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とある生徒の話

こんにちは。

私の塾講師バイトの中でかなり印象深い生徒について今回は書こうと思います。
以後、その生徒はAさんという表記を用います。

私が塾講師バイトを始めて1か月も経ってないような時に、初めてAさんに数学を教えました。
初めて聞かれた内容は数学Ⅱの範囲にある束という考え方についてでした。

束という考え方は初学の場合は疑問になりやすいという事は自分でもわかっていましたが、問題を解き、解法を教える程度であれば容易なのですが、Aさんはそれだけでは納得せず、さらなる疑問を私にぶつけてきました。その疑問の中には、全くもって違うと断定できるものもあったのですが、どうだろうと悩むような疑問もありました。
なんとか2コマ分の時間を使い教え終わった後、自分の数学力に対する不信感と、それを克服しなければならないという二つの考えが残っていました。

私からすればAさんは元から勉強が苦手なタイプではありませんでした。
とりあえず自分で考えてみて、意見を持ち、でも違うかもしれないから質問するという人でした。
疑問を持つという事は自分で考えた証拠だと考えています。
私は数学では負けている気は全くしませんでしたが、それ以外の多くの土俵では絶対に勝てないと感じていました。知識に対する貪欲さと分からないなら一度立ち止まって考えるという部分がAさんの強みでした。

Aさんは何度も数学の質問を私にしてくれました。質問には根本的な解説を求められましたが、私にとってとても楽しい時間になりました。質問以外の雑談もかなり多かったですが、、、

青チャートという参考書があります。青チャートはページの上に問題、真ん中に解答解説、下に演習の類題というレイアウトになっています。
私が高校生だった頃、最も使用した参考書であり、私は解答解説の部分に多くのメモ書きや、別解などを書いていました。
Aさんもまたメモ書きや、付箋を貼ることによってボロボロになっていて見ていて努力が形となって見えてきて嬉しかったのを覚えています。

Aさんには数学を教えることの難しさ、教えた部分が解けたと報告を聞いた時のうれしさ、受験生の大変さ、多くの事を教えていただきました。

Aさんは難関大学に合格し、塾を卒業されました。理学部に進学したということもあり、大学教養程度の数学の質問を未だに受けることがあります。今の私の一つの目標はAさんの大学数学の質問に確実に答えられるようにすることです。



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