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投稿に必要な「材料」~Editorial Managerを見てみよう~

論文投稿するときに何を準備しておけばいいか、確認していきましょう。もちろんジャーナルによって多少の違いはありますので、その都度投稿規定(Instructions for the authorsと呼ばれます)を確認していただきたいのですが、まずは大枠の理解をめざします。
 今回は、ひとつの例としてBMC Public Healthの投稿サイトを見ていこうと思います。BMC Public Healthも含め、たくさんのジャーナルがEditorial Managerというオンライン投稿システムを使って論文のハンドリングをしていますので、どのジャーナルに投稿しても、同じような画面を見ることになります。

まずはトップ画面へ

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画面右上に「Submit manuscript」というボタンがありますので、そこをクリックしてください。大抵どのジャーナルもトップページに投稿サイトへのリンクがあります。

投稿サイトではユーザー登録をしてください

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するとこんな感じの画面に遷移します。ここからがEditorial Managerで管理されているページになります。

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真ん中の部分だけ拡大するとこんな感じです。個別にユーザー登録をしてももちろんOKですが、ORCIDという研究者識別IDを取得しておくと、毎回入力しないといけない研究者情報が自動入力されるので便利です。Wikipediaの記事も分かりやすいので是非参照してみてください。

ログインしてみるとメインメニューが表れた!

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メインメニューに「New Submissions」「Revisions」「Complete」などのメニューが表示されますが、投稿するのであれば「New Submissions」の中の「Submit New Manuscript」をクリックします。

原稿のタイプを選ぶ

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原著論文であればResearch articleを選びます。この選択項目はジャーナルによって異なります。自分の原稿にとって適当なものを選びましょう。短めの論文であれば、単報 Short report、総説であればReviewなどを選ぶところですが、BMC Public Healthにはないようです。

原稿の本体

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論文の本文、図表などを提出します(そりゃ、そうだ)。ジャーナルによってはこのステップがSubmissionの一番最後に来る場合もあります。本文と図表を同じファイルに入れる場合、一緒にしない場合、ジャーナルによる違いがありますので、投稿の際に気を付けましょう(間違っていると、編集部の事務の人につき返されます)。

セクションを選ぶ

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セクションとは審査領域のことです。BMC Public Healthくらい大きなジャーナルだと、各分野の責任者が編集長以外に存在することがあります。どの責任者に投稿した論文をハンドリングしてもらうか決めるということです。ちなみにBMC Public Healthですと、「Biostatistics and methods」「Chronic disease epidemiology」「Global health」「Occupational health」など、13個のセクションがあるようです。自分の論文をきちんと審査してくれるセクションを選びましょう。

Reviewerを選ぶ/拒否する

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 結構地味に面倒くさいのは、査読者を推薦しろという指示です。本来は編集者が編集者の責任で査読者を探してくるべきだと思うのですが、論文投稿数が著しく増加しているといわれる昨今、ちゃんと査読してくれる研究者を探すのは至難の業のようです。
 査読者が見つからずに待たされたら、こっちにとって不幸ですから、自分の論文をきちんと査読してくれそうな人を挙げておきましょう。個人的には本文中に引用している論文の著者を選ぶことが多いです。適切に読める人であれば問題ありませんが、自分と近しい人は望ましくありません。きちんと科学的に検討してくれない可能性が高いからです。How to Suggest Reviewers for Your Paperというウェブ記事がありました。
  ちなみに、査読者を推薦できるのと同様、拒否することもできます。「思想的な立場が相容れないので○○さんが査読すると必ずRejectになる」というようなことがあるときには、その旨説明すればその人が査読者になることを防ぐことが出来ます。

カバーレター、倫理、COI

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カバーレターというのは、私たちは○○という論文を投稿しますよー、受け取ってくださいねー、と記した編集長に向けての手紙です。ちゃんと書いたほうがいいっていう話も聞きますが、個人的にはそこまで力を入れなくてもいい気がします(あんまりそこでジャッジしているとも思えないからです)。
 人間を対象にした研究であれば、必ず倫理審査を通してください(ただし二次データの場合はその限りではありません)。
 COIについては共著者全員からサイン入りのCOIフォームを提出するように要求するジャーナルもあります。共著者が多かったりすると、地味に面倒くさいです。

タイトル、アブストラクト、著者、研究費

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タイトルとは論文のタイトル、アブストラクト(抄録)とは論文の内容を250~300 words程度で要約した文章のことを言います。タイトルもアブストラクトも、ジャーナルによって字数制限が異なりますので、注意しましょう。
 また、タイトル、著者名、著者の所属情報などの情報は本文1ページ目にタイトルページとして記載しろという指示がある場合があります。繰り返しになりますが、それぞれのジャーナルの投稿規定を確認してください。
 研究費の情報は、研究費番号が必要です。「JSPS KAKENHI Grant Number JP00000000」と書けなどと、機関から指示がある場合がありますのでよく注意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか? あくまでもBMC Public Healthの例ですが、疫学・公衆衛生学の論文を投稿する際の大体の流れは理解できたのではないかと思います。これからの投稿の中で一つひとつ細かい内容を確認していってください。

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⇒ https://note.mu/inoyo/n/nb4889da4b9ee

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