見出し画像

Introductionの書き方 ~なぜ研究をするのか?~

Introduction(緒言)は「逆三角形」に書き進めましょう。逆三角形というのは、
*よりGeneralな話 → よりSpecificな話
*世界の話 → 地域の話
というように、段落が進むにつれてトピックの照準を絞っていくということです。まずはこの大枠を頭に入れておきましょう。

画像2


背景情報

最初に書くのはBackground information(背景情報)です。下の図で黄色くしるしをつけているところです。私は取り上げようとしているトピックがいかに公衆衛生学・国際保健学的に重要な課題かをここに記載することが多いです。

画像3

もしA(Exposure)とB(Health outcome)の関連に関する論文を書くとしたら、
* “A” has been linked with a variety of negative health outcomes. For example, a systematic review by XXX et al. (2020) concluded that ….
* “B” is the leading cause of mortality. The World Health Organization (WHO) estimated that ….
などの書き出しが考えられます。

AとBのどちらから書き始めるかは、どこのジャーナルに投稿するかによるでしょう。言い方を変えると、「Aの論文とBの論文のどちらを自分は書こうとしているか」「Aの論文とBの論文、どちらを書いた方がインパクトが大きくなるか」かと思います。その時に持っているデータの質や量によっても、AとBのどちらを前面に出すか変わるでしょう。

先行研究の簡単なレビュー

次の段落で書くのは、先行研究の簡単なレビューです。書こうとしているトピックについてどんなことが知られているのか(What is known)を書きだします。

画像4

第一段落でAについて書いていれば、ここではBについて触れ、第一段落がBの話であればAについて触れます。一段階Specificにするということです。

ちなみに、私はこの段階では逆接の表現を極力使わないように心がけています。逆接の表現は次の第三パラグラフに押し込むことで、イントロとしての起承転結が決まります。目鼻立ちが付くとでも言いましょうか。

Research gap

ここがイントロで一番大切な箇所です。先行研究の問題点や先行研究では調べられていないこと(すなわちResearch gap)をきちんと書いていきます。

画像5

どのように書いてもいいですが、図中にあるような表現を使って、3~4個程度のResearch gapを書くといいかと思います。

【例】
対象集団の問題
* Westernではわかっているけど、Japan/Asiaではない
(ありがち。これを書くならなぜJapan/Asiaでやるべきなのか
 を明示する。)
* Clinical settingや高齢者ではわかっているけど
   general populationでは分かっていない。
方法論的な問題
* 客観指標ではない。主観指標。
* Cross-sectionalな研究ばかり。Prospectiveにやった。
* OutcomeがSurrogateなものばかり。
   Hard outcomeとの関連は分かっていない。

Aim/hypothesis

最後の段落はイントロでそれまでに書いた内容を1~2文でまとめます。仮に一文であったとしても、段落として独立させることが多いです。

画像5


まとめ

第1段落目に書くような内容はWHOのサイトや大型ジャーナルのレビューに書いてあるし、第2段落目はちょっとレビューすれば書くことが決まります。第4段落目はそのままですので、イントロで一番頭を悩ませるのは第3段落のResearch gapをいかにきちんと書けるかどうかです。

Research gapが見つからないという人がたまにいますが、違います。本来、Research gapがあるところで研究をするべきなのです。誰も日本で石油を掘らないのと同じです。それに何かしらのResearch gapは見つかるものです。自分で考えたResearch gapをいくつか上司・先生・先輩にもっていって相談するといいでしょう(これは論文を書き始めてからではなく、研究計画を作成する段階で共著者と詰めておくことが望ましいです)。

■目次に戻る
https://note.mu/inoyo/n/nb4889da4b9ee

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?