ゴムの箱が置いてあり趣味でやっていた棒編みを試してみたところ編めることに気づき、上に持ち上げたところ、輪ゴムの飴色がライトを透過してとても美しいと感じたことを今でも鮮明に覚えています。

輪ゴムの可能性を利用したファッションデザインと素材研究
『RUBBER BANDS COLLECTION』

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機能性や希少性にものの価値観を重視している現代に誰も気づかない性質を模索し、アートとして展開したいと思い着想に至った。

機能性が特化しているものの大量生産されているため、人々に大事に扱われていない輪ゴムに目をつけた。
洞察すると多くの機能性に気づく。質感、高弾力性、透け感、美しい飴色に気づいた。輪ゴムを結んで糸状にして編み、太陽の光で透かした。
まるで人間の血潮のように美しく生命のようなものを感じた。この美しさは輪ゴムにしか出せない。

人々の価値観に訴えられる身近な服を選んだ。布の伸縮自在の域を超え、多様な体型にもフィットする輪ゴムの価値を見出した。
輪ゴムの重さなどを踏まえて実用的というよりは、コレクションのような人々を驚かせるエンターテイメント性溢れる現代アート作品としてブランド展開した。


ー卒制、卒展をやって感じたこと

「卒業制作は美大生なら生涯語られるものだ」と先生から言われやりきった後、そうだなと実感してます。

卒業制作は絶対に後悔したくないという気持ちが強かったので、やりきって満足しています。
他人の評価に左右されることなく、信念を持って制作に取り組めたことが何よりも卒業制作をして得たものだと思います。

また、同賞で同じ展示部屋の岡本くんとも、一年間ずっと制作していた仲間として戦友のような友人ができて嬉しかったです。


ー統合デザイン学科で学生生活を送って感じたこと

一言で言えば、この学科で本当によかったです。
制作に必要なものは全て揃っていたと思います。
いろんなことを教えている学科なのでわからないことがあったら、分野の近い先生に聞きに行けます。
また、みんなで課題をカラオケに持ち込んで粉まみれになりながら制作したり、
飲みの席で自分のデザインに対する価値観を言い争ったり、
ハロウィンで誰も理解されないコスプレをしたり、
芸祭で八王子に出稼ぎ(フリマ)したり、
渋谷ハンズの3mくらいの段ボールを満員電車の中持ち帰ったり、
(一般人では味わえない)思い出をたくさん作ることができます。
(私の学生時代の記憶なので、全員が経験するわけではありません。)

是非、統合デザイン学科においでませ!!笑

Twitter:@sakamoto_entame
Instagram: sakamoto_entertainment
tiktok: @sakamotoentertainment

(インタビュー・編集:徳崎理沙、土屋陽和)


次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!

誰かの問題を解決するためのデザイン。
渡辺由香 (わたなべ ゆか)
化粧品メーカー勤務 プランナー
統合デザイン学科3期生 永井一史・岡室健プロジェクト所属

元々、思考することよりもビジュアルからもの作りをしたり、実際に手を動かしてモノづくりをすることが得意だったという渡辺さん。
しかしある課題がターニングポイントとなり、表面的なデザインだけでなく問題を見つけて企画しデザインをすることの素晴らしさに気づいたといいます。渡辺さんが得た気づきと、そのきっかけになる作品とは…!?
卒業生インタビュー第6弾は明日公開です!乞うご期待!

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