火球
線香花火のひらひらを指先でもて遊びながら
君は細くて綺麗な指先でライター繰り
少し退屈そうに火を灯した
注意深くでも雑にでもなく
ただ何気なく
火花をちらした
花火は静かにはじまり
静かに終わる
トキメキがその間に座っている
バチバチと動き
チリチリと静まる心模様に
君の目は、先っぽをなんともなく見つめ
丸くなって落ちた先を半ば無意識に追い
視線をやがて地面に落とす。
いま、ぼんやりと正面の僕を眺めた君に聞きたいんだ。
もし僕がすかさず、火球を素手で受け止めていたのなら、君の眼差しはもっと強く僕に留まってくれたのかな。
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