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わからないままで

フィリップ・パカレさんが作ったボジョレ・ヌーヴォーを飲みながら、今宵もグダグタする。パカレさんの説明は不要でしょう、ググればすぐ出てくる。

私はなんのクリエーターでもないので、申し訳ないですが、謙遜でもなく、お目汚しする文章しか書きません。なんの結論も導かず、醜態を晒すのみです。厚顔無恥で翌日、二日酔いとは書かず、hangoverなんて横文字をつぶやいてしまいます。しかも、見直さない上、理解不能でも修正しないので、ごめんなさい。

ボジョレ・ヌーヴォー。フランス・ボジョレ地方の新酒のワイン。品種はガメイ種。軽やかでベリーのような味わい。あまり脚光を浴びていなかったこの品種だが、「時差の関係で世界で一番最初に飲めるのは日本」ということに優秀なプロモーターが気がつき、イベント大好きな日本人は、どこの国よりもボジョレ・ヌーヴォを求めたお祭り時期があった。通常、ワインというのは船便で運ばれるものだが、「新物」であるためには、0時前に抜栓できるように、飛行機で到着する。ゆえに空輸代で割高になる。そのほかの「新酒」(その年出来たばかりのワイン)は12月頃にひっそりと到着するが、ハリウッドスターと名も知られぬ舞台役者ぐらいの違いがある。

ワインとは熟成を楽しむお酒の1つ。じっと待って待って、銘醸地のワインであればあるほど、待つ時間こそが甘美で高尚なものとなり、それが値段に反映される。だから、マーケティングで成功したボジョレ・ヌーヴォーは、ワイン愛好家はちょっと小馬鹿にした時期もあったように思う(私も)。そういう「イタイ」時期を超えて、この年を無事に終えて、先頭に立って新酒を知らせるボジョレ・ヌーヴォーさんを私は、敬意を持って飲みたい。フィリップ・パカレさん、好きだし。「コロナやなんやあったけど、ちゃんと作れたんですね、よかった。おつかれさまです」って勝手に思いながら。

ワインは好きだけど、ワインの世界は嫌いだった。

今がどうなのか知らないけど、私がワインの世界にハマっていた時は、パーカーポイント(パーカーさんがつけた点数)の高いワインだの、この年のこの作り手の、とみんな情報でワインを飲んでるんじゃないかな、って思う時期があって、ひどく面倒だったし、ワインの話を私にしてくる男の人が苦手で、すぐ逃げた。

何かを評価したり、点数をつけたり、否定したり。どうして人はそういうことするんだろう。そして、どっちかにいる人は誰かに守られてるように安堵する。どっちもどっち。何かを否定して、自分を肯定すればそれは同じ土俵の登場人物に成り下がり、ドングリの背比べをする。どっちでもいいよ。

なんの流れだったか忘れたけど、kが私に言ったことがあった。「悩んでる人も悲しんでる人も、みんな嫌だ、辛いと言いながら、本心ではそうしたいんじゃないかな。好きにしたらいいよね、悪いことでもなんでもない。自分の人生だし。そういう人を小馬鹿にしたりして、『自分はわかってる側にいる』って思ってる人は、、、」と言葉を濁した。

去年に比べて、果実味が濃厚ですね、なんて全く覚えてないので言えません。

ボジョレなんて、初心者みたいなものに飛びついて、なんて思いません。

わからない、がいい。

わかった気にならず、自分がやりたいことに向き合えばいい。

人がどう思うとどうでもいい。

「これはこうだ!!」「正義は我にあり!」の騒ぎには巻き込まれたくない。

しぃー、静かに。熟成中のワインやウイスキーを起こしてしまうわ。

私には何もわからない。

私に関わる人やワインや野菜が愛おしい、それしかわからない。




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