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日々一切過ぎゆく

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希望を抱いたり、絶望したり、はたまた気づけば終わる日もあったりしますが、そんな日々で感じたことを書いています。
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普段着のスーツと真新しいスーツとこれからの僕と

小春日和と呼ぶにふさわしいある春の日。まだ真新しいスーツに身を包み、長い坂道を登る19歳の僕がいた。「やっと大人になれる」そう思っていた。これまで身に纏ったことのない少し光沢のある紺色の生地と細めのストライプが、浅はかな思いを後押ししていたのだろう。 今となっては「大人になる」なんて簡単なことではなく、もはやどこからがどう大人なのかなんてわからないものだと知っている。定義が非常に難しいので、「大人になる」を年齢で定義するのには納得がいく。それほど難しいこととはつゆも知らない

豊かに暮らしたい。だから普通や日常を愛でる。

ついこの前は朝晩の冷え込みを感じ、そろそろ毛布を出そうかと思っていた。それなのに今は曇り空が増え、じめじめとした日が続く。梅雨がもう目の前まで近づいて来ている。 「光陰矢の如し」とはまさにこのことだ。以前書いたnoteから気づけば7ヶ月もnoteを書いていなかった。「書きます」詐欺をこの期間で何度やっただろうか。「継続は力なり」というが昔から継続が苦手な性分なのでこういう状況は慣れっこである。反省するどころか開き直ってしまっているので救いようがないなと本人も思っている。頑張

書き手として、兄弟を受け入れることにした

一時期に比べて文章を書かなくなった。単純に忙しくてそれどころではないというのが大きな理由だ。 いつもならここからもう考えない。特段考える理由もない。 悲しいことに労働が前提の社会なのだから「忙しい」その一言ですべてが片付く。みんな大好き不労所得がほしいよお母さん。 そう、僕は忙しいのだ。でも今日は魔が差した。 ****** 目の前がくすんだ色で覆われている。世の中的にはきっとベージュという色に分類されるのだろうけど、そんないいものでもない気がする。だってトイレの壁だも

とある「なにもしない」の大天才

今日も四足歩行でたったったと歩く彼女は日々変わりゆく天気の変化を教えてくれる。 毛布や布団の上で寝るのをやめた。床でへそ天して転がる。とにもかくにもお腹を天に向ける。めちゃくちゃ伸びて床に落ちてる。 暑さに加えて、湿気が空気中に存在していると不快感を感じるのは人間と同じらしい。人間はその気になれば、全裸になって涼むことができる(場所は選びましょう)。 生まれた時から毛皮を持つ生き物なりに、ありとあらゆる工夫をして不快な気候と折り合いをつけているんだろう。 ******

30代はとくに楽しみではないけども #呑みながら書きました

#呑みながら書きました 初参戦にもかかわらず堂々の大遅刻です。 遅刻は昔から得意技です。ていうか酔ってても思った余地タイプミスしませんね(もうタイプミスした) 高校の頃付き合っていた子とのデートに40分遅刻して、駅のホームでビンタされたのはいい思い出です。本当にすいませんでした。 本日のお供はこいつ。バランタイン十五年さん。あれもうあんまりのこってないね?だれだよ勝手に飲んだやつ。 ****** 20代最後の一ヶ月はとても早く、なんか一番しんどかったけど、自分の30

話すことと、つながることと。

あっちを見ると閉ざされたシャッター。こっちを見ると「20時閉店」の文字。 もう頭痛が痛い。頭痛が痛すぎる。脅威の感染力を持つ侵略者は、僕が心底愛していた空間を容赦なく奪っていった。 侵略者の爆誕から1年以上がたったけど、だれもいないまま1日が終わる路面店が目立つ。これじゃあ「そして誰もいなくなった」じゃないか。みんなどこに行ってしまったんだ。 今朝ギリギリ会社に間に合ったこと、それなのにICOCAをなくしたこと、そんなくだらないけれども愛すべき日常を話させくれよ。最近娘

雨の匂いがない街

目と鼻の先にコンビニもスーパーもある。少し歩けば、話題のカフェやオシャレなセレクトショップもある。 電車で何駅か行けば、家電量販店もネオンが煌めく繁華街だってある。 この街に越してきて1年がたつ。生活に困ったことなんてなにひとつなく、どこにいくにも便利だとずっと思ってきた。すべてがこの街にはある。 ****** まとわりつくような湿度、曇りがちで安心して洗濯物を干させてくれない空模様。毎年僕の頭を悩ませる梅雨が今年もやってきた。くせ毛なので文字通り頭を悩ませるわけだけど

夢とか希望とか未来とかはどこかに消えて

161.3 尖っていない鉛筆で書かれている。その数字は書いたというより、木の表面をえぐったと表現したほうがいいように思える。立ったままの姿勢で柱に刻んだからだろうか、その数字はとても不恰好だ。普段はそんなところに、そんな姿勢で文字を書くことなんてないのだから無理もない。 たくさんの数字がこの柱には刻まれている。 158.8 152.2 149.1 161.3と似たような数字がいくつも刻まれている。柱の下の方に目をやると、上の方の文字と比べてほんの少しだけ薄くなっている

「生きること」が挑戦だなんて笑ってしまうけれど

突然だけど、懺悔させてほしい。 実はこれまでかなりのバトンを止めてきた。2002年日韓W杯のオリバー・カーンぐらには止めることに定評がある。「井上によるバトン停止に抗議する被害者の会」が僕の知らないところでできていそうで怖いぐらいだ。 「バトンなんて嫌だ!ママー!助けて!」とバトンを地面に叩きつけて、べそをかきながら逃走すればよかったんだろうけど、せっかくの機会だし、やってみようかなと思って今に至る。 ※バトンを回したアルマジロ武田さんは「バトン回していいですか?」って

とりあえず鴨川デルタでお待ちしています。 #自粛明けにやりたいこと

簡単な外出にすら気を使う。見えないウイルスの存在も怖いし、周囲の目線もなぜか気になってしまう。何をするにしても「自粛」の二文字が脳内で反芻して、ためらってしまう。 あまりにも「自粛」という言葉が脳内再生されるのに嫌気がさした。無機質に同じ言葉が反芻されると気が狂いそうだから本田翼の声で脳内再生を試みるようになってしまった。 控えめに言っても気持ち悪いことをしている自覚はある。けど、狂気に耐えかねてやってしまう。気持ち悪くなったのは全部コロナのせいだ。「もともと気持ち悪いだ

「乾杯」と言える頃に、また会いましょう

カウンターには人が溢れている。部下に自分語りをするサラリーマン、ワイドショーで仕入れたネタで盛り上がる初老の男性、友達と彼氏の愚痴を言い合う女性たち。 それを見ながら酒を飲む僕。いつもの光景だった。ありふれた日常の一部分でしかなかった。ありふれた日常は、どこか遠くへ行ってしまった。 頼むから帰ってきてくれないか?いや出て行った妻に懇願する離婚寸前の夫みたいだけど、本気で言ってるんだよ。 ***** フグが上下反転したまま、水槽の底に沈んでいる。エラは動いているからかろ

未来をつくるのはヒーローじゃなくて

おとんの電話で地震を知った 僕はまだ19歳だった。1年の浪人生活を終えて、無事に進路も決まった。一方で受験勉強から解放されて、生活に張り合いをなくしてしまっていた。ベッドに寝転がったまま、本や漫画を手に取る。ぱらぱらとめくってみるものの読む気にもならず、また天井を見つめる。天井はいつ見ても少し日焼けた白で変わらないのにまた見つめる。 手持ち無沙汰だった。すると、携帯電話が鳴った。こんな真昼間に電話をかけてくるなんて、暇なやつも世の中にはいるもんだと思いつつ携帯電話の画面を見

生み、育ててくれた、あなたたちへ。

人見知りで、新しい環境に極度に弱く、やりたいことはたくさんあるのに中途半端で満足してしまうこんな僕ですが28歳にもなり思うところがあるのです。 幼い頃、あなたたちの大変さなど露知らずただただ不満を覚えていました。家に仕事のストレスを持ち込むこと、あなたたちは仕事で忙しく姉たちに比べて自分だけ日々の些細な思い出が少ないことにやるせなさのようなものを覚えていました。 ***** 法人を作り、人を雇い、責任に押しつぶされ、事業を失敗させた今ようやくわかりました。いかに自分が守

#あなたの渾身のnote読みます

いつだってラブストーリーは突然だ。いつも突発的だ。僕のやりたいと思ったことも似たようなもんだ。そこに理由なんて求めるのは無粋だ。 そんなこんなで得意技の無計画と衝動性を総動員して『#あなたの渾身のnote読みます』と題してノリと勢いでやってみた。なにを隠そうこのnoteも書くつもりはもともとなくて、ノリと勢いで書いてる。 やっぱりラブストーリーは突然だ。 読まないほうがいい自己紹介 読まないほうがいいらしいけど読んだ。生きてると死にたくなる日もあるんだけど、いつか自然